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    タカタ経営破綻の原因:古いエアバッグか、危機管理体制か、それとも日本叩きの結果か?

    タカタ経営破綻の原因:古いエアバッグか、危機管理体制か、それとも日本叩きの結果か?

    © AFP 2017/ Toru YAMANAKA
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    徳山 あすか
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    1933年に創業した日本の自動車安全部品メーカー「タカタ」は、欠陥エアバッグのリコール問題で経営が悪化し、民事再生法の適用を申請して受理された。ロシアを含む世界中に生産拠点を置き、全世界で5万人の社員を抱える優良メーカーの経営破綻は社会に衝撃を与えた。タカタは中国企業傘下の米自動車部品会社キー・セイフティー・システムズ(KSS)に1750億円で事業を譲渡し、同社のもとで再建を目指す。

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    エアバッグ問題が世に出たのは2008年。米国でホンダがタカタ製エアバッグのリコールを開始し、その翌年にはエアバッグの異常破裂で死者が出た。現在までにエアバッグが原因で少なくとも11人が死亡したとみられている。また、死者こそ出ていないものの、日本国内における同社製エアバッグの異常破裂は16件報告されている。タカタの高田重久会長兼社長は26日の記者会見で、原因を特定しようとしても「再現性が全然ない」と述べ、なぜ問題が起きたのか不可解だとの見解を示した。

    自動車業界に詳しい佃モビリティ総研の佃義夫(つくだ・よしお)代表は、「エアバッグは定期交換するべきもの」と指摘する。

    佃氏「自動車にとって安全性は宿命的な課題です。本質的な原因は究明できていませんが、エアバッグの異常破裂は、自動車の耐用年数が長いことに加え、新車から中古車へエアバッグが使いまわしされていること、つまり経年劣化に起因しているとみられています。日本のように車検があれば保安部品を交換できるので、エアバッグも保安部品に指定して、定期的に交換するべきだという議論が出ています。他のエアバッグメーカーも火薬を使っているので、経年劣化による同じような問題が飛び火する可能性もあるかもしれません」

    また、トップの危機管理に対する姿勢が、事態をより悪化させたとも言える。タカタ創業家3代目の高田会長兼社長はほとんど表舞台には立たず、会社の閉鎖的な体質をアピールすることになってしまった。

    佃氏「2009年から大規模発生したトヨタ車のリコール問題で、豊田章男社長は米国下院公聴会で証言台に立ち、涙の会見を行いました。豊田社長はリーマンショックの影響が残る中で就任しており、トヨタにとって大変辛い時期でしたが、このトップの姿勢はアメリカでもしっかり受け止められました。トップの初期対応という点で、トヨタとタカタは結果的に対照的になってしまいました」

    しかしロシアの専門家の中にはタカタを擁護する声もある。スプートニクのドミトリー・ヴェルホトゥロフ解説委員は、事の本質はエアバッグの欠陥ではないとみている。

    ヴェルホトゥロフ氏「今回の騒動の発端は、タカタのライバルの米国メーカーだと思います。彼らがタカタを失脚させるための運動をしたと証明することはもちろんできません。しかし米国にどれだけ多くの日本車があるでしょうか。その膨大な台数と、これまでのエアバッグ事故の件数をつきあわせてみれば、エアバッグが原因で死亡する確率は極めて低いものです。米国における反タカタ運動はこれが初めてではなく、1995年にはタカタ製シートベルトが原因で840万台がリコールされ、制裁金が課されました。安全のためというレッテルを貼っておいて、その実、日本メーカーを叩いているのです」

    様々な問題が複雑に絡み合い、かつての優良メーカーは倒産してしまった。タカタ問題は、完成車メーカーと部品サプライヤーの責任をどう捉えるかという教訓を残した、と佃氏は言う。「リコールは本来、完成車メーカーの責任で行うものですが、今回はタカタが非難の的になりました。今後の自動車には人工知能の搭載など、異質のサプライヤーがどんどん入ってくることになり、自動車は更にブラックボックス化するでしょう。その中でメーカーとサプライヤーが問題をどう予見し、安全への取り組みを行うか。タカタ問題は両者の関係性のあり方に大きな警鐘を鳴らしました」

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