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    なぜプーチン大統領はウニに対する興味を失ったのか?

    なぜプーチン大統領はウニに対する興味を失ったのか?

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    アンドレイ イルヤシェンコ
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    8月7日、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と、日本の河野太郎外相はマニラで行なわれたアセアンの会合で会談し、日露外務次官級協議を17日、18日にモスクワで開催することで一致した。日本側が発表した外相会談の結果はことのほかルーティン的なもので、ロシアメディアはほとんどこのニュースを無視した。それが何故かは、明らかである。

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    平和条約締結交渉は実際のところ領土問題が議論の中身を占めており、それは予想したとおり袋小路にはまりこんでいる。外務次官たちが次回の協議でこの状況を変えることはよもやないだろう。

    両国の、南クリルの領有権における立場は70年前から平行状態にあるのであり、この状況を変えられるとすればプーチン露大統領と安倍首相だけなのである。2人の会談は9月初旬、東洋経済フォーラムの枠内で行われる予定だ。これは今年3回目の日露首脳会談であり、公式的に2人が出会ってから19回目の会談となる。しかしながら両首脳が事態を決定的に変えるような決定を行なう予兆はない。

    日本がブレークスルーとなるような案を考えていないことは、新しい沖縄北方担当相である江崎鉄磨氏の「北方領土問題に関しては素人」という軽率な発言からも見てとれる。江崎氏は、国会での答弁において、官僚が用意した答弁書をチェックするだけで十分だというのだ。また共同通信が伝えたところによると、マニラでの日露外相会談において「河野外相は、日露関係の進展へ積極的に努力する意向を伝え、領土問題の解決を前提とする平和条約締結の重要性に言及し、早期実現へ協力を要請したとみられる」ということだ。これはスタンダードな切り口である。

    これはもちろん、安倍首相が昨年ソチで言及した「新しいアプローチ」ではなく、日本政府のいつもの立場である。この、いつもの立場に基づいていては、日露関係にどんな新しい動きも生まれない。それはここ最近何十年の歴史が証明している。

    安倍内閣の支持率が激しく低下し、露米関係が非常に流動し、関係完全崩壊の崖っぷちで何とかバランスを取っている条件下では、安倍氏がわざわざリスクをとって、島々に対する日本の立場を一新しようと、新しくイニシアティブを取るとは思えない。

    プーチン氏は明らかに、日露関係への関心を失っているようだ。日本はもちろん影響力のある国であり、ロシアは日本と全ての分野で建設的な関係でいなければいけないが、ロシア政府は今、極東における安全保障の問題についてより心配している。

    そのことは第一に、ロシア国境における米国の軍事的な脅威と関係がある。戦略的抑止力となっている、オホーツク海に配備されているロシアの弾道ミサイル潜水艦が米国の脅威にさらされている。第二に、朝鮮半島情勢がある。北朝鮮は戦闘準備ができており、米国は何をしだすかわからない。これは将来的な核戦争の震源になってしまうかもしれない。このようなことは、西側諸国からイランとイラクが世界の脅威だとみなされていた中東においてさえ、なかったことである。ロシアと中国はこの状況の中を、何とかうまく切り抜けなければならない。両国は国連安保理で北朝鮮に対する非常に厳しい制裁に賛成し、つい最近、米国議会によって自由に外交を遂行する権利を制限された、すなわち対ロシア制裁強化法案に署名するはめになったトランプ米大統領の顔を立てた。また一方では北朝鮮に対し、米国が北朝鮮に対し軍事介入するのを思いとどまらせるために露中は力を尽くしてきたが、これ以上は限界であるというメッセージをはっきり送った。

    こういった外交工作は全て、来たる危機を防ぐためのもので ある。その危機はもしかするとかつてのキューバ危機より深刻になってしまうかもしれないし、戦争に発展する可能性もある。ロシアは日本のことを、こういった外交工作を一緒に展開する相手としてはみなしていない。

    コメルサント紙が伝えたところによると、ロシアは当初、マニラの会合の範囲内で、ロシア・米国・中国が北朝鮮問題を話し合う三者協議を提唱していたという。しかしニューヨーク国連本部における安全保障理事会で北朝鮮に対する制裁決議が通った今、それをする必要性はなくなった。とりあえず、北朝鮮が新しいミサイルを発射しない限りという条件つきではあるが。

    アジア太平洋地域における安全保障を担保するシステムの未来の模範となるかもしれないこのプロセスにおいて、今のところ日本の存在感はない。中国とロシアはあらためて、両国の戦略的利益の共通性をはっきりと誇示した。その中露の共通利益は、日本の利益とは一致しないように思われる。

    こういった条件の中でクリル問題の討議を含む日本との対話は、それなりの意味は有してはいるものの、プーチン氏の外交問題のスケールを加味すれば、その優先順位は目に見えて下がっている。南クリルでウニを養殖するという話は、今プーチン氏が興味を持っていることではないのだ。

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    露日経済協力, 露日関係, クリル諸島, 日本, ロシア
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