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    日露の政治学者が読み解く衆院解散:全ては野党次第? 悪さ加減の選択

    © AFP 2017/ Yoshikazu Tsuno
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    徳山 あすか, タチヤナ フロニ
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    9月28日、日本の衆議院が解散された。安倍首相は今回の解散を「国難突破解散」と命名。公示は10月10日、投開票は22日だが、小池百合子東京都知事が国政新党「希望の党」を立ち上げたことを皮切りに、政局が動き続けている。

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    日本政治に詳しいロシア科学アカデミー極東研究所・日本研究センター長のワレリー・キスタノフ氏は「今回の衆院解散は安倍氏のエゴイスティックな考えによるもの。結果次第で、自民党総裁3選の可能性はなくなる」と話す。

    キスタノフ氏「臨時国会の冒頭で解散したのは森友・加計問題を追及され、自身の『表面をあぶられる』ような事態を避けるため。安倍氏は、衆院選が2018年にずれこんでしまっては野党が統一戦線を組んでしまうと懸念したのでしょう。希望の党は改革保守政党と銘打っていますが、私には政策面で自民党と希望の党の大きな違いは見えません。希望の党はかなりの票数を自民党から奪う可能性があると思います

    勝敗ラインについて安倍首相は、自民、公明両党で過半数(233議席)と話している。解散前の与党の議席は320議席だった。今回の選挙における定数は現行の475議席から10席減って465議席となる。2014年の衆院選でも勝敗ラインは「与党で過半数」だったが、今回は少し事情が異なる。

    キスタノフ氏「与党が勝つのは間違いないと思いますが、ギリギリで過半数を確保したとしても議席を大幅に減らせば、安倍氏を総理の座に据えておくことに対して自民党内で異論が出てくると思います。そもそも自民党総裁連続3選は前例のないこと。すべては希望の党の議席数にかかってくるでしょう

    有権者の心理に詳しい関西学院大学法学部の善教将大(ぜんきょう・まさひろ)准教授も、現段階では自民党が優位だとみている。

    善教氏「ここ最近で、自民党への支持率が急激に下がったというような世論調査の結果は確認されていません。安倍内閣への支持率は確かに森友・加計問題で一時的に下落しましたが、その後、回復基調にありました。今解散しても、十分な議席を確保できるという見込みがあったからこそ、安倍首相は解散に打って出たのだと思います。スキャンダル等で自民党への不信感が高まったのは事実かもしれませんが、それが直ちに自民党の敗北をもたらすわけではないでしょう

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    © AFP 2017/ Toshifumi Kitamura
    それは数字にも現れている。9月30日に読売新聞社が発表した世論調査では、衆院比例での投票先は、自民党が34%で最多を占め、希望の党が19%で2番目だった。いっぽう、善教氏は「今回の選挙の最大のポイントは野党」だと話す。

    善教氏「希望の党には政策的な柱があるとはいえず、また支持基盤も確立していません。しかし、それでも希望の党は一定の票数を獲得するでしょう。そこには民進党や共産党が自民党に代わる選択肢になり得るかという問題があります。政治学者による拒否政党度の調査結果を見ると、民進党や共産党への拒否度は極めて高く、その可能性は低いと言わざるを得ません。選挙において有権者は『悪いけどマシ』な選択肢を選ぶことがあり、これを政治学では『悪さ加減の選択』と言ったりしますが、わからないという事は『悪い』ことがわかっているよりもマシなのでしょう

    希望の党への合流をめぐり民進党も混乱している。合流容認派は依然として多数ではあるものの、枝野幸男代表代行が無所属での出馬を検討したり、辻元清美幹事長代行が希望の党入りを拒否するなど、一枚岩とは言えない。また党内のリベラル派をまとめる赤松広隆元衆院副議長は、希望の党に合流できない場合の選択肢として無所属のほか、新党結成の可能性も否定していない。民進党公認での出馬を容認せよという声さえもある。

    善教氏は「公示日までまだまだ情勢は動いていく。さらに希望の党が今回の選挙で最大野党となったとしても、一枚岩ではないので、今後分裂する可能性は十分にある」と指摘している。

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