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ニクソン氏の経済政策のうち最も予測不可能だったのは米国による一方的なドルの金本位体制の放棄だった。これはブレトンウッズ体制の終焉を事実上意味した。だがそれだけではない。ニクソン氏の経済ショック療法は中国にまで波及した。1972年にはすでに、あの共産主義体制を嫌悪するとして有名だったニクソン氏は全く予期せぬ手に出た。つまり毛沢東氏と会談して、米中関係正常化の緒を開いたのだ。ロシア高等経済学校の日本専門家、アンドレイ・フェシュン氏はこれについて次のように語っている。
「当時ニクソン大統領は突如として北京に現れた。今回のアジア歴訪ではトランプ氏が日本、韓国の後に絶対に中国に立ち寄ることはあらかじめ明らかになっているが、中国の指導者と彼が何の話をするのかは、知る人は誰もいない。」
フェシュン氏は、アジア太平洋地域で地政学的な同盟国を(何よりもまず朝鮮民主主義人民共和国から)擁護するという約束は日本は取り付けることができるだろうが、経済的な地政学のほうは、トランプ氏は日本ではなく、中国で探りを入れるぐろうとの見方を示している。
「専門家らの意見は今、グローバル連合のエポックは過去のものになりつつあるということに集約されている。だがそれに取って代わる新たなものはまだ誕生していない。と同時に2つの大国が屹立する、または1つの超大国が主導権を握るエポックもまた終わってしまい、『不明瞭なエポック』が始まった。このエポックは経済分野にもますます広がっている。こうした不明瞭さのなかで経済の新しいアイデアが必要な時、トランプ氏が中国に重きを置く可能性は十分にある。私としてはショッキングなトランプ氏は、かつてのニクソン元大統領のように何らかの突拍子もない手に出ることもあり得ると思う。」
なぜ連合国の日本には重きが置かれないのか。日本はどの点で中国に負けており、トランプ氏の訪問後はどうなるのだろうか?
「米国にとって今、最優先課題はロシアに対抗することで、第2が中国との経済競争だ。トランプ氏はこのライバル競争を展開することで米国にとってマイナスではなく、何らかのプラスを得たいと思っている。なぜならトランプ氏にはすでにロシアという頭痛の種があるからだ。そしてようやく3番目に日本との戦略同盟国関係が入る。同時に日本経済は依然としてデフレ状態から脱却していない。低いGDP成長率のために10年から20年前の状態にとどまり続けている。だがアベノミクスをおいて経済健全化が図れるという実際的な提案も事実上ない。TPPも全体の流れからすると、プロジェクトとしては近い将来まで凍結されている。それに再開されたとしても将来は中国、米国の提案にかかっている。」
これとは全く逆の見解を持っている、中国の外交学院外交学系教授 苏浩(ス・ハオ)氏へのインタビューをご紹介しよう。
「実際、米国は長きにわたって積極的に金融を惹きつけ、自国のリソースを費やしてきた結果、ほぼ財布の底をはたいてしまった。この状況で米国は経済強化のため他の国を必要としており、その中には中国も入る。ところが計座協力の分野で米国にとって必要とされる国は中国にとどまらない。日本との協力だって、そのほかの国だって米国には要るのだ。ある程度、米国には大きな変化を起こす必要性はあるものの、それは今の世界の経済秩序に襲いかかるようなものでは全くない。このことからトランプ氏が『新ニクソンショック』を起こす確率はゼロに近いと思う。」
いずれにせよ、21世紀に「トランプショック」が起るかどうかは近日中にも明らかにされる。トランプ大統領は日本を11月5日から7時まで公式訪問し、その後韓国、中国へと渡る。10日から12日のベトナムでのAPECサミットにもおそらく出席するだろう。ハノイではトランプ氏はチャン・ダイ・クアン国家主席他、公式人との会談を予定している。
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