北朝鮮とトランプ大統領 相互理解の完全な欠如

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米ウォールストリートジャーナル紙が実施した世論調査によると、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の行動に対するトランプ大統領の対応を支持する米国民の割合は34%にとどまり、逆に51%が支持していない。トランプ氏の大統領としての仕事ぶり全体に対する不支持率は58%に上る。アジア地域における危機に対するトランプ氏のアプローチへの支持率の低さは何を引き起こすだろうか。現在トランプ氏が自らの感情の爆発に従って行動しており、このことは老練なビジネスマンとしてはふさわしくても、政治家としては全くふさわしくない、という点で専門家の意見は一致している。

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テネシー州選出のボブ・コーカー米上院外交委員会委員長(共和党)は米CBSテレビとのインタビューで、北朝鮮とその指導者に対するトランプ氏の方針を批判し、トランプ氏の行動は北朝鮮をめぐる緊張緩和に向けた外交努力を損ねており、地域における軍事的対決の危険を高めているとして次のように述べた。

「我々の(ティラーソン)国務長官が、北朝鮮との軍事紛争に我々が引きずり込まれるのを防ぐ何らかの手段を見出すために、この問題における最も重要なパートナーである中国との交渉のテーブルについている時に、大統領は彼の膝の皿を叩き割っているのだ。これは我が国に損害を与える行為だ」。

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さらに、「大統領がツイッターで他国の指導者を嘲笑するような書き込みをしていることは、地域の緊張を生み出すことにつながっているだけだ」とも述べている。コーカー氏がトランプ氏を批判するのはこれが初めてではない。10月初めには、「大統領がリアリティショーのホストのように振る舞っており、複数の他国を自ら威嚇することで『第三次世界大戦』を引き起こす可能性がある」と述べている。

ロシア連邦会議(上院)国防安全保障委員会のアレクセイ・プシコフ委員はロシアのニュースサイト「プラウダ・ルー」に対し、トランプ氏は自らの発言において、熟慮された政治的方針よりも、自分の感情の爆発を表現しているとして次のように述べている。

「米国は自国が傷つかない戦争をするのに慣れている。だが、もし米国の領土に損害が加えられれば、トランプ氏にとって非常に大きな打撃となるだろう。場合によっては、決定的な打撃にさえなるかもしれない」、「北朝鮮問題で米国が袋小路に陥っているということを考慮に入れなければならない。これは非常に危険な状況だ。というのは北朝鮮に影響を与える梃子がない状態では、どこかの段階で米政権内の多数派の意見が武力行使支持に傾く可能性があるからだ」。

そしてこの武力行使の代償は高くつくだろう。このような意見をロシア戦略調査研究所のユリヤ・クリャチキナ氏は「スプートニク」に語り、以下のように述べている。

「金正恩氏をさげすむようなトランプ氏の発言は、北朝鮮を破壊するとした発言と同じように、あまりに感情的な表現だと私は考えている。今米国では、北朝鮮に対して戦争に踏み切ることができるかどうかについて真剣な議論が行われている。当然ながら大部分の専門家は、そのような戦争の代償は極めて大きいものになると述べている。北朝鮮をめぐる情勢が今後どのように発展するかを予測するのは困難だが、それはとりわけ米国自身が情勢を緊迫させているからだ」。

ロシア地域問題研究所のドミトリー・ジュラブリョフ所長は、トランプ氏は北朝鮮に対して責任ある政治家ではなく、ビジネスマンとして振る舞っているとして「スプートニク」に対し次のように述べている。

「トランプ氏が北朝鮮問題を専ら軍事力で解決しようとしているとは私は考えていない。交渉が自分たちに必要な結果を伴わない場合、あたかも自分たちは交渉したいと望んでいないような態度をとるという、相手を恐喝するときの基本的手法をとっているのだと思う。ビジネスの世界ではそのような圧力のかけ方は広く用いられているが、このような場合には状況がひとりでに動き始めるということをトランプ氏は考慮に入れていない。もし交渉が続行されなければ、このことから相手方は一定の結論を導き出し、両者とも軍事的解決に向けた準備を加速させることになる」。

ロシア軍事科学アカデミーのセルゲイ・スダコフ教授はロシアのラジオ局「ヴェスチFM」の番組で、軍事的解決は米国も北朝鮮もどちらも望んでいないという見解を示し、以下のように述べた。

「トランプ氏が何を言っても、米国が北朝鮮を破壊したいと望んでいないことを皆が分かっている。なぜならそのための支出が米国にとってさえあまりに莫大であり、武力行使が自分たちの同盟国である日本と韓国にとって危険なものだからだ。北朝鮮も米国を破壊したいとは思っていない。北朝鮮は静かに放っておいてほしいだけなのだ」。

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ホワイトハウス 露中の北朝鮮への働きかけに大きな期待
北朝鮮政府が米国の複数の専門家に対し、トランプ氏の対北朝鮮政策を説明してほしいと依頼したことが、米ワシントンポスト紙の報道で9月に明らかになった。中でも、元米中央情報局(CIA)副部長で朝鮮半島問題を担当していたブルース・クリングナー氏は、協議のため平壌を訪問するよう北朝鮮の国連代表部によって招待された。同じような依頼は元米国家安全保障会議(NSC)メンバーで現在カーネギー国際平和財団副所長を務めるダグラス・パール氏に対してもなされた。同紙の取材を受けた関係者は、「北朝鮮にとっての主な問題はトランプ大統領だ。彼らはトランプ氏を理解できないでいる」と述べている。クリングナー、パール両氏とも、今回の北朝鮮からの依頼を拒否したという。

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