脱北兵 二度と軍部システムには戻りたくない

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韓国との軍事境界線を越えた脱北兵は数度の外科手術の後、意識は回復したものの、依然として重体の状態が続いている。11月13日の脱走の際に、兵士は5か所に重い傷を負い、2度の大手術を受けた。要された輸血量はおよそ12リットルにも及んだ。現在、兵士は昏睡状態から覚め、意識を回復した。医師らは命の別状はないものの、傷の後遺症は一生涯残ると語っている。米国に本部を置く中国語専門のTV局「新唐人テレビ」(NTDテレビ)が報じた。

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負傷した脱北兵を収容した水原(スウォン)市の病院は韓国軍によって警護体制が敷かれている。兵士と会話したほぼ唯一の人物であるリ・ククユン医師は、「いい人だ。たくさん話ができた」と語っている。兵士は医師に自分は24歳で17歳から従軍していると語ったが、リ医師が冗談まじりに回復したら韓国軍で働くかと持ち掛けると、「もう二度と軍隊システムには戻りなくない」と答えたという。

この脱走事件は核爆弾やミサイル実験、海上演習といった従来の南北朝鮮間の話題を大きく退け、ここ2週間にわたってトップニュースであり続けている。あまりに潔い行為の動機はまだ明らかにされていない。脱北兵がそれを語るとしても、情報を得るのは韓国の諜報機関のみだ。北朝鮮から韓国へと国境線を超えようとする試みは年間数千件も発生している。韓国へうまく逃げ込むことのできた兵士を待つのは、まずは韓国軍部による尋問だ。

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発表されたビデオを見る限り、今回の逃亡は衝動的なものに近い感がぬぐえない…。ロシア科学アカデミー極東研究所、朝鮮調査センターの上級研究員キム・ヨンウン氏は、こういうケースの逃亡に対し、北朝鮮が使う常套文句は、この人物は犯罪を犯し、刑を科せられているというものだが、その信ぴょう性を調べるのは不可能であり、全体のコンテキストから本人は絶望からこうした行為に及ぶことを決断したと予想できると語っている。

過去の歴史にはこうした越境の逃亡劇はソ連にも東ドイツにもあった。ベルリンの壁を乗り越えた逃亡者らの動機にあったのは犯した行為への処罰の脅威だけではない。政治的路線、イデオロギーをどうしても容認できない、権力機関が政治的動機などで執拗に追跡してくる、強い参戦拒否、外国での良い生活への憧れなどもあった。私から見ると、今回のケースの動機はこれから行われるとみられる戦争への参戦拒否なのではないかと思われる。少なくともこれだけの代価を支払ってまで逃亡を企てる他の原因は見つけにくい。

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