00:38 2019年08月21日
緑のチェブラーシカとゲーナ

緑のチェブラーシカがいる町「チェボクサルィ」で楽しむ個性派博物館めぐり【写真】

© Sputnik / Asuka Tokuyama
オピニオン
短縮 URL
徳山 あすか
0 80

ロシアが誇る美しき大河・ヴォルガ川をバックに、緑色のチェブラーシカがお出迎えしてくれる町、それはチュヴァシ共和国の首都、チェボクサルィだ。チェブラーシカの隣には親友のワニのゲーナもいて、歯まで精巧に作られている。祝日ともなれば川辺には数々の出店が立ち並び、地元民や観光客でにぎわう。

スプートニク日本

モスクワから1時間のフライトで行けるこの町には、小ぢんまりとした個性的な博物館がたくさんある。最近、筆者はそれらの一部を見学する機会に恵まれたので、個人的に気に入った博物館を紹介しよう。

  • チュヴァシのお土産屋さん
    チュヴァシのお土産屋さん
    © Sputnik / Asuka Tokuyama
  • チェボクサルィの風景
    チェボクサルィの風景
    © Sputnik / Asuka Tokuyama
  • 町の名前入りお土産
    町の名前入りお土産
    © Sputnik / Asuka Tokuyama
  • チュヴァシドラマ劇場にて、ミュージカルのフィナーレ
    チュヴァシドラマ劇場にて、ミュージカルのフィナーレ
    © Sputnik / Asuka Tokuyama
1 / 4
© Sputnik / Asuka Tokuyama
チュヴァシのお土産屋さん

①刺繍博物館・かつては仲人の役を果たした刺繍

チュヴァシ共和国にとってチュヴァシ刺繍は名刺代わりともいえる、古くから伝わる重要な文化である。チュヴァシ刺繍は2009年に東京・銀座で行なわれたロシア民族工芸展にも出品され、人気を博した。17~18世紀のチュヴァシ刺繍の最大の特徴は「読める刺繍」であることだ。模様のひとつひとつには哲学的な意味がこめられている。美術研究家のアレクセイ・トロフィーモフ博士は、チュヴァシ人の祖先が古代ルーン文字を刺繍の中に表現していることを発見した。最古の展示品の中には、古代中国の象形文字と思しき模様が刺繍されている作品もある。

18世紀、女性は5歳くらいから刺繍を始めていた。結婚前には、未来の夫のスカーフを縫うことが花嫁の重要な役目だった。縁談にあたっては外見の美しさや年齢よりも、仕事ができるかどうかが重視されており、縫い目を厳しくチェックされた。縫い目が整っていて、裏も表も同じように綺麗であれば、縁談が成立したという。現在は、刺繍を趣味として始める若いチュヴァシ人が増えており、博物館の建物の中で刺繍教室が行なわれている。刺繍以外にも様々な部屋があり、地元のアーティストの絵画や、銀貨で飾られたチュヴァシ女性の伝統的な頭飾りを見ることができる。

②チュヴァシ美術館・絵画から知る伝統文化

チュヴァシ美術館には、ロシア絵画の巨匠の作品のほか、この地方で活動した画家のご当地絵画が多数所蔵されている。華やかな色彩でひときわ目を引くのは、チュヴァシの伝統的な婚礼の様子を描いた「チュヴァシの結婚式」だ。館長のゲンナージー・コズロフ氏も、現役の画家。ヴォルガ川マニアで、ヴォルガ川が見渡せる場所にアトリエを構え、ヴォルガの叙情的な風景を描いている。

筆者が訪れた日はちょうど、チュヴァシ共和国・人民画家のコンスタンチン・ドルガショフ氏の特別展がスタートした日だった。ドルガショフ氏は「ロシアにおけるヨーロッパ文化の影響はとても大きく、チュヴァシも例外ではない。何世紀にもわたって独自の伝統文化を守り続けている日本に大いに学ぶべきものがある」と話した。チュヴァシの芸術家にとって、独自の民族文化をどう守り発展させていくかは、大きな関心事である。

チュヴァシ美術館所蔵「チュヴァシの結婚式」
© Sputnik / Asuka Tokuyama
チュヴァシ美術館所蔵「チュヴァシの結婚式」

③ニコラエフ・アンドリアン宇宙飛行士博物館で見た、雨ざらしのお宝

チェボクサルィから30キロほど離れたところに、ショルシェルという小さな村がある。ショルシェルは、ソ連で3人目の宇宙飛行士となった、アンドリアン・ニコラエフの生誕地で、村には彼の功績を称えた宇宙飛行士博物館がある。アンドリアンは1962年と1970年の2回、宇宙に飛び立ち、2回とも当時の宇宙空間滞在最高記録を更新した。筆者が訪問したときは、この博物館に勤めて40年になる、ベテラン学芸員のタマーラ・レべヂェワさんが熱心に解説してくれた。

博物館には往年の宇宙食やスパイ衛星のレンズ、宇宙服、帰還後に宇宙飛行士が猛獣から身を守るための銃やナイフなど、ユニークな展示品がある。ひときわ目を引くのがソ連が戦後に作った黒塗りの高級車「ZIS-110」だ。1962年9月、ニコラエフがチェボクサルィの中心部で凱旋パレードを行なった際に乗ったものだ。

新しい展示品もある。博物館の建物に入りきらず、路上に放置、もとい、展示されているのが、「ソユーズTMA-1」の帰還カプセルである。表面は焼け焦げていて、着陸の様子が想像できるほど生々しい。これを寄贈したのは、やはりチュヴァシ共和国出身の宇宙飛行士、ニコライ・ブダーリンだ。ブダーリンは全部で3回宇宙に滞在した。3回目の滞在を終える時、アメリカ人宇宙飛行士2人を含む3人で、このカプセルに入って地球に帰還した。この帰還カプセルを買いたいとアメリカから買取の申し込みがあったが、ロシア側はそれを断り、この博物館に展示することが決まった。しかし、やはり屋外に展示されているアンドリアンの車「ヴォルガ」と比べると、ヴォルガはきれいに修復されてガラスケースに入っているので、カプセルがちょっとかわいそうである。

ソユーズTMA-1帰還カプセル
© Sputnik / Asuka Tokuyama
ソユーズTMA-1帰還カプセル

アンドリアンは2004年に亡くなり、翌年、博物館の敷地内に現代的な墓所が建てられた。棺がおさめられた墓所は、あの世でも星が見られるようにと、透明なガラス張りになっている。

チュヴァシ共和国はロシアで一番のホップの生産地で、町の中心部にはビール博物館がある。今回は残念ながらビール博物館に行く暇がなかったので、次回訪問時に訪れたい。

タグ
文化, ロシア
コメント・ガイドディスカッション
Facebook経由でコメントスプートニク経由でコメント
  • コメント