「ソ連にはセックスがなかった」 — ならば、現代ロシアにはセクハラも存在しないのか?

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米国のセクシャルハラスメント暴露騒動は山火事のように瞬く間に拡大した。テレビ司会者からショービジネスやコミック界の大物、宣教師、GoogleやTesla社の役職者など、多くの人物がセクハラ問題で告発され、非難の的となっている。12月6日付の米タイム誌は、年末恒例の「今年の人」に、具体的な人物ではなく、性的な嫌がらせや暴力被害の公表を決意した女性たちを選んだ。だが、長い間沈黙を守ってきた彼女たちは、何故今になってこのような動きに出たのだろうか。

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この問題について、心理学者であり性科学者のユーリィ・コヴァリチュク氏は次のように解説する:

セクハラ被害者の対象となるのは、身持ちが悪く、挑発的な服装で誘いの声に乗りやすい女性だという意見があるが、実際は全く異なる。このような女性は相手にたやすく反撃を与えるか、或いは訴え出たりしないものだ。昨今の暴露騒動を起こしたのは、概してメディアの人間や俳優たちだ。俳優とは、人々の関心を自分に向けたがるという、性格的に感情的な力点のある人々である。そして今ではセクハラ被害者という立場の人気が急上昇した。かつては映画出演のために多くの代償を覚悟し、ある種のニュアンスに目をつぶっていた人々が、今や注目を浴びたいがためだけに喜々として汚れた下着の埃を落とそうとしている。本当のセクハラ犠牲者とは、臆病で人を信じやすく、自分に自信のない女性たちだ。彼女たちは優しく耳障りの良い言葉をスポンジのように吸収し、自分に注意を払い温かく接してくれる人間にいとも簡単に「なついて」しまう。もちろん彼女たちにとっても攻撃的な嫌がらせは不愉快で耐え難いものだろう。しかしその意志は、反撃に遭う恐れや羞恥心のため、そして周囲の支持が得られる確信がないことから麻痺してしまっている。このような女性たちは侮辱に黙って耐える道を選ぶことが多い。

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「ヌードルハラスメント」 外国人からの視点
米コスモポリタン誌は2015年に18歳から34歳までの働く女性2235人にアンケートを行った結果、3人に1人が職場でのセクハラに遭っていたことがわかった。一方、ロシアの世論調査機関「レバダ・センター」が今年12月7日に発表したアンケート結果では、性的な嫌がらせを受けていると考える女性は僅か8%だった。66%の女性は過去にもそのような被害に遭った記憶がなく、13%は稀に受けたことがあると回答。頻繁な嫌がらせに遭っていると回答したのは5%に留まった。欧米に比べると低いこの数字は、ロシア人男性の行動文化だけでなく、ロシア社会におけるこの問題のタブーも関係しているとレバダ・センターのアナリストは説明する。

1986年、ソ連のレニングラード(現サンクトペテルブルク)市とアメリカのボストン市で中継対話が行われた際にソ連側の女性が行った発言「ソ連にはセックスがない」とは、今日なおミームとして拡散している。もしかすると現代のロシアにもハラスメントは存在しない問題なのだろうか。コヴァリチュク氏は自身の見解を次のように続けた。

善良で友好的な関係と、異性からの誘惑や嫌がらせの境界はあまりはっきりとしていない。しかし、セクシャルハラスメントの意味とは、性的な望ましくない提案もしくは執拗な暗示と考えられている。ここで重要なのは『望ましくない』という語だ。ロシアでこれに相当するのが明確な身体的動作である一方、米国では、性的な相違が際立つようなほぼ全てのコミュニケーションがセクハラとみなされてしまう恐れがある。米国で起きた訴訟の中には、単なる解釈の違いやあやふやな冗談、短すぎた接近距離、含みのあるジェスチャーが原因だったケースも相当数ある。ロシアの法律にも「性的意味合いをもつ行為への働きかけ」という項目がある。だが、このような嫌がらせの事実を証明するのは難しい。大抵は一対一の場面で起きるものであり、しかも嫌がらせが言葉によるもので身体に傷が残っていない場合、その証明は更に難しくなる。

今回欧米で広がっている騒動では、興味深いことに、問題が犯罪行為ではなく、男性たちの愚かな振る舞いにあるという焦点が不明瞭になっている。だが「被害者たち」は、彼らによって心理的なトラウマを受け、今なお苦しんでいると主張する。ところで、社会的な成功を収めている裕福な男性に対し、性的被害を受けたという主張によって金銭を受け取ろうとした女性も少なくない。ビル・クリントン元米大統領を4人の女性が2000年代初めに受けたセクハラ被害で告訴しようとした出来事も、さほど過去のことではないだろう。しかし米紙ニューヨーク・タイムズの報道では、彼女らは和解金など金銭の支払いと引き換えに訴訟を取り下げることに合意したとされている。なお、現在のアメリカ大統領に対しても、不名誉な情報が存在すると言われている。トランプ氏はセクハラ問題で辞任に追い込まれるのだろうか — それは時が経てばわかることだろう。

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