18:10 2019年09月22日
増加する訪日外国人観光客に日本は対応できるのか 日本の民泊事情とAirbnb

増加する訪日外国人観光客に日本は対応できるのか 日本の民泊事情とAirbnb

© AFP 2019 / John Macdougall
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日本政府は2020年の訪日外国人観光客数を4000万人とする目標を設定した。同年に東京オリンピックを控えた日本では、訪日外国人に快適な滞在を提供するための大掛かりな改革が既に行われている。それだけに、いくつかの東京都区部において、住民の不安に配慮するという理由で、外国人宿泊先としての個人住宅の短期提供を規制する動きが出ていることは驚きだ。日本での外国人観光客受入整備、その一方での大手民泊情報サイト「エアビーアンドビー(Airbnb)」使用禁止をめぐる動きについて、スプートニクは情報を収集した。

スプートニク日本

日本は全ての観光客を受け入れられるのか

2017年の年間訪日観光客数は12月の時点で昨年の過去最多を超えることが明らかとなった。日本政府観光局(JNTO)によると、2017年1月から9月までの年間累計は2100万人超。なお2016年全体では2400万人を超えていた。東京五輪が開催される2020年には、冒頭に述べたとおり、この数が4000万人に達すると期待されている。

みずほ総合研究所が発表した報告書は、訪日外国人観光客の増加に伴い、宿泊先の客室不足問題が顕著になっていると指摘。2020年8月の不足数は最大で2万2000室になるとも予想される。同報告書によると、ホテル滞在よりも一般人が提供する民泊を好む外国人が昨年一年間で増加したという。このような傾向が今後も続けば、この民泊サービスこそが2020年に予想される客室不足を緩和する一助になると考えられる。

ロシア、米国、ヨーロッパの人々の間ではかなり以前から、海外旅行に際しインターネット上の短期住宅賃貸サービスが広く利用されている。アパートや住宅の一室での宿泊料金はホテルよりも安いことが多く、個人宅に滞在した方がその国の文化も良く理解できる。中国でもインターネットの部屋予約サービスの利用者は多く、同国内サイト「小猪(Xiaozhu)」は市場最大手Airbnbの地位を揺るがす存在ともなっている。「小猪」の強みは、インターネット経由で部屋を予約した宿泊者の識別問題を解消した点にあるだろう。サイトに登録されている部屋の全てに「スマート錠」が設置され、予約者の入居時にスキャナで顔を読み取り、その画像データが予約時に提出済みの写真と一致した場合のみ解錠されるというシステムだ。一方日本では、短期住宅賃貸すなわち民泊サービスに不動産所有者は今も不信感を抱き、新しいが故に理解しがたいものと捉えられている。

日本ではAirbnbが崩壊?

外国人観光客の増加傾向を受け、日本では民泊の営業規則を定めた住宅宿泊事業法(民泊新法)が来年6月に施行される。これに従い、家主は自治体に必要な届け出を行えば年間180日以内の民泊営業ができるようになる。この新法は個人の貸し手(ホスト)にとっては朗報だったはずだが、同法内で定められた例外的措置が逆に障害となり得る。各自治体は十分な理由がある場合において、民泊の営業日数を条例で短縮することが認められるからだ。実際に複数の東京都区ではこの制度を利用し、民泊の独自規制に乗り出している。例えば新宿区と中野区は住宅専用地域での月曜日から木曜日までの宿泊を禁止、世田谷区では同じく月曜日から金曜日まで、大田区に至っては全面禁止の条例を制定しようとしている。都心の千代田区も民泊を規制する方針だ。

このような規制の動きは、Airbnb利用者には痛手となるだろう。NIKKER STYLEサイトが取材した民泊ホストのミチコさん(仮名)によると、彼女の宿泊者(ゲスト)たちは3日以上連泊することが多い。だが居住地の世田谷区の条例案で民泊営業が認められるのは週末の2泊と祝日のみ。「東京は見るところがたくさんあって、2泊では短すぎます。もっと長く滞在したければホテルに移ってください、なんて頼めません」条例が施行されれば、3泊以上の連泊を予定する観光客がホテル滞在を選択するようになるのは明白だ。このためミチコさん達のような民泊ビジネスが損失を被る可能性は高い。

ジャパンタイムズ紙の12月1日付の論評記事「Tokyo condos shut doors on Airbnb and other vacation rental businesses」では、分譲マンションの所有者組織がAirbnbを利用した物件の一時的な有料貸出や民泊利用を禁止していることが書かれている。

個人物件の貸出に反対しているオーナーグループの代表シマダ・ダイスケさんは同紙の取材に対し、「治安の良さはここでの生活のメリットの一つなのです。見知らぬ訪問者にまつわる問題を解決するつもりはありません」と話す。このような現状をNIKKER STYLEでは次のように記述している:

民泊の独自の規制の背景にあるのが、一部住民の外国人に対する恐怖心だ。新宿区が11月15日に開いた民泊問題対応検討会議では、警察の出席者が「見知らぬ外国人がうろうろして気味が悪いという苦情が最も多い」と発言。

主な苦情として、騒音、汚れ、短期間ではホストとゲストが良い人間関係を築くことが不可能である点が挙げられた。

Airbnb側の反応

ジャパンタイムズ紙がまとめたAirbnbサービスに対する日本の「閉ざされた扉」の現状に衝撃を受けたスプートニク編集部は、Airbnbの関係者に話を伺った。
取材に応じた共同ピーアール会社の古川雄大さんは、Airbnbが不動産所有者側からの批判は受けているものの、民泊営業を認める民泊新法を評価し、五輪観光客への宿泊先提供でAirbnbが果たす役割に期待している。

「来年施行される民泊新法は、Airbnbを既に利用している数千人の日本人にとっては喜ばしい知らせでしょう。外国人ゲストに空き部屋を提供して追加収入を得ようとする地域住民にとっては不可欠な明確性が、この法律によって保証されるからです。また日本はアジアの最大市場であり、冒険と物珍しさを求める旅行者達によって市場は拡大し続けています。このためゲストにとっても朗報となるでしょう」

古川さんによるとAirbnbを経由したホストサービスで2016年だけで9200億円(83億ドル)が日本国内に流入したことから、民泊ビジネスは日本経済にも貢献していると話す。同社のサービスを利用したゲスト数は全国47都道府県で約500万人に上った。またAirbnb社には、海外W杯や2016年のリオ五輪など大規模国際行事の観光客受入で各国政府と協力してきた経験がある。2018年の平昌五輪では公式パートナーにもなっている。これらの豊富な経験を持つ同社だが、日本の不動産所有者が抱く外国人や新ビジネスに対する不安を払拭していけるだろうか、今後の動きが興味深い。

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旅行, 観光, 日本
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