日本がロシアに見出すのは戦略的な関係、或いは脅威をもたらす存在か

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2018年の露日交流年で開催される300行事のうち、27の行事は両国の防衛機関によるもの ― ロシア軍のヴァレーリ・ゲラシモフ参謀総長は今週の訪日時に明かした。防衛関連行事として軍艦の相互寄港や研修交流、軍記念行事などが予定されているという。

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ロシア軍参謀総長の訪日が実現したのは7年ぶり。両国防衛当局間の関係は、今年3月の外務・防衛閣僚協議(2+2)以来、改善を見せている。閣僚協議終了後、セルゲイ・ショイグ国防相は協力の凍結は誰にも利益をもたらさないと指摘し、ロシアは「関係回復のための建設的な作業」を進める用意があると話した。その後11月にはロシア陸軍総司令官のオレグ・サリュコフ上級大将も日本を訪れた。

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防衛関係回復の中でも、特に海上協力に関することが決められた。ゲラシモフ参謀総長と自衛隊の河野克俊統合幕僚長との会談では、共同海上救助作戦の継続が協議されたほか、事故に遭った潜水艦の捜索に関する政府間合意を日本と共に作成していく意向をロシア側が示した。この政府間合意によって、潜水艦捜索や乗組員救助作業を規定する法的な仕組みが成立し、一刻を争う現場での時間を大幅に減少できる。

その一方で、ロシア軍幹部の日本訪問の背景には地域情勢の緊迫化があることにも触れるべきであろう。11月29日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は弾道ミサイル発射実験を行った。そして先週は2日間にわたる日米韓3カ国の海上演習で、北朝鮮のミサイルを想定した探知訓練が行われた。しかし日本が憂慮するのは北朝鮮だけではない。ロシアは昨年、地対艦ミサイル「バスチオン」と「 バル」を南クリル(北方領土)の択捉島と国後島に配備しており、今後は更に千島列島中部のマツア(松輪)島と同北部のパラムシル(幌筵)島にも配備する計画が報じられている。この地対艦ミサイル配備についてロシアは、海峡の管理や船舶航路の護衛、太平洋艦隊の安定的な戦略的軍事力向上を目的とする統一沿岸防衛システムを極東地域に創設するためだと説明している。

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これらの状況を踏まえればロシアと日本の防衛当局の関係は極めて重要であると、 極東研究所日本調査センターのヴァレーリ・キスタノフ所長は指摘する。

「日本はロシアの南クリルでの防衛強化や露中の軍事的接近に懸念を抱いている。一方のロシアは、日本が北朝鮮に対抗するためとして軍事的な潜在性を高めている点を強く警戒している。日本は、戦闘機搭載用巡航ミサイルの米国からの購入や、地上配備型の弾道ミサイル迎撃システム『イージス・アショア』の導入を予定し、また高高度防衛ミサイル(THAAD)の国内配備も検討している。これらは全てロシアや中国にとって脅威となり得る。だからこそ、(露日)両国の防衛当局間の接触によって、緊張を排除することはないにしても、それぞれの懸念を表明し立場を明確に伝えることは可能だ」

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今年11月にモスクワを訪問した河野太郎外相は、出発前にRIAノーボスチ通信社のインタビューに応じ、「日露関係は、無限の可能性を秘めた二国間関係である。二国間関係の潜在力を現実のものとし、日本とロシアが真の戦略的な関係を構築することは、アジア太平洋地域だけでなく、国際社会全体の利益である」と述べた。これを言葉どおりに受け取り、喜ぶこともできただろう。だが日本では今月19日に『イージス・アショア』の導入が閣議決定される方針だ。先日のティラーソン米国務長官による「前提条件なしで北朝鮮と対話する用意がある」という発言が、日本政府の方針に何らかの影響を与えるとは考えにくい。

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