18:43 2018年06月18日
日米韓首脳【アーカイブ写真】

米朝首脳会談:なぜ今なのか? 日本が果たすべき役割とは

© REUTERS / Carlos Barria
オピニオン
短縮 URL
徳山 あすか, リュドミラ サーキャン
0 37

トランプ米大統領は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と5月までに会談する。トランプ氏は「世界にとって最高の合意ができるかもしれない」と話す一方、「さっさと立ち去るかもしれない」とも述べている。会談は無謀な試みなのか、それとも朝鮮半島非核化への第一歩となるのか。日本は蚊帳の外に置かれるのか、無理やり巻き込まれるのか、あるいは積極的に対話を支持すべきなのか。スプートニクは、トランプ氏の心境と日本の役割について、ロシア・日本・そして韓国の専門家に意見を聞いた。

スプートニク日本

この会談について日本では「サプライズ」「電撃発表」だとする向きが強いが、モスクワ大学政治学部アンドレイ・マノイロ教授は、この時期が選ばれたのには意味があり、会談の実現は最低でもここ1年の水面下の交渉によるたまものであると見なしている。

マノイロ氏「北朝鮮は今こそが米国と核交渉するにあたって有利になるとふんでいます。世界中からの厳しい経済制裁、それが更に強まる可能性もあることを考慮すれば、北朝鮮は遅かれ早かれ対話のテーブルにつかねばならなかったでしょう。重要なのは、先日まで北朝鮮経済の救済役でもあった中国の立ち位置の変化です。中国から北朝鮮にシグナルが送られ、北朝鮮が、この状況の中で自国の利益を最大限確保する行動を取るようになった可能性は否定できません」

マノイロ氏は今年11月に米国で行なわれる中間選挙に注目している。中間選挙では下院全議席と上院3分の1の議席が改選されるとともに、州知事選も行なわれ、米国民全体がトランプ政権のあり方を問うことになる。与党・共和党が上下両院で過半数を維持できるかが、トランプ政権の今後を占う注目ポイントになる。

マノイロ氏「中間選挙で勝ち、2020年にトランプ氏が再選されるかどうかが焦点になります。トランプ氏としては内政問題、ロシア・ゲート疑惑から目をそらさせ、外交問題に焦点をあてさせたいのです。トランプ氏は最近まで非常に激しく感情的に、北朝鮮の脅威を非難していました。ですから彼が金正恩氏と会うことは皆にショックを与えるという意味で理想的ですし、最低半年はこのネタが使えるでしょう。もしトランプ氏が11月までに北朝鮮と非核化の合意をとりつける、またはそれに近いことができたら、彼の国際的評価も上がり、自国の安全を守るという意味でも大成功を収めたとアピールできるでしょう」

米朝会談実施が明らかになった直後の演説でトランプ氏は「国土の上空をミサイルが飛んで行った日本は、とても喜んでいる」と話した。

マイノロ氏「日本の政界ではこれまで、対話では不十分だ、軍事的圧力を高めよという声が高まっていました。しかし日本人は、朝鮮半島で軍事衝突を誘発するほぼ唯一の要因がトランプ氏であるこということも分かっています。韓国も同じ気持ちです。なので、トランプ氏の発言に対してビクビクしているのは北朝鮮ではなくて韓国の方です。今回の米朝会談は、日本と韓国にとって緊張緩和の希望なのです」

元外交官で、日朝国交正常化交渉日本政府代表も務めた美根慶樹氏(平和外交研究所代表)は、これを機会に、日本としても「圧力一本やり」政策を修正し、「対話」重視に転じるべきだと主張している。

美根氏「日本は対話について消極的な姿勢でしたが、この方針を変えるべきであることははっきりしています。安倍首相は4月にも訪米しますが、トランプ氏に会う際には、トランプ氏が金委員長と『対話』することについて、意義があるという考えで臨むべきです。これは今までの日本の政策からすれば大きな転換になりますし、それができるかどうか疑問はありますが、とるべき道は明らかです。朝鮮半島の非核化は話し合い・交渉という平和的手段によって実現可能なのですから、それを目指してもらいたい」

13日、安倍晋三首相は韓国の特使であるソ・フン国家情報院長と会談を行ない、米朝首脳会談が成功裏に実施されるよう期待を示した。しかしもともと圧力重視路線の声が大きかった日本では、韓国が日本を外した形で対話ムードのイニシアチブを取ることに懸念する声も出ている。これに対し韓国・高麗大学校付属平和デモクラシー研究所の研究員、Cho Jingu氏は、朝鮮半島の非核化には周辺国の助けが不可欠だと指摘している。

Cho Jingu氏「韓国政府は、朝鮮半島の核問題解決について、日本やロシアを除外するのは得策ではありません。我々はできる限りの配慮をもってして、南北首脳会談に臨まねばならないのです。ですから、日本を含む周辺国の協調は非常に大事です。もちろん日本は核・ミサイル問題だけでなく拉致問題も含めてを総合的に解決したいのだと分かっていますが、日本と北朝鮮の立場が違いすぎ、また日本国内の北朝鮮に対するネガティブな反応を考えると、この点で両者が接近できるかどうかわかりません。拉致問題解決のため日本政府は勇気のある前進をするべきではないでしょうか。しかし今の安倍首相を見ていると、スキャンダルで手一杯で、外交問題に真剣に取り組む余裕がないように見えます」

タグ
ドナルド・トランプ, 日本, 北朝鮮, 韓国, 米国
コメント・ガイドディスカッション
Facebook経由でコメントスプートニク経由でコメント
  • コメント