日本におけるロシア年が日本の学生にもたらすものは?

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シンプルな人的交流。これこそがロシアと日本にとって、相互理解のために足りないものだ。そのため日露文化交流年の企画者は、人的交流と言語のプロモーションに特に注目している。3月末、大阪にある近畿大学は、初の露日中核人材育成シンポジウムを開いた。スプートニクの特派員は参加者の公式報告書を聴き、出席した学生からインタビューを取り、ロシアと日本合同による若年層教育計画について語る。

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大学生にはどのような可能性が開かれているか?

知られている通り、ロシアの高等教育は無料で受けられる。これはロシア国民だけでなく、外国人にも適用される。海外からの学生の人数枠はしかし、限定されている。ロシア全土の大学で現在、計97人の日本人が学んでいる。だがこの数は増える方針だ。ロシアで最も需要がある専門分野の教育には枠が拡大されると、ロシアのゴロデツ副首相は述べた。具体的な分野は挙げられなかったが、ロシア労働社会保障省のデータによると、2017年最も需要が高かったのは様々な専門のエンジニア、医師、技能労働職の専門家だった。

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卒業時に学生が複数学位が取得できるよう、露日大学間の協定も拡大される。現在、ゴロデツ氏によると、250件の大学間協定が結ばれている。

現行の長期協定の1つの例として、東京工業大学と原子力分野の教育で20年以上関係を保っている国家研究原子力大学(MEPhI)がある。MEPhIのミハイル・ストリハノフ総長はスプートニクに、去年は東京工業大学が主導し、文部科学省に大学間協定の発展プロジェクトが提出されたと語った。その中には原子力のテーマも含まれている。

「認可されたプロジェクトの期間は5年で、学生と教員の交換を含む。科学研究グループも形成され、その中にはバックエンド、原子力発電所の廃炉と事故処理などのテーマが含まれる。」

協力第1段階は今年2月に開始。日本からの学生がMEPhIへ留学し、ロシア側からは3月に日本を訪れた。

どこでロシア語を学べるか?

現時点、以下の方法で日本にいながらロシア語を学ぶことができる。

● 独学:たくさんあるスマホアプリの中から1つを選び、毎日少しずつ学ぶ。
● 大学:ロシア語授業は明治大学、上智大学、創価大学、早稲田大学、北海道大学、京都産業大学、その他日本の大きな大学で行われている。
● 家庭教師:日本在住の多くのロシア人が個人レッスンを行っている。

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もう1つ、あまり知られていない方法もある。ロシア語学習における総本山、プーシキン記念ロシア語大学が作ったオンライン講座を受けることだ。今では100万人以上の外国人がこのプログラムを利用している。

ゴロデツ副首相は、ロシア語で話し出すための他の方法も日本人のために登場するとして、この方向における作業はすでに進んでいると述べた。

「手仕事チャンピオン」

手仕事を好む若者はどんどん減っており、この傾向は日本でもロシアでも見られる。技能労働者職の地位向上はロシア政府の大きな目標の1つだ。

ロシアと日本は技能労働者の振興を課題にするワールドスキルズインターナショナルのメンバーである。同団体は毎年、技能労働者の技能を競う国際大会を開いている。ゴロデツ副首相は日本を、今年8月、ユジノサハリンスクで開かれるロシア大会に参加するよう招待。2019年には国際技能競技大会がロシア・カザンで行われる。

学生自身は何を求めているのか?

スプートニクは、中核人材育成シンポジウムに出席した唯一の大学生、土岐 文哉(23)さんに話を伺った。神戸学院大学経済学部4年生の土岐さんは、ロシアの言語・査証(ビザ)による障壁、ロシアで就職し生活する困難を語った。

ロシアに興味を持っていますか?

-とても面白い国だと思います。

どうしてですか?

-文化もそうですけれども、他の国にないものがあるかなと思います。何回行っても新しい発見があるかなと思います。僕自身ロシアには6回から7回行ったんですが、行く度に新しいことが何かあるんですよね。毎回違うことが。出会いがあったりとか。

どんな都市に行きましたか?

-サンクトペテルブルク、モスクワ、ヴィーボルクです。モスクワは毎回行っていて、モスクワから飛行機で別の都市に行きます。サンクトはそのうちの3回くらいです。あとはモスクワの近くの小さい町にも行きました。戦車の博物館とか、航空博物館のある町とかに行きました。ロシアの田舎にも行きました。

最初の印象はどんなものでしたか?

-正直に言うと、意外と明るい。初めのイメージは暗かったのが、町へ行ったら町中がライトアップとかされていて明るかった。特にライトアップに力を入れているのですごくびっくりしました。その後、他のヨーロッパの町にも行きましたが、モスクワが一番明るかったです。あとは清潔感があると思いました。ゴミとかも少ないし、落書きがない。地下鉄には落書きがないし、バスはちょっとありますけど、他のヨーロッパの町と比べるとぜんぜん少ないし、そういうところは日本とちょっと近いのかなと僕は思います。ヨーロッパの中だったら一番日本のような町で、システムがちゃんと(整っている)と僕は思うんです。交通システムも近いし。例えばまた地下鉄ですが、日本と同じでチケットを買っていないと入れないですよね。これってすごい合理的だと思うんです。ヨーロッパで多いのは勝手に入って、途中でたまに怖い人が見に来る。これってすごく非合理的かなと思って。この辺りがちょっと近いのかなと思ったりとか。あとは人が歩くのが速かったりして日本に近いなって。大阪に近いところは、エスカレーターの並び方。大阪は東京と違うんですよね。

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大勢の日本人は、ロシアは遠い国だと思っていますが、土岐さんもそう思いますか?

-そう思います。なぜかというと、ビザがいるからです。絶対にビザ。僕はこれはずっと思っています。とても難しいし、面倒です。都会に住んでいる日本人はビザを簡単に申請することができますが、でも田舎に住んでいる人は難しいです。領事館か大使館に行かないといけないから、田舎に住んでいるととても難しいと僕は思います。(ロシアを遠い国だと感じるのは)正直なところ、これのせいだなと思います。たぶんロシアに行くまでのイメージと、行った後のイメージは、ロシアに限らず、アメリカでもタイでもフィリピンなどの他の国でもぜんぜん違うと思います。行ったからこそ分かることってすごくあると思っていて、でも多くの日本人はロシアに行ったことがないから、だから遠いんだなって思います。その理由っていうのは、やっぱりビザだと僕は思います。近いのに。

なぜロシア語を勉強しているんですか?

-それはさっきのことにつながるんですけど、やっぱりはじめは暗くて、寒くて、殺し屋とか、「ロシアの殺し屋おそろしや」みたいなそういうところがイメージとしてあって、でもたまたま機会があって日露青年交流事業で行かせていただいて、行ってみたら全然違うじゃん、これは面白いなと思って。あとロシア人はぜんぜん英語ができないし、じゃあロシア知るならこっちがロシア語わかんないと無理じゃんみたいな。観光地に行くにもどこに行ってもロシア語しかないし。今はちょっと違いますけど、町中ロシア語しかない。町の人に聞いても英語も何もぜんぜんわからないって言われるし。となったら、ロシアを見たい、知りたいなって思ったら、自分がロシア語を勉強するしかないなって。そういう発想があるかもしれないんですけど、逆に僕はそれは面白いなと思ってて、ちょっと勉強したら面白いって思って。逆に他の国だったら英語さえできたら現地の言葉がわからなくてもある程度楽しめるけど、多分それって見えてないところがあるはずで、表面だけわかってその気になろうかなみたいな感じがありますよね。

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ロシア語は難しいですか?

-ロシア語は難しいですね。ロシア語で一番難しいのは、単語の長さじゃないですかね。文法はどの言葉でも難しいです。やっぱりどの言葉も難しいと思いますけど、英語圏に近い国の言葉だったら多少は英語に近い単語がありますけど、ロシア語って英語からはなれた単語が多いですよね。例えば英語だったら日常で使っているカタカナなどの言葉で多少わかったりすることもあるけど、ロシア語はそれがないから難しいですね。単語を覚えるのが本当に難しいです。そもそも文法とかじゃなくて、そんな高いレベルまでいかずに、単語がそもそも難しいです。

今後はロシアで働きたいですか?

-ロシアで働きたいか?と言われると、ちょっと難しいですね。なぜかというと、旅行で行くのは好きですけど、住むとなったらあまり景気がよくないと僕は思うんです。この2年半くらいでロシアに何回も行ってるんですけど、景気があまりよくなってないというか… 物価は高いけど、お給料は高くないのかなって。

ロシアと関連した会社で働きたいですか?

-そういう希望はありましたけど、僕のロシア語は素人で、上智大学とか東京外語大学とかプロの人がいるので、僕は趣味でいいかなって思います。

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