21:09 2018年08月19日
日本の河野外相と中国の王外相

日中関係の改善 米国にはありがたくない理由は?

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中国と日本は、二国間関係のネガティブな歩みをやめ、新たなページを開いた。新たな段階を両国首脳はおそらく今年中にも開くと予想されている。4月15日から17日に実施された中国の王毅国務委員兼外交部長の日本公式訪問はこうした結果をもたらしたとみられている。一方でスプートニクが取材した専門家らは、日中関係の改善は米国の東アジアにおける戦略には入っておらず、日中米の力の三角関係に新たなコンフィギュレーションを生みかねないと指摘している。

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王外相の訪日は、第2次世界大戦後、最も低レベルにまで落下していた日中関係には大きな転換点となったことは明らかだ。これについてロシア科学アカデミー極東研究所、日本調査センターのヴァレリー・キスタノフ所長は、日中関係の「春」に酔いしれるのはまだ早いと釘を刺している。

「日中関係が突然改善するだろうとは私は大げさにとらえない。なぜなら非常に深刻な矛盾が根底に残っているからだ。これは領土問題、歴史と日本の中国攻撃の記憶であり、消えてなくなるものではなかった。今回の接近は情勢に左右されたファクターをより多く孕んでいる。安倍首相は米国から2つの攻撃を受けたことを憂慮している。1つはトランプ米大統領が日本の頭越しに朝鮮民主主義人民共和国の金正恩氏との会談に合意したこと。2つめの攻撃はトランプ氏が対日貿易赤字の700億ドルを理由に日本は米国に対して大きな譲歩を図るべきだと宣言したことだ。しかもトランプ氏は日本のスチールとアルミニウムの輸入関税を導入した。ここにきて日本は経済問題を解決するため、中国に頼らざるを得なくなったのだ。中国もまた日本の接近に関心をもっており、貿易戦争のなかで日本とデュエットを組み、トランプの進撃に対抗しようとしている。」

日中の根本的な対立を見せつけたのは1週間前に行われた水陸機動団を発足記念式典だった。1500人もの隊員が発足式典に参加した水陸機動団は、日本の本島から離れた領土をまさに中国の攻撃から守るために組織されたものだからだ。

外交学院国際関係研究所の 周永生教授は、日本は東アジアにおける米国の主たる連合国であるという事実によって、自立した対中関係を構築する可能性が潜在的に欠乏しているとの見方をしている。

「現段階で日中関係が改善されるための土台は、本質的には米中関係の改善だと思う。このための布石となったのが去年4月の習国家主席の訪米だった。中国国家主席の訪米で米中関係は、安定し、かつ良い方向へと発展できると予見のきく流れに乗ったからだ。これは日本の中国に対する対立関係にとっても転換点となった。結果、日中関係改善の兆しが見えるようになったのだ。」

これに対し、キスタノフ氏は米国は日中関係が大々的に改善されることは望んでいないとの見方を示している。

「グローバル的には米国は日中関係が著しく改善されることを望んでいない。ここには米国が数十年にわたって従っている、古くからの原則の『仲たがいさせ、支配せよ』が働いている。日中関係が緊張していた方が米国には逆に得策なのだ。これは一方で中国を経済、政治、軍事的に抑止するための支援基地として日本を使う可能性を与えるものであり、別の面ではこの先も日本に中国への脅威感を維持することで、日本をコントロールし、この先も米国の国益のために奉仕させ続けることができるからだ。こうした意味では日本は、中国と接近するより、米国にとってのアジアにおける信頼のおけるパートナーでありつづけることになる。」

日本が中国との関係構築に大胆な自立心を発揮できるかどうかは、すぐには明らかにならない。

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経済, 戦争・紛争・対立・外交, ドナルド・トランプ, 金正恩, 日本, 中国, 米国
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