10:44 2018年08月22日
日本の世界最強加速器SuperKEKB

宇宙創成の謎解明に一歩前進 日本の世界最強加速器SuperKEKB

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つくば市の大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構(KEK)にある世界最強加速器(SuperKEKB)で電子と陽電子の初衝突の瞬間が観察された。衝突点に設置された新生Belle II は、ロシア物理学研究所の研究員らが参加して作られた最大級の測定器。実験時、世界で初めて物質と反物質の絶滅プロセスが記録され、その結果、新たな粒子が形成された。専門家らは、SuperKEKBによって新たに得られたデーターによって人類は宇宙の自然の謎に一歩近づいたと確信している。

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今、研究者の前に立ちはだかる課題は物質と反物質の衝突の周波数を最大限に高めることだ。

そしてこれを可能にするのがまさにSuperKEKBの稀有性となる。

その理由について、国家研究原子力大学 モスクワ工科物理研究所( MEPhI)のコンスタンチン・ベロツキー助教授はスプートニクからの取材に対し、なぜならばSuperKEKBは素粒子のあまりにも稀有な衝突を今までに全くあり得なかった高精密度でキャッチすることを可能にしたからだとして、次のように述べている。

「粒子をこれだけハイテクレベルで研究する可能性が生まれたことは信じがたいことだ。なぜなら粒子をコントロールするのは非常に難しいですからね。我々は機械のスピードを調整するとこができますが、分子を司ることは不可能で、カオス的な動きを見せる機械内部の分子のスピードはコントロールできません。ところが、SuperKEKBによって我々はあらゆるプロセスをより詳細に観察、研究することが可能となりました。しかも特殊な対称性を有していると知られる、物理法則の新たな秘密に接近することもできたのです。ところがこの対称性も破れがありうることがわかりました。」

実験の主たる意義は新たな、未だに知られていない粒子を探すことと、なぜ我々の宇宙では物質が反物質の優位に立っているか、その理由を探ることにあった。

この発見は1980年のノーベル物理学賞受賞者のジェームズ・クローニン、ヴァル・フィッチ(ともに米国)によってなされたもので、物質と反物質の間には基礎的な非対称性があることを証明した。

この発見は基礎的粒子物理学を震撼させ、これによって今日になっても解くことのできない問題が立ち現れた。得られたデーターもこの稀有なプロセスの理解には不十分だった。ベロツキー助教授は、科学者をサポートすることもSuperKEKBの至上命題だったとして、さらに次のように語っている。

「このプロセスの研究は科学にとってとてつもなく大きな基礎的意義を持っている。なぜなら我々は対称性は自然界の法則だと思っているが、それが破れることがあることがわかったからだ。そしてこれが我々の宇宙の創成に決定的役割を演じた可能性がある。物質と反物質のもともとの数は同じだったあるはずだ。だがそうであったとすれば、これらは互いに死滅し、宇宙には光子のみが残ったはずだが、実際には宇宙には光子以外の物質があり、そのおかげで星、惑星、生命が存在している。それがゆえに反物質が通常物質との崩壊が起るためには不十分であった、こうした非同等の原因は、今の物理学において、最も需要な、未だに解明されていない問題のひとつである。」

スイス、ジュネーブにある大型ハドロン衝突型加速器が陽子ビームを7TeVまで加速し、正面衝突させることによって、これまでにない高エネルギーでの素粒子反応を起こすものであるのに対し、日本のSuperKEKBは、記録的光度を達成するよう設計されている。加速器内部で最大限の光度を達成する点では、現在、日本のSuperKEKBを凌駕する存在は世界にない。実験には世界23か国から600人を超える研究者らが参加した。ロシアからは、ノボシビルスクの核物理研究所の研究者らが立ち会った。実験の中心となった、ヨウ化セシウムの結晶を基にした重さ40トンの電磁カロリーメーター、Belle II測定器は、まさにこのロシア人研究者らの支援で製造されている。

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研究, テクノ, 科学, 日本
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