03:15 2018年12月12日
モスクワにコスプレーヤーが集まる

日本の「かわいい」がロシア人の心にぴったりきたのはどうして?

© Sputnik / Valeriy Melnikov
オピニオン
短縮 URL
リュドミラ サーキャン
1211

今春、モスクワ中心部は露日交流年を記念してプラスチックの桜で飾られた。これは大勢の人に好評を博したが、日本文化における桜の花の鑑賞は、美とは短命でつかの間であり、習慣的なものや日常的なものになる前に消えてしまうことと関係があることを知っている人々は、不満を表した。そして5月末、大勢の市民の要請により、プラスチックの桜はモスクワの町から消えた。

スプートニク日本

だがその代わり、夏の訪れを感じさせるような暑さと共に、ロシア人の間で「Kawaii(かわいい)」の流行が拡大していることがより顕著になっている。ロシアにおける「かわいい」の主な例の一つとなったのは、元クリミア検事総長で現在はロシア下院(国家会議)の議員であるナタリヤ・ポクロンスカヤ氏だ。同氏は本人の意思とは関係なく人気者となった。ポクロンスカヤ氏の高い役職と厳格な検察官の制服、そして愛らしい外見との組み合わせの中で可能な限り真剣かつ真面目に見られたいという本人の望みが、まさに「かわいい女性」というイメージで認識されるようになった。

ポクロンスカヤ氏
© AFP 2018 / Max Vetrov
ポクロンスカヤ氏

そこには日本の漫画やアニメの影響があるが、それほど大きくはない。恐らくこれはロシア社会で勢いを増している若者の崇拝と、セルフィーの絶大な人気の兆候の一つだ。SNSに自分で写真を公開している人たちは、誰もがかわいいだけでなく、そんな魅力的なかわいい女性として写真に写りたいと思っている。心理学者のオリガ・アレクサンドロワ氏は、通信社スプートニクのインタビューでこのような考えを表し、次のように語っている-

「若者の崇拝は、衣服、靴、バッグ、ジュエリー、化粧品、美容サービス、フィットネスセンターの巨大市場です。これらの商品やサービスの取り合わせは、永遠に若くて可愛らしい女性のイメージを示唆しています。セクシーさはもうトレンドではありません。流行っているのは簡素さ、快適さ、そして子供らしい純粋さです。そのためカジュアルシューズ、短いズボン、プリントが入っていたり、アニメキャラクターが描かれていたり、おもしろい文字が書かれたTシャツが人気なんです。SNSを見てください。やむことのない『うさぎ』、『犬』、『猫』… そしてそんな『かわいいうさぎ』として他人の目に映ろうとする試みがあります。利用者が15歳あるいは55歳であろうと年齢は重要ではありません」。

冬、この「かわいさ」は、例えば以前は就学前の子供たちしか被らなかったうさぎや猫の耳が付き、ポンポン付きの紐を首の下で結ぶ帽子に表れた。今はおもしろい帽子を若者も大人も躊躇することなく被っている。夏はロシアでは男性からも女性からもあらゆる種類の靴の中でスリッポンスニーカーやスポーツシューズが好まれた。女性のパンプスや男性の革靴は、ドレスコードのある職場や、仕事で人と会う時、また行事でのみ履かれている。オリガ・アレクサンドロワ氏は、さらに次のように続けている-

「シンプルであればあるほどいい、というのが最近のスローガンです。時代はそのリズムを示唆しています。人は徒歩でも、自動車でも、または自転車でも、シンプルで快適な靴の方が楽に長距離を移動できるのです。ですから女性は特別な場合や行事の時にパンプスを履きます。キックスケーターが至る所に普及しているのも、快適さであり、大人の生活に持ち込まれた「子供らしさ」です。みんなが若いままでいることを望んでいます。若くないのであれば、せめて若く見せたいというのが現代人固有のものなのです」。

  • モスクワにコスプレーヤーが集まる
    モスクワにコスプレーヤーが集まる
    © Sputnik / Evgeny Biyatov
  • モスクワにコスプレーヤーが集まる
    モスクワにコスプレーヤーが集まる
    © Sputnik / Evgeny Biyatov
  • モスクワにコスプレーヤーが集まる
    モスクワにコスプレーヤーが集まる
    © Sputnik / Evgeny Biyatov
1 / 3
© Sputnik / Evgeny Biyatov
モスクワにコスプレーヤーが集まる

若く見られたい、可愛く見られたいという欲求が、人々をスポーツクラブやフィットネスクラブへ通わせている。これは良いことだ。しかし恐らくこれはストレスを解消したい、日々の義務を忘れたい、平凡さや単調さから感情的に逃れたい、一時だけでも仕事や家事に追われている大人であることを忘れたいという願いが原因となっている。だがこの現象には裏面がある。アレクサンドロワ氏はこのように指摘し、次のように語っている-

「これはもしかしたら子供っぽさの兆候かもしれません。大人がかわいいイメージにひきつけられるのは未熟さ固有のものであり、自分の人生に対して責任を負うのが怖いから大人になりたくないと願う人たちは子供っぽいのです。このような人たちは利己的で気まぐれであり、また一方でコミュニケーションでは、一緒に気晴らしをするのには楽しい魅力的な女性たちです。しかし大人の関係になるとすぐに心理的な面ですべての人やものに対する責任を周囲の人たちに責任転嫁する子供に様変わりしてしまいます」。

なお興味深いことに欧州や米国では逆の傾向が人気を得ている。ショービジネスや映画界のスターたちは自分のしわや白髪を隠さず、ランウェイを歩いているのはグレイヘアに染めた若くて美しい女性たちだ。

タグ
文化, ファッション, 露日関係, 日本, ロシア
コメント・ガイドディスカッション
Facebook経由でコメントスプートニク経由でコメント
  • コメント