15:10 2018年09月22日
大砲の境界線からの撤去は簡単 でも元に戻すのも簡単

大砲の境界線からの撤去は簡単 でも元に戻すのも簡単

© REUTERS / Aly Song
オピニオン
短縮 URL
ドミトリー ヴェルホトゥロフ
142

2018年6月14日、板門店の軍事境界線上で10年以上ぶりに韓国、朝鮮民主主義人民共和国の間の軍事交渉が行われた。交渉の主たる達成となったのは「両国の国防省間のホットラインの開設および定期的な軍事交渉の実施」だった。

スプートニク日本

このほか南北朝鮮は北朝鮮の長距離砲を境界線から遠ざける問題を話し合った。北朝鮮の長距離砲「コクサン」は射程距離40-60キロの170ミリ自走式榴弾砲で、弾は現在の配置位置からは発射された場合、境界線からわずか24キロの韓国の首都ソウルまで届くことから、これは韓国にとっては非常に重要な問題となっている。複数の証言によれば、北朝鮮側はこの提案を退けてはいない。仮に北朝鮮の長距離砲が境界線から撤収された場合、これは朝鮮半島情勢の安定化には一歩前進となる。

だがここで複数の重要な状況を指摘しておく必要がある。まず「コクサン」砲は中国製の59型戦車のキャタピラーシャシーに設置されている。この59型戦車とはソ連の戦車T-55の中国バージョンで、1度の燃料補給でおよそ300キロの走行が可能だ。つまり「コクサン」砲は境界線から遠い位置に撤収することも可能なら、元の位置に戻すことも容易にできる。つまり、北朝鮮長距離砲は理論上は一昼夜の時間もかけずとも元のポジションに戻ってこれることになるのだ。

次に、非武装地帯の周囲には北朝鮮側からは夥しい数の防御施設が建てられている。複数の証言によれば、兵士のためのコンクリート製の防空壕、武器弾薬庫、通信施設、砲撃用に入念に準備された設置台などがあり、北朝鮮は大砲を境界線から撤収することはできるが、北朝鮮がこれらの施設の破棄義務を負わない限り、大砲用のこうしたインフラはそのまま残ることになる。大砲を元のポジションに戻さねばならなくなれば、実に短期間に完全な戦闘準備態勢をとることが可能なのだ。

私の理解では、北朝鮮があたかも譲歩し、こうして圧力をかけてもいいのだという幻想を抱かないためにも、上記の事情は分かっておく必要がある。状況は一瞬のうちにも度に戻る可能性がある。朝鮮半島における戦争勃発の危険性を下げるためのいかなるアプローチも歓迎されるべきことであるのは間違いない。北朝鮮の長距離砲の撤収は平和強化の最重要措置に数えられる。だが双方が措置を実現化することこそ目的にかなったものであると私は考える。もし北朝鮮が非武装地帯から自国軍部隊を撤収するのであれば、韓国もそれにこたえるアプローチをすべきだ。部隊の撤収は両国のオブザーバーらによって確認作業が行われる。この撤収後、非武装地帯に隣接する地区にある軍事インフラの段階的な解体へと移る。これが南北朝鮮間の信頼強化につながるものとなる。

なお記事の中で述べられている見解は、必ずしも編集部の立場とは一致していません。

タグ
北朝鮮, 韓国
コメント・ガイドディスカッション
Facebook経由でコメントスプートニク経由でコメント
  • コメント