05:13 2018年07月19日
東京

RCEPは、トランプ大統領の保護貿易への抵抗と経済成長のチャンス

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トランプ米大統領の保護貿易政策は、アジア諸国の経済的利益に打撃を与え、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉を促進した。7月初旬に東京で開かれたRCEP閣僚会合で、アジア諸国16カ国は、まだ解決されていない問題に関する交渉を加速し、年内の合意を目指すことで一致した。通信社スプートニクは、RCEPについて日本及びロシアの専門家に意見を伺った。

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RCEPの参加国は、東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国(ブルネイ、ベトナム、インドネシア、カンボジア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、シンガポール、タイ、フィリピン)及びASEANと自由貿易協定を締結している6か国(オーストラリア、インド、中国、ニュージーランド、韓国、日本) 。先進国4カ国と新興国12カ国の計16カ国だ。2012年11月20日にカンボジアで開かれたASEANサミットで、交渉立ち上げが宣言された。

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技術的問題に関する参加国の意見の相違により、未だ合意締結には至っていない。だがアジアの先進国も新興国も両方がトランプ大統領の輸入関税の引き上げを認識した今、日本、中国、インドなど、互いに好感を抱いていなかった国々でさえも、一致団結した行動に出た。 RCEP参加国16カ国の共通の目的は、アジアに自由貿易圏をつくり、輸出入額を増加し、投資協力を拡大することだ。 RCEPは、発展のレベルにかかわらず、地域のすべての国の経済成長の加速を刺激すると考えられている。
本当にそうなのか?スプートニクは、杏林大学名誉教授の馬田啓一氏にお話を伺った-

スプートニク: 「世界銀行の世界経済見通し2018年6月版によりますと、日本の経済成長は見通しが明るいとは言えないようです。しかし、 RCEP によって、この見通しよりも日本および参加国が経済成長する可能性があるのではないかと見る向きもあります。 実際のところ、RCEP はどの程度、経済成長に貢献するでしょうか?

馬田啓一氏: 合意される貿易自由化のレベルが高いか否か、非関税障壁の撤廃につながる包括的なルールが作れるか否かによって、RCEPの経済効果が異なりますが、いずれにしても日本の経済成長にプラスに貢献することは確かです。人口減少で国内市場が縮小していく中で日本の持続的成長を実現するためには、海外市場に活路を見出すしかなく、通商戦略の役割が重要であり、そうした観点からTPPやRCEPを位置付ける必要があります。

一方、トランプ政権の独善的な通商政策に各国が反発していますが、制裁と報復の応酬が止まらず、中国やEUなどとの本格的な貿易戦争に突入すれば、世界経済への影響は避けられず、世銀の見通しもさらに下方修正されるでしょう。トランプ政権の暴走をいかにして止めるか。それが日本の通商戦略の最重要課題であり、その観点からRCEPをとらえる必要があります。目下、日本が展開しようとしているのが「4正面作戦」です。米国抜きのTPP11、日EU・EPA、RCEPの発効を実現し、米国がアジア太平洋から締め出されるとトランプ政権を焦らせ、日米経済対話を利用して米国にTPP復帰を説得する作戦です。

TPP11と日EU・EPAの早期発効を目指すとともに、残るRCEP交渉と日米経済対話(FFR協議を含む)で日本の思惑通り首尾よく成果を上げることができるか、いま注目が集まっています。トランプ政権に圧力をかけるため、RCEP交渉が年内の実質合意に持ち込めるか、正念場を迎えているといえます。

RCEP
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RCEP

ロシア人専門家で 世界国際関係学会メンバーのグリゴーリー・ヤルィギン氏はRCEPの展望について、米国との貿易の代替手段にはならないとの見方を示している。アジア地域と米国の相互依存は非常に大きい。しかし、自由貿易圏の枠内における再輸出が可能であるため、RCEPの一部の参加国に対する関税は無意味となる。RCEPの全参加国に対して制限措置を発動し、世界の販売市場の3分の1を失うのは、経済的な自殺だ。同時にロシアにとっては35億人以上の人口と大きな発展の可能性を持つ新たな経済連携の誕生であり、最大のエネルギー資源供給国になるチャンスだ。なぜなら経済成長はエネルギー消費の増加と密接に関係しているからだ。

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経済協力, 日米関係, 通貨, TPP, EU, 日本, 米国
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