22:16 2018年12月12日
植村憲嗣氏

日本発「ソサエティ5.0」は、ロシア経済に変革をもたらすのか?

© 写真 : MITSUBISHI ELECTRIC
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徳山 あすか
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日本とロシアはともに、新しい社会モデルの構築に力を入れている。日本政府は、来たる超スマート社会、仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムを活用する社会を「ソサエティ5.0」と表現し、提唱している。ロシアもまた、あらゆる分野への「デジタル経済」導入を掲げ、経済構造の転換を図っている。ロシアにおいてソサエティ5.0の概念を率先して広めているのが、三菱電機である。

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三菱電機の植村憲嗣(うえむら・のりつぐ)執行役員は昨年、日本がパートナー国となったロシア最大の産業博覧会「イノプロム2017」において、ソサエティ5.0のコンセプトをプーチン大統領に紹介した。植村氏は、ソサエティ5.0は、ロシアにおける技術発展と経済成長に貢献できると考えている。

プーチン大統領を案内する植村氏
© Sputnik / Alexey Nikolsky
プーチン大統領を案内する植村氏

ソサエティ5.0のコンセプトのもとで実現できるのは、生活をより便利にし、質を高める数々のプロジェクトだ。ドローンを活用した宅配、遠隔医療、AIを搭載した考える家電、車やバスの無人走行など、可能性は無限だ。

もちろん、ものづくりの分野でも応用される。三菱電機の例で言えば、スマート工場を実現する「e-F@ctory」がある。これは機器や設備をIoTでつなぎ、ビッグデータを分析・活用して、ものづくりを最適化するシステムだ。

植村氏によれば、例えば工場において、複数の自立したロボットが人と同じ空間で働けるようにするなど、人が減っても生産性を落とさず、むしろクオリティを高めることができる仕組みは、すでに実験が始まっているという。また、フィジカル面で人の能力が衰えても、それをカバーできるようにする研究も進んでいる。

ロシアの専門誌「地域のエネルギー政策と省エネ」のエカテリーナ・セルゲーエワ編集長は「全ての分野において日系メーカーの進出がもっと増えるよう期待しています。ロシアではスマートシティの建設に注目が集まっており、ここにソサエティ5.0に基づいた日系企業のテクノロジーやサービスを取り入れてほしい」と話している。

また、三菱電機ロシアのセルゲイ・ユルコフ氏も「ソサエティ5.0は好む・好まざるに関わらず、すでに現実に起きている現象です。良いものはどこでも受け入れられます。こういった概念の受け入れについては、国や文化の違いというよりも、世代間ギャップの方が大きい」と指摘している。

日系企業は、ソサエティ5.0のコンセプトを軸に、ロシアを含む世界中でビジネスを広げていくことができる。植村氏は、ソサエティ5.0の魅力を理解してもらうことで、製品やサービス、技術の理解にもつながり、ひいてはビジネスに発展すると考えている。

植村氏「ロシアには新技術を取り入れる用意も、モチベーションもあります。三菱電機はFA(ファクトリーオートメーション、工場における生産自動化)に関しては最先端です。ロシアでは長い間、産業構造の改革の必要性が指摘されてきました。そのためには製造業の強化が必要なわけですが、ソサエティ5.0に基づいたFAこそ、製造業の強化には最適です。ものづくりができれば製品の競争力が上がり、石油の輸出に頼るという従来のビジネスモデルから脱却することができ、ロシアの国としての方針とも合致します。ロシアと日本は人口減などの課題も含め、多くの共通点があるので、ともに課題を解決していけるでしょう。」

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露日経済協力, テクノ, 経済, 日本, ロシア
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