08:17 2018年12月17日
ロックバランシング

平衡を求めて 日本在住のロックバランシングの匠へのインタビュー【動画・写真】

CC0 / Pixabay
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リュドミラ サーキャン
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「ロックバランシング」という芸術への興味が近年、世界でますます高まっている。一つの石の上にほかの石を乗せ、その上にまた別の石を置くという行為を繰り返すプロセスは、一見あまりに単純に思える。石の重心を見いだし、積んだものの平衡をいかにして保つかが大事なのだが、この平衡というのがあまりにも脆い。このため積む人間にはものすごい忍耐と自制心、こつが要される。ところが単に石のピラミッドを積み上げればいいというわけではない。石の密やかなバランスから周りの世界と自己の創造の端緒の間に調和を紡ぎだし、フォルムとエネルギーの詩的な舞を組織することにこそ、その醍醐味がある。

スプートニク日本

こうしたものはあまりに壊れやすい。せっかく苦労して組み立てたものも突風がひと吹きしただけでにあっけなく壊れてしまう。しかし積み上げられた石はこのままあたかも空中に溶けいっていくかのようで、見る者の心を虜にする。繊細極まりないコンポジションを作るひとりに日本在住のペンネームミクニ・コウケイさんがいる。インスタグラムやYouTubeの写真、ビデオを通じることで今や世界のあちこちにたくさんのミクニ・ファンが誕生した。ミクニさんのつくるサイト「ROCKSPORTRAIT」はロックバランシングという芸術の手引書であり、物言わぬ自然の創造物の詩的形象を収めたギャラリーなのだ。

​ミクニさんはスプートニクからの取材に対し、ロックバランシングに完全に心を奪われたこと、これから得た本当の喜びを世界と分かち合いたいと思っていることを語ってくれた。

スプートニク:どんなきっかけでロックバランシングを始めましたか。

始めたのは5年くらい前です。趣味の滝巡りの観光へ行った際、そのまま帰るのがもったいなく思い、そばにあった石をただ積んでみました。その時石が偶然自然に立ってしまい、それがとても面白く感じて、繰り返し周りにある石を積み重ねて遊びました。その後調べてみるとロックバランシングというアートがあることを知り、それから自己流で工夫しながら続けています。

スプートニク:初めから上手く石を積めましたか。

初めは全く上手くいきませんでした。でも繰り返すうちに手に伝わってくる石の重みや、それを手がかりに石を立てていく事が出来るようになりました。

​スプートニク:石を積む際、物理学的な原則のようなものはありますか。それとも自分の手でバランスを感じているのですか。

やはり物理学的なところもありますが、石そのものは重心だけではなく摩擦の条件もありますので、自分の手の感覚が殆どです。

スプートニク:石は自分で適当なものを集めるのですか。

どんな石でも立たせることは出来ますが、あらかじめ作りたいイメージを持っているので、それにあわせた石を現地で収集し作り上げるようにしています。

スプートニク:ロックポートレートというホームページを作った理由を教えてください。

ロックバランシングという芸術を世界中に知ってもらうためです。それをきっかけに新たにロックバランシングを始める人が増えてくれると嬉しいです。また、自分の作品を見てくれた人が、バランスアートの美しさや自然空間へ出かけることの楽しさを知ってくれたら、と思っています。

​スプートニク:写真はいつも水の近くで撮影されているようですが、これは特別にそうしているのですか、それともただの偶然ですか。

私はロックバランシングと水の流れ・美しい自然空間はとても相性が良いと思っているので、できるだけ自然との調和を意識して作っています。

スプートニク:それぞれの石の配置を決め作品を作るのにどの位時間がかかりますか。

作品にもよりますが、短い時は石拾いも含めて1時間です。長いときは一つの作品に6時間かけることもあります。特別に時間がかかるのは石拾いで、積み上げる時間は長くて30分程度です。

スプートニク:ロックバランシングは誰にでもできるでしょうか。

石を3つ、4つ立たせるには練習が必要になりますが、1つや2つを重ねるようでしたら、少し練習をし、コツをつかめば誰でもできるようになると思います。

​スプートニク:ロックバランシングの初心者へアドバイスはありますか。

初めての方は、少し大きめの石を選ぶと重心の感覚を早くつかめると思います。なので多少重くても少し大きめの石を使って練習されることをおすすめします。

スプートニク:ご自身について教えてください。

私は和歌山県出身で、職業は美容学校の教師です。

スプートニク:作品のインスピレーションはどこから沸いているのですか。

美術館へ行ったり、髪型のバランスもロックバランシングの作品に影響すると思います。髪型にも美しいバランスのセオリーがあり、それが石積みに活きていると思います。

スプートニク:それぞれの作品に名前はありますか。

名前はあまりつけていませんが、たまに自分がテーマを決めて作った場合は名前をつけています。

スプートニク:ファン、フォロワーは沢山いらっしゃいますか。

インスタグラムでは全世界から沢山の方にフォローしていただいています。

スプートニク:2018年は日露交流年です。ロシアへ来られる予定はありますか。

現時点で予定はありませんが、ロシアへ一度は行ってみたいです。

ロックバランシングは次第に世界中に広がっているが、それでもこれは全く今までになかった芸術ではない。ネパールのいくつかの地域ではロックバランシングは昔から民間の遊びとして存在していた。その遊びの方法は平たい石を積んだ塔を囲み、順番にそれに石を重ねていくというものだ。ロックバランシングの世界選手権 (World Rock Stacking Competition) は米国テキサス州ラノ川の岸辺で毎年行われている。私たちの取材に応じてくれたミクニさんも2014年カナダで行われたロックバランシング・フェスティバルに唯一の日本人として出場した経験を持っている。

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芸術, 文化, インタービュー, 日本
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