19:02 2018年09月19日
宇宙から見た米国(アーカイブ写真)

米、宇宙での優位性確保へ その帰結は?

© 写真: NASA/Barry Wilmore
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ドミトリー ヴェルホトゥロフ
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米政権が2020年までに「宇宙軍」を創設するというペンス副大統領の表明は、ついついレーガン元大統領の有名な「戦略防衛構想(SDI)」を連想させる。レーザー兵器を搭載した人工衛星の宇宙展開を狙ったこの計画は、半公式に「スターウォーズ計画」とも呼ばれた。人工衛星は核戦争が始まればソビエトの弾道ミサイルを迎撃するはずだった。

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とはいえ、現在の宇宙軍創設の提案を「スターウォーズ」続編として見ることは正しくないだろう。今日検討されていることは、宇宙機器を担当する軍事構造を別個の軍に分離すること。この組織改編は行われている軍事作戦が人工衛星へ依存していることに起因する。

「米軍で私たちが行うミッションは全て、宇宙に左右される」と米空軍のデービッド・ゴールドフェイン参謀総長(大将)は述べた。

宇宙での作戦は今まで空軍が行ってきた。空軍のなかには1982年に設置された宇宙軍団が存在する。宇宙軍団はNASAと緊密に連携し、軍事衛星の打ち上げとその利用を担当していた。

2002年にはミサイル防衛のための宇宙空間管理を目的に、指揮権がアメリカ戦略軍(USSTRATCOM)に移った。だが人材募集と宇宙関連ミッションの技術的保証は米空軍の指揮下に残った。

現在の組織改編は、地海空宇宙の全軍の管理を最大限に統合したいことに関係している。軍事作戦と一連の演習の経験は、宇宙を他の軍から分けられず、空軍の指揮下に置くことは非合理的だと示した。

2017年夏、米議会で「宇宙部隊」(Space Corps)創設が検討された。米空軍は猛烈に反対し、自らの指揮権を保とうとした。部隊創設は放棄されたが、その代わりに独立した軍である宇宙軍のコンセプトが登場した。米プレスで指摘されるように、おそらく米戦略軍に属する大将の指揮下で別個の本部が設置されることになるだろう。宇宙軍はこうして空軍から完全に独立し、米軍のなかで空軍と同等の立場を手に入れる。

米軍関係者や軍事専門家は宇宙での一種の攻撃的作戦実施をほのめかしており、ペンス副大統領はトランプ米大統領の考えを基に、「宇宙での米国の優位性を持つ必要がある」と表明した。しかし、新たな宇宙軍の前にまずは、軍事衛星を破壊から守るべきだ。

2007年1月12日、中国は特別なミサイルで高度864キロにあった古くなっていた気象衛星「風雲1号C」を破壊。戦争勃発の場合、中国はこうして米軍事衛星を破壊し、米地上・海・空軍を「盲目」にできる。米軍は安定した通信や常に届く諜報データ、正確な位置などを失う。米宇宙軍は軍事衛星を破壊させないシステムを開発する必要がある。だが今後、ほかの宇宙システムも開発され、導入される可能性がある。

例えば、敵の衛星破壊システム、宇宙での核弾道ミサイル迎撃システム、軌道から発射した運動弾による地上施設攻撃システムなどだ。これらはまだ可能性にすぎない。だが米国が宇宙での優位性確保に向けたさらなる1歩を行う際の宇宙システムの登場は疑いなく、世界規模で軍事技術的対立を激化させる。米国が仮想敵国だとみなす国は全て、国産の宇宙兵器システムの開発を加速させるだろう。これは発射実験の頻発化、冷戦時代に考案されたプロジェクトを基にした新型軍事衛星の登場などに現れる。

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軍事, 歴史, ミサイル, 宇宙, 核問題, アメリカ軍, 米国
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