「ロシアン・ピアノスクール㏌東京」モスクワ音楽院の教師は日本の音楽家にどんなアドバイスをしたのか?

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古海行子さん - Sputnik 日本
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8月12日から19日まで、モスクワ・チャイコフスキー音楽院の教師が日本の音大生向けに一連のマスタークラスを行った。ロシアの音楽教師のアドバイスを得ることができたのは、特に成績がよく才能に恵まれた若き音楽家だけである。スプートニクはそうした授業のひとつを訪れ、ロシアと日本のピアノ学校はどう違うのか、日本の音楽家の長所と短所は何なのかを学生と教師に聞いた。

スプートニク日本

今年、カワイ音楽振興会は16回目となる「ロシアン・ピアノスクール㏌東京」を開催した。このピアノスクールは音楽教師と音大生が必ず訪れるイベントとなっている。8月19日、表参道のホールに空席はほとんど無かった。観客席に座る人たちは楽譜を開き、アンドレイ・ピサレフ教授の言葉や動きのひとつひとつを貪欲に掴もうとしていた。

ピアノスクールの主催者の一人である小宮山淳さんは次のように説明する。「日本でも音楽学校は多くありますが、その中でもレベルの高い学校で勉強している人が受けに来てくれます。申込みが多くあり、その申込みのCDをピサレフ先生が聴かれて、選ぶ。そして選ばれた方がこのクラスに参加します。」また、14年にわたってスクールの開催に携わっている池田桜さんは次のように付け加える。「知名度としては、ピアノを学ぶ人のあいだで段々上がってきていると思います。」スクールに参加する学生は、それぞれピサレフ教授のレッスンを2回、パーヴェル・ネルセシヤン教授のレッスンを2回受講する。この二人のマエストロは数多くの賞を授賞し、音楽界で高い名声を得ている音楽家である。

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古海行子さん - Sputnik 日本
古海行子さん

古海行子さんはこの日、ピサレフ教授の最初のレッスン受講者となった。「私は14年間にピアノをやっています。6歳からしています。今は昭和音楽大学の3年生です。ロシアの作曲家の作品を最近よく弾いており、それをよく学びたいと思いロシアのピアノスクールに参加しました。好きな作曲家ですが、誰かは選べないです。ラフマニノフも好きですし、タネーエフの作品もすごく好きです。今日のレッスンはすごく良かったです(笑)良いレッスンを受けさせてもらいました。隣で弾いている先生の演奏を間近で聴けることが一番勉強になります。」

© Sputnik / Denis Korzhov横井舞菜さん
横井舞菜さん - Sputnik 日本
横井舞菜さん

ベルリン芸術大学に入学したばかりでまだ若い横井舞菜さんは、マスタークラスに参加するのはこれが初めてではないという。「ピアノを始めたのは7歳です。ですがその前に、リトミックという形での音楽を2歳から。いまは19歳です。兄が先にしていたことについていき、やりたいという気持ちが生まれたことが音楽に興味を持ったきっかけです。ロシアン・ピアノスクールに初めて参加したのは16歳、高校1年生の頃でした。その時は同じ先生についていた先輩が先にロシアスクールに出ており、『すごくいいよ』と聞いていたことがきっかけです。いまドイツに留学しているためドイツの勉強をはじめましたが、ロシアの音楽も好きです。ただ、一番好きな作曲家はモーツァルトです。今回、ハイドンを勉強したのが初めてで、ハイドンらしさが掴めないまま来ましたが、レッスンで色々細かいことを教えていただけたので、他のハイドンにも活かせたらなと思っています。」

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アンドレイ・アホニンさん - Sputnik 日本
アンドレイ・アホニンさん

毎年、マスタークラスには日本の学生以外にモスクワ音楽院の学生が一人参加する。主催者によると、学生の演奏や教師との関係が、ロシアでのレッスンがどのように行われているのかを示す良い例になっているという。今年の参加者であるアンドレイ・アホニンさんは日本に来たのは初めてだと言い、次のように語った。「僕はモスクワ音楽院のピアノ科でドレンスキー教授に師事しており、4年生を終えたところです。日本は大好きです。人が親切で、美しい国です。ここ東京ではネルセヤン教授とピサレフ教授のリサイタルが2回あり、聴き終わったときには、あまりにも感動して、拍手どころか、ブラボーと叫びたくなりました。けれど、日本では聴衆はとても行儀がよく、そういうことはしないのだと気付きました。」

© Sputnik / Denis Korzhovアンドレイ・ピサレフ教授
アンドレイ・ピサレフ教授 - Sputnik 日本
アンドレイ・ピサレフ教授

ピサレフ教授はレッスンの後、次のように語った。「ロシアでも日本でも、学生は皆それぞれ全く違います。でも、日本の学生はとても努力家で、少し閉鎖的で謙虚です。そういう文化なのです。けれど、ピアノ演奏ではもっと感情を露わにしなければならないこともあります。そこを練習する必要があります。」ピサレフ教授によると、ロシアと日本では音楽教育の方法が大きく異なるという。ロシアでは、将来、音楽家になろうとする人は高等教育機関に入学する前に、7年間、音楽学校に通い、そこで楽器の演奏だけではなく、他にも多くの科目を学ぶ。ピサレフ教授は次のように考えている。「ロシア人からすれば、日本にはプロを育てる音楽教育がありません。音楽は学校の音楽の授業でやるか、個人的に学ぶかのどちらかであう。それにもかかわらず、日本人の演奏レベルはとても高い。でも、他の科目の知識が足りないかもしれません。音楽文学、ソルフェージュ、音楽理論の科目がないことで、学生が困難に直面することがあります。」

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小宮山さんも次のように言う。「日本の先生のレベルが低いわけではないですが、ロシアの先生方は学校のカリキュラムもそうですが、モスクワのチャイコフスキー音楽院では、ピアノの曲以外のオペラやシンフォニーなど色々なこと全てを勉強する必要があります。そうしたピアノ以外の知識を含む知識が全てあり、それをピアノの奏法や曲作りに取り入れていると考えています。日本の先生方も知っていると思いますが、更に深く多く知っているということが、大きな違いです。」

2018年のロシアン・ピアノスクール㏌東京は「日本におけるロシア年」の一環として開催される。池田さんは言う。「日本で行われるロシアのイベントですし、ロシアの方にも日本の方にも、皆さんに知っていただきたいという思いがあります。」

皆さんはすでに日露交流年のイベントを訪れただろうか?スプートニクの特設コーナーでは最も興味深いイベントについての記事を読むことができる。

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