23:54 2018年12月11日
シリア(アーカイブ写真)

シリア 露米軍事衝突の脅威が復活

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アンドレイ イルヤシェンコ
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以前にスプートニクは、ロシアと米国がシリアで軍事衝突を起こす危険性についてお伝えしたが、今回、この予測が米国側から裏付けを得るという結果になってしまった。

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今年4月13日から14日にかけての深夜、米国とその連合国らによる有志連合はシリア政府軍の拠点に対する大規模ミサイル空爆を実行。この中には首都ダマスカスも含まれていた。攻撃は、シリア軍がダマスカス近郊の東グ-タ地区ドゥーマ市で化学攻撃を行ったという一方的な非難を口実に行われたが、ここで見逃してはならないのは、化学攻撃の事実を調べる国際調査が開始されるよりもずっと前に、この攻撃が開始されたことにある。

プーチン大統領はこの事件を評して「自らの行動で米国は、シリアでの人道危機をさらに深刻化させ、民間人に苦しみをもたらし、本質的に、シリア国民を7年間苦しめているテロリストを促進している」と指摘した。ところが当時、最大の注目を集めた発言は、この攻撃が行われる前に発っせられていたヴァレリー・ゲラシモフ露軍参謀総長の厳しい警告だった。ゲラシモフ参謀総長は「我々の軍人の生命に脅威が生じた場合、ロシア軍は報復措置を取る。ミサイルだろうと、それを使うための運搬手段であろうと」と明言していた。つまりは有志連合の軍艦、軍用機に報復攻撃を行うということだ。

この発言がなされた後、2つの核大国の軍事衝突に発展する恐れが取り沙汰されはじめた。幸いなことに事態は回避。おそらく露米の軍部代表らがシリアで事を起こさないために、常にコンタクトを取り合ったのが功を奏したのだろう。

ところが8月22日、米仏英は国連を通じ、シリアが国内で化学兵器攻撃を実施したとして同国政府を再度非難し、これが繰り返された場合、報復措置をとる構えを表した。

なぜ今なのか

問題は、シリア軍司令部がロシアの軍事参事官の協力を得て、イドゥリブ県に集中して残った、最後の武装戦闘員の大規模部隊の中和ために特別軍事作戦の実施を準備していることにある。このイドゥリブ県は一部をハマとアレッポと隣接している。ここにはイスラム主義テロリスト、急進主義組織の武装戦闘員が7万人から10万人集中している。この地域のほとんどを掌握しているのは元アル=ヌスラ戦線の「シリア解放委員会」(ロシアでは活動が禁止されている)。武装組織の首領らは政府との和解を断固として拒否し、最後の一人までシリア軍との徹底抗戦をとる構えだ。

しかもここは国家にとって戦略、経済上の重要な地域であり、北部と南部をつなぐ唯一の国道が通っている。この道はトルコ、イラクへの出口である。またテロリストの掌握する領域はシリア有数の農業地帯でもある。そしてイドゥリブ県にテロリストが集中しているということは、ラタキヤのシリア海軍基地、フメイミムおよびタルトゥスにあるロシア軍の拠点の安全を脅かしていることになるのだ。

シリア軍のこの軍事作戦の結果次第で、シリアのこの先の軍事行動の進め方もその結末も変わることは明白だ。米国、一連の西側欧州諸国も、シリアがイドゥリブでテロ組織に勝利した場合、自分らのシリアにおける役割も意味も確実に最低レベルに落ち込むことをはっきり認識している。当然、アサド大統領政権の影響は増大する。つまりこれは西側の敗北を意味する。

これが、米国がシリア政権を新たに非難した理由である。

このようにして、事態のエスカレートを孕む危険な状況が出来上がりつつある。外国のマスコミによれば、イドゥリブの作戦にはロシアの特殊部隊が加わるため、西側の軍事介入はロシア軍人に対する脅威とみなされるからだ。先にゲラシモフ参謀総長の発した警告は未だ効力を失ってはいない。

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軍事, 武器・兵器, シリア, 米国, ロシア
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