スプートニク日本
スプートニクはこの件に関し、ロシア放射線防護科学委員会のワレリー・ステパネンコ氏に話を伺った。ステパンコ氏はほぼ毎年、日本からの招待を受けて福島第一原発を訪れている。
「事故は3月に発生。私は半年も経たない夏に日本を訪れた」
「原発敷地外で致命的な被ばく線量を受けることは実質的にあり得ないと言える。このため、この専門家の放射線障害が、事故当時に敷地内に滞在していたことと関係しているとする日本の厚生労働省の結論に、私は完全に同意する。同じことが、チェルノブイリ原発の事故対応者にも起きた」
「ロシア誌『医療用放射線および放射線の安全』で私は、何度も致命的な被ばく線量を挙げてきた。日本を含む専門家に、その線量はよく知られている。残念ながら、経験が示すところ、事故の際は防護服でさえ助けにならない。福島第一原発の敷地周辺については、繰り返すが、死につながりかねない放射線量はない」
原発の安全な稼働のための最新の「安全設備」は他にどのようなものがあるのか?
「重要なものは、原子炉の冷却だ。まだ誰も、より優れたものを考案していない。日本では確かに、泊原発のような状況を強く懸念している」
「私は最近、福島第一原発のように海岸近くに原発がある島根県を訪れた。こうした原発の大きな問題は、事故の際、原発が浸水し、冷却システムが停止する可能性があることだ。ポンプは水の供給を停止する。この場合、予備ポンプが接続される。だが福島第一原発では予備ポンプも浸水した。海面から十分な高さになかったためだ。日本の専門家は福島第一原発から教訓を得て、結論を出し、現在、原発の予備システムは全て必要な高さに置かれるに違いないと私は確信している。場所は主に、丘の上だろう」
福島第一原発には防波堤すらあった。これは悲劇を防ぐ助けにはならなかった。なぜか?
しかし、ステパネンコ氏を含む多くの研究者は、チェルノブイリや福島第一原発の事故に関わらず、原発が最も安全なエネルギー獲得場所の1つだと考えている。
同時に「放射線」という言葉は心理的に、人びとに非常に神経質に受け止められる。放射線は見えず、認識できず、聞こえないからだ。