08:58 2018年11月16日
中国の弾道ミサイル(アーカイブ写真)

米国のINF条約破棄表明 中国と何の関わりが? 専門家の見解

© AFP 2018 / Greg Baker
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トランプ米大統領はフォックスニュースTVでの記者と会談で中短距離ミサイルについて言及し、ロシアと中国が「賢くなろうじゃないか。我々のどちらもこの兵器は開発しない」と言わない限り、米国は中短距離ミサイルの開発を余儀なくされるという声明を表した。トランプ氏は、ロシアがこうした兵器を開発し、中国も同様の兵器を開発しているのに対して、米国だけが中距離核戦力全廃条約(INF)を順守という状況は受け入れられないと指摘している。

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ロシア側は米国の計画を非難。ロシア外務省はこれは威嚇であり、これを用いて米国は戦略的安定の分野でロシアから譲歩を取り付けようとしているとの声明を表した。条約は有効期限を持つものではない。しかしながらどちらの側も、どうしても破棄を余儀なくさせられる証拠を提示した場合は破棄することはできる。ところがロシアの声明からは、米国が証拠を提出した形跡は一切ない。

中国側も、米国がINF条約を破棄する理由に自国が列挙されていることに気づくと、即刻反応を示した。中国外交部の華 春瑩公式報道官は、「米国が一方的に条約を破棄した場合、多大な結果がひきおこされる。米国が条約破棄を中国と結びつけているのは完全なる誤り」と指摘した。華報道官は、ここ数年の間に大変な思いをして獲得された米中関係の成果を米国が重んじ、同条約に関する問題を対話や協議に基づいて入念に解決して、破棄する前に「3度の熟考」をするよう期待を表した。

中国社会学アカデミー、地域安全保障センターのヤン・ダンジ所長は、米国は自分の決定で明確な目的をもって中国に攻撃を仕掛けたとの見方を示し、次のように語っている。

「INF条約は当時、米国とロシアがした継承ソ連の軍拡競争を制限し、バリアとなるものだった。米国の一方的な破棄が意味するところは、この分野では誰かの統制は受けず、したい放題するということだ。米国がよく『後ずさり』する理由は自国の戦略的ライバルを思うようにコントロールする可能性を絶たれていることにある。国際的なメカニズムや合意が障害となり、米国はこれができない。なぜ米国は中国をINF条約に結わえ付けようとするのか? 米国が露中を戦略的ライバルとみなしたことは明らかだ。経済、安全保障に関する多くの問題では米国は中国に悪者のレッテルを貼っている。前提条件としてこうした反中国的な行為を発信し、米国は安全保障、軍拡競争の分野をコントロールする全ての制限を自分から取り除こうとやっきになっている。」

第1級大尉補のロシア・ミサイル砲兵学アカデミーのコンスタンチン・シヴコフ通信員は、トランプ氏が条約破棄の意図を中国のミサイルが自国の脅威となっているためと理由づけたのは全く馬鹿げた話として、次のように語っている。

「露米のINF条約に中国が何の関係があるというのだ? 何もないではないか。中国は中距離ミサイルを作り始めてから久しい。中国の戦略核兵器の基礎はまさに中距離ミサイルで、それ以外の何物でもない。米国が条約破棄する原因が中国が独自の中距離ミサイルを展開しているからだというのは全く馬鹿げた話だ。単なる露骨で図々しい言い訳であり煽動にすぎない。中国のミサイルブログラムはINF条約とは一切関係がない。中国は常に中距離ミサイルを保有してきている。これが理由で米国とは二国間の中短距離ミサイル全廃条約を結んでいないのだ。インド、パキスタン、イスラエルも同様で、これらの国はこうしたミサイルに適した弾頭を非常に多く保有もっており、試算では200発から400発とされている。このため米国が中国のミサイルを問題視するのは単なる前提条件に過ぎない。」

観測筋は、トランプ氏の決定によって露中は自国のミサイルプログラムをより集中的に拡大せざるを得なくなると予想している。観測筋はまた、トランプ氏の決定の背後に中国の安全保障にダメージを与えたいという願望が見え隠れしていると指摘している。米中の貿易戦争の結果生じた予測不明な事態を背景に、INF条約をめぐる状況はこの先、米中の緊張をさらに悪化させるだろうことは間違いない。

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軍事, ミサイル, 武器・兵器, ロシア, 米国, 中国
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