10:35 2018年11月13日
『火垂るの墓』

モスクワでボリショイアニメ・フェス開催中 ヘッドライナーは日本発作品

© 写真: Studio Ghibli, 1988
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10月28日は国際アニメーションデー。1892年のこの日、パリ在住の画家で発明家のシャルル・エミール・レイノーが自身が発明した装置でプラキシノスコープの像をスクリーンに映し出した。この作品は今のアニメーションの草分けとなるもので、国際アニメーションデーはこの世界初のアニメーション作品の公開日にちなんで制定された。

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ロシアで初のパペットアニメが作られたのは帝政時代の1906年。マリインスキー劇場のバレエ振付師アレクサンドル・シリャエフが12体の人形を踊らせて制作したものだった。その6年後の1912年にはロシア初の長編アニメーション映画『麗しのリュカニーダ』が世に出る。これは生物学者のヴラジスラフ・スタレヴィチが制作した昆虫の報われない愛の物語で、当時、一大センセーションを巻き起こした。画面を見つめる人達は映し出されているのは作られたフィギュアではなく、本物の自然を撮影したものと信じて疑わなかったと言われている。

毎年、秋のこの時期、モスクワでは「ボリショイ・アニメフェス(大アニメ祭)」の開催すでに恒例となった。今年は10月20日から11月4日の間、世界中から集められた大人も子どもも楽しめるファンタジーに溢れた300作以上が公開される。フェスティバルのプログラム・ディレクターを務めるディーナ・ゴデルさんはスプートニクからの取材に、今年のメインテーマはずばり日本だと語ってくれた。

「だいたいこのフェスティバルでは特定の国に焦点を当てることは今まではありませんでした。でも今回は故意に日本のプログラムを別枠にしました。もちろんロシア、日本相互交流年にちなんでの決定です。これは素晴らしいことです。フェスでは伝説のスタジオ・ジブリ、長編の新作、若手の特集が上映されます。この他スペシャルゲストとしてロシア人アニメ作家のユーリー・ノルシュテインが日本のアニメについての講演を行います。ノルシュテインにとっては日本というテーマはとても近いもので、日本のアニメを愛し、よく通じていますし、芭蕉の俳句をテーマに作品も作っています。」

フェスティバル開幕初日の上映にも湯浅政明監督の『夜明け告げるルーのうた』が選ばれた。『夜明け告げるルーのうた』は大喝采を浴びた。これも日本のアニメがロシアで圧倒的な人気を誇っているからだ。日本のアニメ作家たちはロシアの映画館を満員御礼にしている。また日本アニメに特化した雑誌も出版されている。なぜそれほどまでに日本アニメは人気があるのだろうか? その理由をゴデルさんはこう見ている。

「日本のアニメが人気なのはロシアに限りません。世界中が日本アニメの虜です。これはもうサブカルチャーでれっきとしたスタイルを作り上げており、独特のカノン、トラディションがあります。日本のアニメは日本文化と切っても切り離せません。日本の美的感覚、哲学、世界観、人道的な伝統が密接に関係しています。商業的な側面は群を抜く技術パフォーマンスに裏付けされています。スーパーグラフィック、カラーソリューション、ダイナミズム、あらすじの表現、そして実に魅力的な主人公たち。これをなんとか真似したいと思う気持ちから生まれたコスプレは、今やロシアで大きな人気を博しています。」

長編アニメのプログラムには、新海誠監督の『雲のむこう、約束の場所』、細田守監督の『サマーウォーズ』 、高畑勲監督の『火垂るの墓』と日本の3人の監督の作品が入った。『火垂るの墓』の上映の前には今年逝去した高畑監督を偲び、ロシアの有名な映画評論家で映画評論雑誌『映画芸術』の編集長のアントン・ドーリン氏が高畑氏について、長年の宮崎駿氏とのコラボで生まれた作品について講演を行った。日本の短編アニメのプログラムには、21世紀のなかでも学生によるもの、実験的なものなど興行的な映画産業界の外側で生まれた作品が紹介された。

ボリショイ・アニメフェスの用意したプログラムは豪華版だ。監督を囲む会からマスタークラス、展覧会、学生用ラボ、アニメ資料、音楽の夕べまでアニメ好きなら垂涎のイベントが目白押し。それだけではない。好評につき今年も夜23時に上映開始で夜明けまで続く「アニメーション・ミッドナイト」がリピートされている。

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