イラン原油禁輸、日本は適用除外:ロシア人専門家「日本の利益損なわなかったのは正解」

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5日、米国はイラン産原油の禁輸を含む対イラン制裁を再発動した。イランと取引すれば第三国も制裁の対象となる。日本、中国、韓国、台湾、インド、ギリシャ、イタリア、そしてトルコは、一時的に原油禁輸の適用除外となり、180日間はイラン産原油の輸入が可能になった。日本は米国に対し適用除外を強く求め交渉を行なってきた。

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ロシア政府付属財政金融大学政治学科のゲヴォルク・ミルザヤン准教授は、日本を適用除外国としたのは、合理的な判断だったと話す。

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ミルザヤン氏「日本経済にとって非常に頭の痛い結果となったTPP離脱のときと違って、米国は日本に歩み寄りました。ホワイトハウスは、日米関係が現在最も良い状態にあることを考慮したのでしょう。戦略的同盟国である日本の利益を、単なる見せしめのために損なうことはできない、という判断です。安倍首相は、非常に難しい条件下にある現行の日米経済関係において、最大限正しい道をとっています。トランプ大統領は、安倍氏の忠実な姿勢を奨励しているのでしょう」

イラン産原油の最大の輸入国は中国だ。中国は、米国が反イラン制裁の内容を公式に発表する前から、制裁に追随しないと表明していた。ミルザヤン氏によれば、中国が適用除外国となったこともやはり、正しい選択だった。

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ミルザヤン氏「これは米国に選択を突きつけるものでした。一つ目の選択肢は、中国が自国の意思で制裁に参加しない可能性を与え、中国との貿易戦争を悪化させること。それは米国にとって、中国企業に制裁を与えるのと同じ意味になります。そうすれば米中貿易戦争はコントロール不可の規模感になります。なので、米国はもう少しソフトな第二のシナリオをとりました。これは正しい選択だったと思います」

EU諸国の中で、適用除外となったのはイタリアとギリシャだけだった。そもそもイギリス、フランス、ドイツといったイラン核合意の当事者は、米国の離脱・対イラン制裁発動に反発し、可能な限りイランとの関係を保とうとしている。ミルザヤン氏は「米国は自分で自分の信用を失墜させました。かつて、有名な米国の外交官ジョージ・ケナンが『米国の成功は、諸外国に対して、米国が自分達のほしいものを分かってくれているという印象を作れるかどうかにかかっている』と言いましたが、それができていません。むしろ今は諸外国よりも、トランプ政権自体が、米国自身のほしいものがわかっていないという印象すら受けます」と指摘する。

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日本では、適用除外措置は、外交交渉の成果だと受け止められているが、あくまで暫定的なものであり、ビジネスには不透明感が広がる。

イラン産原油を取り扱う割合が大きかった富士石油は、「原油調達先の多様化という意味で、適用除外は当社にとってもプラス。イラン産原油の輸入再開に向けて検討を始めている」とする一方、「輸入を再開するなら船の調達、保険の手配、決済関係などが必要になるが、その辺の詳細が見えてきていない」という。

米国は、世界的な原油価格を上昇させず、かつイランの原油輸出を全面的に不可能にし資金源を断ちたいという方針を崩していない。180日経過後の措置の継続についても否定的な姿勢を見せている。

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