係争諸島の問題:安倍首相は政治的自殺を図る準備ができているか?

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明日22日に予定されているプーチン露大統領と安倍晋三首相の会談には、ある種の懸念が持たれている。ロシア外務省はこれより前、南クリル(日本で呼ばれるところの北方領土)に関する1月初頭の安倍首相の発言や日本での報道等について、厳しく批判した。それ以外にも、セルゲイ・ラブロフ外相は自身の記者会見で、「主権に関する問題は協議の対象ではない、これはロシアの領土である」と、直接的なコメントを惜しまなかった。来たる日露首脳会談の展望について、スプートニクがお届けする本稿をお読みいただきたい。

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まず何よりも指摘しておきたいのは、日本の公的立場がどのようなものであれ、政治家が事あるごとに発言するようなお決まりのものであれ、両国にとってひとつ、はっきりしていることがある。それは、もしプーチン大統領と安倍首相がそれぞれの国のトップについている間に日露間で平和条約が結ばれないとしたら、それは未来永劫にわたり結ばれないだろうということだ。

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この3年間というもの、様々なレベルでの日露間のコンタクトはアクティブになった。明日22日の会談はプーチン氏と安倍氏にとって25回目の首脳会談となる。それにより先々の両国関係の発展に対する期待が高まったことは、両国首脳の歩みを後退させることにはならないだろう。後退、つまりゼロ回答の膠着状態というのは、ロシアにとっても日本にとっても敗北を意味することになる。

しかしながら、どんな決定がとられるにしても、全員を満足させる結果になることはない。その決定受け入れにあたっては両者とも妥協を迫られ、社会の一部を失望させることだろう。しかし、もしロシアの政治家にとって妥協的解決が自身のキャリアの終わりを意味するものでないとしたら、安倍首相の場合はそうではない。安倍首相にとっては、日本の公的立場からすれば受け入れられないことが明白な条件でもって平和条約を締結することは政治家としての自殺、政治家としてのキャリアを終わらせることを意味する。菅義偉官房長官が先週末、夏の参議院選挙に合わせた衆議院解散・衆参ダブル選挙の可能性はないと述べたことは、意味のないことではないだろう。

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こういう発言があったということは、そういうバリエーションはすでに協議されたということだ。時期的には、昨年9月に行なわれた東方経済フォーラムの後に現れた、おおよそのシナリオと合致している。東方経済フォーラムでは、前触れなくプーチン大統領が「一切の前提条件を設けずに平和条約を締結しよう」という提案をし、その提案は交渉のプロセスを早めた。ある政府関係筋はスプートニクに対し、大阪でG 20が開催される6月、プーチン大統領の来日に合わせて平和条約を締結するというプランの存在について明かした。それにのっとれば、首脳会談があるであろうその時期までに、両国が大枠で合意に達していなければならない。

このように、明日の首脳会談は両国関係にとって重要な鍵となる。この結果によって、将来的にどの方向に発展するかのベクトルが決まるからだ。

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ロシアと日本の間にはすでに70年以上も平和条約が存在しておらず、日本は1855年に結ばれた日露通交条約に基づいて国後、択捉、色丹、そして歯舞群島を要求している。1956年、ソ連と日本は共同宣言に署名。その中でソ連は、日本との平和条約が締結した後に、日本へ歯舞と色丹を引き渡す可能性を検討することに同意している。国後・択捉の扱いについてはそこでは触れられていない。しかしソ連は、1960年に日本が米国と日米安全保障条約を締結した後に、日ソ共同宣言での約束を拒否した。その後に行なわれた協議の数々はどんな結果ももたらさず、第二次大戦終結にからんだ平和条約が締結されることはなかった。ロシアの立場は、島々は第二次世界大戦の結果としてソ連領になったのであり、ロシアがこれらの島々に対して主権を有していることは疑いがないというものだ。

筆者:クセーニア・ナカ

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