00:18 2019年07月23日
繁野大成

モスクワ音楽院のウインタースクールに参加した日本人、自身の体験とモスクワについて語る

© Sputnik / Kristina Savitskaya
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リュドミラ サーキャン
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世界三大音楽院のひとつ、チャイコフスキー記念モスクワ音楽院は、毎年サマースクールとウインタースクールを開講している。ピアノ、バイオリン、声楽など、対象科目は様々で、1週間あるいは2週間のコースを有料で受講することができる。この間、国際的に有名な、音楽院の講師に個人レッスンを受けることもできる。スクールを受講し終えると、音楽院から修了証がもらえる。

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どの国からでも、どんな年齢でも、どんなレベルの人でもスクールに参加できるが、最もよくあるパターンは、自国で音楽を学んでいる若者が研修に来るというものだ。ウインタースクールの修了にあたっては、参加者はモスクワ音楽院のステージに上がりコンサートを行なうことができる。今年のコンサートは2月6日に行なわれ、若い日本人3人が参加した。3人の感想を聞いてみよう。

受講者のひとり、滋野大成さんは神戸市在住で、5歳のときから音楽を始めた。まずサマースクールに参加した滋野大成さんは、続いてウインタースクールにも参加。今年、彼はモスクワ音楽院に正式入学することを目指している。

滋野大成さん
© Sputnik / Kristina Savitskaya
滋野大成さん

スプートニク:どうしてモスクワで音楽の勉強を続けようと決めたのですか。

滋野さん:他のヨーロッパの国と違って91年のソ連崩壊までロシアは国が閉じていたので、アメリカの文化が入った西側ヨーロッパ、例えばパリなどとは違い、モスクワにはまだ純粋な文化が残っている、ピュアなものが見えると思ったからです。ここに来ると日本と違い、クラシック文化を肌で感じることができます。ロシアの先生と学ぶレッスン中だけが勉強ではなくて、この土地にいること自体が僕にとって勉強です。ロシアの作曲家の中ではショスタコーヴィチとラフマニノフとプロコフィエフが好きです。特にショタコーヴィチの交響曲8番は、よく聴いています。彼の音楽には歴史が見えます。彼の音楽を聴くには時代背景、歴史を学ばないといけません。僕にとって彼の音楽は、歴史を学ぶひとつの要素です。例えば 8番交響曲は、1960年までずっと演奏禁止になっていました。スターリンの粛清があった時代ですね。ソ連がナチスドイツとの戦いに勝ったにもかかわらず、ショスタコーヴィチが出した8番交響曲は、悲壮感漂う悲しい曲だったので、政治が及ぼす芸術への影響というのがすごく感じられる曲です。曲を弾く前にはちゃんと時代背景を勉強しないと、よい演奏にはならないと思います。

滋野大成さん
© 写真 : Moscow Conservatory
滋野大成さん

スプートニク:日本の世論調査では、日本人のロシアに対する印象はあまりよくありません。ロシアで5年間まるごと学ぶということは怖くありませんか。

滋野さん:僕は政治は政治の世界、音楽は音楽の世界だと思います。ですから音楽を学びに来たいと思っている人たちは、あまり政治的背景を気にする必要はないと思いますね。もちろん、互いの国が仲良くすることは非常に大事ですけれど、やはり芸術家は芸術に専念することで、文化に貢献するという使命がありますので、国の仲が良い・悪いということはあまり関係ないと思います。日本人はロシア人のことをあまりよく知りません。旅行するにもビザを取らなければならないですし、冬が寒いとか、プーチン大統領とか、そういうイメージがあります。ロシアについて日本で話題に上がるとすれば、北方領土や政治的な問題ばかりで、実態がよくわからないので、少し怖いイメージがあると思います。でも、芸術を学んでいる人なら、モスクワに来たい、音楽院に憧れる、という人は沢山いると思います。

間世田采伽さんは東京藝術大学の4年生で、モスクワも、ロシアに来たのも初めてだ。将来は音楽教師になることを目指している。

間世田采伽さん
© Sputnik / Kristina Savitskaya
間世田采伽さん

スプートニク:なぜモスクワ音楽院のウインタースクールを受講することにしたのですか。

間世田さん:ロシア音楽がとても好きで、ロシア作曲家の曲について多く勉強しているので、現地実際に行って勉強する良い機会だと思いました。正確にはロシアじゃありませんが、ハチャトゥリャン、ババジャニアンといった、アルメニアの作曲家が好きです。アクティブで熱狂的で、自分の感情の襞に触れるものがあり、特別な感覚を覚えます。

間世田采伽さん
© Sputnik / Kristina Savitskaya
間世田采伽さん

スプートニク:ウインタースクールは役に立ちましたか。短い滞在でしたはがモスクワで印象に残ったことはありますか。

間世田さん:とても役に立ちました。レッスンも素晴らしいですし、町を散歩しても楽しいし、ロシアの人々の暖かさとか、音楽以外のところからの刺激を沢山受けています。楽譜屋さんによく行ったのですけど、すごく古い楽譜、日本では絶対手に入らない楽譜が沢山あって、掘り出しものを見つけるというか宝探しのようでした。結局楽譜は20冊ぐらい買いました。 モスクワにまた来たいです。今までで行った国で一番気に入りました。

新庄龍馬さんは札幌出身で、早稲田大学で政治学、主に国際政治について学んだ。しかし音楽は彼の生活の大事な一部である。

新庄龍馬さん
© Sputnik / Kristina Savitskaya
新庄龍馬さん

スプートニク:音楽は生活の中でどんな位置を占めていますか。なぜモスクワへ来ようと思ったのですか。

新庄さん:ピアノは小さい頃から始めてずっと続けてきたもので、自分の中で大切にしているし、これからもしていきたいと思っています。世界の音楽の中心といえばモスクワ、もしくはパリなので、ぜひ学生のうちに行っておきたいという夢がありました。ショパンやラフマニノフも好きです。自分は音の数が多かったり、ちょっと複雑だったりするのが好きなので、その意味ではプロコフィエフが好き、というのもあります。

新庄龍馬さん
© 写真 : Moscow Conservatory
新庄龍馬さん

スプートニク:今回の訪問で心に残ったことを教えてください。

新庄さん:モスクワは思っていたより良いところで、他のヨーロッパより食事も美味しくてとても満足しています。マスタークラスでは素晴らしい先生方と仲間に恵まれて、刺激的な時間を過ごすことができました。悔しい思いをしたところや、今回のことを通して自分の足りないところが明らかになりました。それを日本でブラッシュアップして、またモスクワへ持ってきたいと思っています。今までロシアのことを色々勉強してきたつもりがありましたが、それは本に書いてあるような間接的な情報だったので、直に現地の文化に触れるということはとても大切なことだと思いました。

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文化, 音楽, 露日関係, 日本, ロシア
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