日本事務所開設、シベリア鉄道復興の助けになる? ロシア鉄道第一副社長インタビュー

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24日、ロシア鉄道やロシア運輸省の幹部が日本を訪れ、経団連会館でフォーラム「日本のためのシベリア鉄道」(ロシア鉄道主催)が開催された。フォーラムではシベリア鉄道を利用した物流サービスのメリットについて紹介が行なわれ、日露の物流関係者が交流した。ロシア鉄道のアレクサンドル・ミシャリン第一副社長は、2019年中にロシア鉄道の事務所を日本にオープンする計画があることを明らかにした。帰国の途に着いたミシャリン氏は、計画の詳細についてスプートニクの独占インタビューに答えた。

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スプートニク:なぜこのタイミングで、日本オフィスの開業予定が発表されたのでしょうか。日本に拠点をもつ必要性について、どうお考えですか。

ミシャリン氏「今、政治的にも経済的にも日本との関係は非常に発展しており、多くのロシア企業が日本に事務所を構えることを検討している。その理由は私からしてみれば明らかだ。日本のビジネス社会は独自の特殊性をもっており、常にビジネスコンタクトを取りつづけることによって作れる、強固な信頼関係を背景に成り立つものだ。それを、時差が6時間もあるモスクワから実現することは難しい。日本における拠点開設については、わが社の社内で、すでにある程度の時間をかけて検討されてきた。日本との協力において我々は、ロジスティクスと輸送インフラの発展の分野で、いくつかのプロジェクトを発展させようとしている。どのプロジェクトも絶え間ない入念な研究が必要だ。そしてもちろん、ヨーロッパへのトランジットを含むコンテナをはじめ、日本発の貨物量を増やしたいと願っている。日本オフィスの開設は、これらの課題解決に役立ってくれるだろう。」

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スプートニク:日本では1975年にTSIOAJ(日本トランスシベリヤ複合輸送業者協会)が設立され、現在12社が参加しています。日本事務所開設のあかつきには、TSIOAJや参加企業とどのように役割分担できると考えていますか。

ミシャリン氏「ロシア鉄道は、TSIOAJの事務局と強固な関係を築き、長きにわたって、共通の目的にのっとって協力している。日本の荷主企業に対して、シベリア鉄道を利用したロシア行き・ロシア発の輸送と、ヨーロッパへのトランジットに関して、優位性があるとアピールし、関心を高めてもらうことだ。TSIOAJは我々にとってリアルなビジネスとの架け橋。これからも日本市場におけるシベリア鉄道輸送推進協力に期待している」

スプートニク:日本のどういった組織や企業との協力を望んでいますか。

ミシャリン氏「日本の物流企業、荷主企業、投資会社との協力をより緊密にしたいと考えている。もちろん、国交省、経産省、経団連、ROTOBO、JETROといった機関ともだ。そして、JR貨物との協力強化を視野に入れている。JR貨物はすでに、中国・韓国と協力し、日本中のあらゆる場所から中国・韓国のあらゆる場所に荷を送ることができる仕組みを作っている。日本からロシアに送る際も、同じことができるのではないか。その場合、貨物を日本海にある港、例えば、地元自治体がロシア鉄道との協力に前向きな、富山港から出すということもできるだろう。

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日本のパートナーとの協力事業で、もっとも発展する可能性があるもののひとつは、ロシアにおけるロジスティクス・ターミナルのインフラ投資プロジェクトだ。現在、三菱重工と双日が、サンクトペテルブルク・シュシャルゥイ地区「バルチースキー」と沿海州ウスリースク市の「プリモールスキー」の参加可能性について検討している。

それに加えて鉄道ツーリズムの観点から、旅客用の鉄道利用についても見通しは明るいと考えている。日本の旅行者の皆さんに、シベリア鉄道を利用したユニークなツアーや、モスクワ―サンクトペテルブルクといった路線のツアーを提案する用意がある。これら全ての課題は、日本に事務所があれば、プロセスを早めることができ、実現に向けての後押しとなるだろう。」

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日本事務所開設、シベリア鉄道復興の助けになる? ロシア鉄道第一副社長インタビュー - Sputnik 日本
ロシア鉄道 アレクサンドル・ミシャリン第一副社長

TSIOAJの事務局長で、国際物流大手「日新」の尾関誠ロシア・CIS室長は「TSIOAJが目指すのは、欧州を初めとする第三国向けのシベリアランドブリッジを復活させること。特に今年は日EU経済連携協定(EPA)が締結され、日欧間の物量拡大が期待される中で、ようやく、日本と欧州が再びシベリア鉄道で結ばれると言う状況になりつつある」と話す。

しかし尾関氏によれば、非英語圏のロシアとは言語の壁が大きく、情報の入手がオンタイムにできないことで、正確性に欠けたり詳細が不明だったりと、意思疎通に関する問題があるという。尾関氏は「その意味で、ロシア鉄道による日本事務所開設、あるいは今回のようにイベントやフォーラムを開催し、多くの日系企業の方たちに最新事情を発表すると言う機会は非常に有意義」と指摘している。

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