日本と韓国の間で起こりつつある貿易戦争:
主要な疑問への回答
写真:AP Photo / Ahn Young-joon
日本政府は韓国を輸出管理で優遇措置を適応する「ホワイト国」から除外した。これより前にも日本政府は、韓国に対して、半導体製造に不可欠な化学材料の輸出を規制する措置を取っていた。このように、東アジアの二大経済大国、日本と韓国は、本格的な貿易戦争に突入している。この状況は世界経済にどのような影響を及ぼすのか、スマートフォンの価格に影響するのか?より大きな被害を受けるのは日本か、それとも韓国か?スプートニクが、日韓の貿易問題をめぐる主要な疑問にお答えする。
全ては何から始まったのか?
写真:AP Photo / Ahn Young-joon
日韓の亀裂は、今年2019年に入って深くなった。韓国の最高裁にあたる「大法院」は、戦時中に日本企業での労働を強制された元徴用工への損害賠償を支払うよう新日鉄住金や三菱重工業に要求。日本側がこれを拒んだため、これらの企業の韓国国内の資産が差し押さえられた。また今年7月15日には、原告が、三菱重工の差し押さえ済み資産の売却申請をし、現金化に着手することを明らかにした。日本側は、最新の電子製品の製造に大きな意味をもつ半導体材料の韓国への輸出規制を行なうと表明した。こういった行為に踏み切った日本の公式的な立場は、韓国がこれらの安全保障に関わる材料を、北朝鮮に流出させかねない、との疑いを抱いたためである。
この騒動で正しいのは誰か?
写真:AP Photo / Kim Kyung-Hoon
この問題に対する正しい解答については、日韓間だけでなく、専門家の間でも意見がわかれている。日本の外務省が何度も言っているように、日韓は1965年に日韓基本条約を締結し国交を正常化し、3億ドル相当を韓国に無償提供、2億ドル相当を貸し付けた。日本は、この経済協力金によって、財産補償、個人および法人の請求権問題はすべて解決したとの立場である。いっぽうの韓国は、かつての日本の軍国主義(第二次世界大戦時の日本による韓国の支配、戦争犯罪)を忘れることを拒否し、賠償金だけでなく、従軍慰安婦に対して「心からの」謝罪を要求している。専門家らは、日本の政治家も韓国の政治家も、有権者の支持を集めるため、この問題を利用している、という意見で一致している。
より大きな被害を受けるのはどちらか、
日本かそれとも韓国か?
写真:AP Photo / Ahn Young-joon
専門家らは、日韓の経済は強く相互に結びついているために、この騒動は日韓両方に影響があるとみている。しかし貿易バランスからいえば日本の方が大幅な貿易黒字であるため、影響をより強く受けるのは韓国の方かもしれない。
どんな製品が輸出規制の対象になり、
誰がそれらを利用しているのか?
写真:Flickr / Kārlis Dambrāns
日本が輸出規制の対象にしたのは3種類の半導体材料だ。それを購入しているメインのクライアント社のひとつが、韓国を代表するメーカーのサムスン電子である。ポータルサイト「Statista.com」のデータによれば、2019年の第一四半期でサムスンは世界のスマートフォン市場の23.1%のシェアを占めている。2位につけているのは中国のファーウェイで、世界シェアは19%だ。
「輸出規制」とは実のところ何を意味しているのか?
写真:Office of the President of the Republic of Korea
輸出規制によって、日本企業は防衛・戦略的プロダクト製造のおそれ、および二重輸出されるおそれのある技術や製品を韓国向けに輸出する際、個別契約ごとに日本政府に許可申請を出すことが義務化された。申請の回答は90日以内に来ることになっており、政府から許可を得られない可能性もある。
日韓の亀裂によってスマートフォン価格に影響は出るのか?
写真:AFP 2019 / Anthony Wallace
専門家たちは、デジタル製品の製造に影響のある、この貿易戦争の継続を予測しているが、そのことによる市場価格の大幅な値上がりは予想していない。
「韓国からの報復」はどのようなものになるのか?
写真:AP Photo / Ahn Young-joon
専門家らは、韓国は、激しい日本製品のボイコット日本への旅行のキャンセルだけでなく、もっと他の真剣な措置を取るとみている。先日、タイ・バンコクで行なわれた日韓外相会談において、韓国の外交部長官・康京和氏は、もし日本が韓国を(本稿の冒頭ですでに述べた)ホワイト国から除外するならば、韓国は「安全保障分野で、日本との相互関係システムを丸ごと見直さなければならなくなるだろう」と話した。韓国が、日韓が互いに機密情報を交換する軍事情報協定の破棄に踏み切る可能性は高い。
現在の状況が及ぼす世界経済への影響は?
写真:AFP 2019 / Fabrice Coffrini
日韓の経済関係危機は米中の貿易戦争とタイミングが重なった。専門家らは、現在の状況はトランプ米大統領によって作られた「トレンド」の中にあり、我々の世界は貿易空間の変化の境界に立っている、と指摘している。「エクスペルト」誌のアナリスト、アンナ・コロリョワ氏は、スプートニクとのインタビューで、「韓国との貿易協力関係において、中国は喜んで、日本がいた場所を占めるだろう。ロシアも韓国に対し、半導体製造に不可欠なフッ化水素を提供する提案をした。その後、自動車市場やその部品市場、石油精製品、造船分野などの他分野においても、再分配を期待することができる」と述べている。
この問題はどれほど深刻なのか、
いつ雪解けに向かうのか?
写真:Kagenmi
専門家らは、日韓の関係は、両国が国交を正常化した1965年以来最悪の状態だと指摘している。日韓の対立は当面の間続き、より緊迫したものになると予想されている。