22:37 2019年09月19日
人工知能

ロボットに感情を教えこむことはできるか 日本人教授が自身の研究について語る

© 写真 : Pixabay / Gerd Altmann
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明治大学の武野純一教授は、人間の脳と同じ原理で動くロボットを研究している。武野教授は人工知能研究の分野で抜きん出た研究者の一人だ。武野教授の研究チームは、鏡の中の自分を認識でき、コミュニケーション相手である人間の感情を認識し、その行動を模倣し、さらには意思決定ができるロボット製作している。今日の研究は人間の意識を持ったロボット製作にどれだけ近づいているのだろうか?なぜ心の痛みを理解できるようにロボットに教える必要があるのだろうか?スプートニク通信社のアンナ・クルスカヤ特派員(社会欄担当)が武野教授に取材した。

スプートニク:現在どのような研究を行なっていますか?チームが取り組んでいる人間の知能を持つロボット製作の進み具合はいかがですか?

武野教授「現在、知能ロボット製作分野での私の研究は、ロボットに自己認識を学習させ、ニューラルネットワーク(人間の脳の仕組みを数値モデル化したもの)を利用して、ロボットに自分を認識し、感情を覚えることを学習させようとしています。私の研究グループは日本のロボット産業と連携しており、人間の意識を持つロボット製作にすでに着手しています。」

スプートニク:どうやってAIに感情を覚え、自分を認識し、人間の価値観で行動することを教えるのですか?

武野教授「私の研究チームは、人間の思考形式に相当した二重の再帰型ニューラルネットワークに基づく意識のモジュールを作成しました。私たちが『MoNAD』と命名したこのモジュールは、オーストリアの哲学者エドモンド・フッサールが研究した人間の意識の10の特性など、人間の意識の特性の大部分を説明したものです。このモジュールの最も重要な特性は、自分が何をしているのか認識する能力です。

さらに、私の研究チームは複数のMoNAD階層構造による複雑なシステムの意識システムを作りました。私たちはこれを『MoNAD意識システム』と名付けました。

MoNAD意識システムは、人間の思考過程の安定が崩れたとき、意識がどう変化するかに基づいて、自己の感情を認識することができます。ここで私たちが立脚したのは、米国の社会心理学者レオン・フェスティンガーの認知的不協和の理論です。フェスティンガーの考えでは、人間の脳は難しい問題に直面した時、確固とした解析、理論づけが揺らいで不協和が生じてしまい、これが心理的な不快感を生みます。

私の研究チームはMoNAD意識システムが自律して感情を表現できることと実験で示しました。MoNAD意識システムによってロボットの行動を人間の価値観と合致したものにすることができるのです。私は、これがAI研究における新しい一歩になると考えています。」

スプートニク:会話するパートナーとしてのコンパニオンロボットは、将来的にどのくらい需要があるでしょうか?

武野教授「人間とロボットが考えを交わしあい、コミュニケーションをとることは、我々の研究においてとても重要な側面の一つです。ロボットのとる判断、ソリューションが常に正しいと考えるのは、非常に危険です。それはロボットが会話相手の人間の興味や要求に基づいて反応するという実証がないからです。」

スプートニク:AIが解決できる最も難しいタスクは何でしょうか?

「それはロボットが何かを創造することでしょう」

スプートニク:武野先生の予想では、人間よりも優れたAIはいつ現れると思いますか?

武野教授「この質問にお答えするのは難しいです。なぜなら人間の理性とは何なのか、まだよく分かっていないからです。それでも人間の創造能力をモデル化することができれば、私たちの研究グループは数年でこれをロボットの頭脳に組み込むことができるでしょう。そうなればこれは本当にすごい話で、ほぼ人間より優れたAIを作り出すことが可能になります。」

スプートニク:人間が活動する多くの分野で、ロボットは次第に人間にとって取って代わるようになりました。将来は、ロボットが富を生み出す間に、人間は自由を謳歌できるようになると考えてもよいでしょうか?

武野教授「楽天的な見通しとしてこういう考えもありますが、現実はそう簡単にはいかないでしょう。」

スプートニク:多くのSF小説や、映画でAIは人類を滅亡させる役柄として描かれています。こういった出来事が起こる危険性を下げるために今日どのような行動をとるべきでしょうか?

武野教授「そういった危険性を減らすために、研究者たちはAIをより人間に近づける方法を探さなくてはいけません。そのひとつがAIが人間特有の心の痛みを感じるようにするというものです。」

スプートニク:このインタビューは、ロシア国立原子力研究大学(モスクワ工科物理研究所)のアレクセイ・サムソノヴィッチ教授が議長を務める『BICA 2019』会議開催前に行われています。サムソノヴィッチ教授の研究チームが行うAI研究の進展についてはどう評価されていますか?

武野教授「素晴らしいと思います。サムソノヴィッチ教授の研究チームはAIの分野で多くのことを成し遂げています。世界中の研究者と一緒に研究を行うサムソノヴィッチ教授あってこそBICA会議は大成功するのです。」

この記事に示された見解はスプートニク編集部のものとは必ずしも一致していません。

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研究, テクノ, ロボット, 人工知能
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