06:59 2019年11月16日
徳仁天皇陛下

徳仁天皇陛下はどのような天皇となるか

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10月22日には徳仁天皇陛下の即位の礼が行われる。令和はどのような時代になるのだろうか?新天皇への新たな期待とは?スプートニク通信は、専門家にこの質問を投げかけた。

今上天皇は父君の路線を継承するか

徳仁天皇陛下のケースはユニークだ。前天皇(現・上皇)陛下が健康状態を理由に譲位を希望したことは、法律改定や改革の必要性をめぐって多くの議論を呼んだ。しかし、これまでとは異なる経緯の即位は別にしても、今上天皇の状況はこれまでの天皇とは少し違っている。

「令和」
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陛下は皇太子時代を含め、30年間を御両親、弟君、妹君と同じ家で過ごしたが、これはかつてない事例だった。明仁陛下にしても、それまで天皇は両親とは離れて家臣の家で育つものだった。伝統では、天皇は国民に近い存在であり、国民は天皇にとって親族より重要な存在でなければならない。1980年代、徳仁親王(当時)はこれについて次のように発言されている:「家族という身近なものの気持ちを十分に理解することによって、初めて遠いところにある国民の気持ちを実感して理解できるのではないかと思っています」。

それに加え、今上天皇は海外留学のご経験をもつ初めての天皇となった。回顧録「テムズとともに 英国の二年間」の中で、留学時代を「もっとも幸福な時間」と振り返っている。

同時に、平成時代の特徴の一つが、上皇陛下のイニシアティブで行われた「ご公務」の多さだ。これまでと異なる養育方法ではあったものの、父君の始めた新たな伝統を今上天皇も継続していくだろう。

今年5月1日、即位後朝見の儀での徳仁陛下の「おことば」には、現・上皇陛下がよく口にした言葉が多く見られた。それは「粛然」、「自己の研鑽に励む」、「常に国民を思い、国民に寄り添いながら」、「憲法にのっとり」などであるが、専門家によれば、これは単なる偶然の一致ではなく、前天皇の路線を継承するという新天皇の意思の表明だという。

皇后の役割

今年5月、天皇皇后両陛下とトランプ米国大統領夫妻との会見はセンセーショナルだった。両陛下が外国賓客と通訳を交えず、自由に会話をした初めてのケースとなった。

雅子皇后陛下のご様子は一般の想像とは異なっていた。皇后陛下は天皇陛下の後ろではなく同列に並び、会話は抑え気味ではなく、冗談も交えていた。

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トランプ大統領夫妻との会見は、雅子皇后に対する一般の見方を変えたという点で大変重要なものとなった。雅子皇后はこれまで度重なる様々なバッシングに遭い、2004年に診断された適応障害を抱えている。それでも、朝日新聞社編集委員の宮代栄一(史学博士)によると、今後さらに世論は変わる可能性があるという。

「日本人の意識としては、おめでたい時には批判などするなというのが一般の方たちの考え方なので、そういうのもあり、今は祝賀ムード、奉祝ムードが満ちています。しかし、メディアはそういうわけにはいかないので、批判すべきところはするべきですが、そういうことをすると、今の日本では、ケチをつけるなと言われる場合があります。実際テレビなどを見ると、ほとんど“おめでたい”という言葉しか出てこないと思います。しかし、この奉祝が終わった時に、天皇皇后両陛下がどのように評価されるかが、今後の課題になると思います」。

伝統VS改革

宮代氏は、徳仁陛下の進歩的な考え方をもってしても、伝統的な制限と一般社会の注目の中で、その考え方を実現できるかというと予測は難しい、と語る。

「私は個人的に、(陛下は)進歩的な考え方で、しかも歴史学者ですので、色々なご発言をされたいと思いますが、政治的な発言は一切禁じられていますので、その中でどれだけご自分の声が伝えられるかは疑問です。現・上皇陛下は非常に強い言葉で自分の思いを語ったかなと思いますが、それが本当にできるのかは今のところ言うのは難しい。強い言葉で発信すればそれに対する逆のレスポンスが返ってくるのは間違いない、また議論も起きるでしょうから。それが分かってらっしゃるだけに、その辺が非常に難しい問題になってくると思います」。

もちろん、日本国憲法では天皇は国の政治に関わることはできず、法律改正についても意見を述べる権利をもたない。しかし、皇室ジャーナリストの山下晋司氏は、天皇の意見は日本国民にとって大きな意味をもち、政府も天皇の意見を無視することはできないと語る。

さらに、東洋諸国大学教授で大阪経済法科大学客員教授のアナトリー・コシキン史学博士は、新天皇の権限が拡大される可能性について次のように述べる。

「日本の右派が天皇に求めるものは、国民の象徴だけではありません。彼らは天皇のかつての権利と特権を復活させたいと望んでいる。それにより国民の団結が進むと考えています。新天皇の即位はそのような試みを伴う可能性もあります。これは日本国憲法の主要な条項に触れるため、どれだけ現実的か言及するのは難しいです。しかし、安倍首相は憲法改正を支持していますので、何が起こってもおかしくありません。」


徳仁天皇は皇太子時代に、「その時代の皇室として何が求められているかを的確に感じ取り、時代に即した公務の内容を考えていく必要がある」と発言されたことがある。

山下氏は自身の論説の中で、皇室における変化はある程度自然なことだと述べている。しかし、何を変え、何を古いまま残すのかを決めるのは難しい課題であり、ここに天皇の役割が極めて重要になる。日本国民、そして世界中が、徳仁天皇がこの課題をどう解決するか、見守ることになるだろう。

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天皇ご一家, 明仁天皇
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