21:31 2020年04月04日
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東京芸術劇場では10月10日、超絶技巧で知られるスイス在住のロシア人ピアニスト、コンスタンチン・シェルバコフによるピアノリサイタルが開催された。経験豊かなシェルバコフの演奏活動に対する取り組みは広く注目を集めている。そこでスプートニクの東京特派員がリサイタル後に取材し、話を伺った。

シェルバコフは1990年代からスイスに暮らし、チューリッヒ・コンセルヴァトワールで教鞭をとってきた。教育活動と同時に、世界各国でコンサート活動を行っており、欧州、アジア、米国、オーストラリア、アフリカなど、シェルバコフが活躍する国や地域はなんと35か国にのぼる。ソリストとしてシェルバコフが共演した管弦楽団の数は60を超えた。

コンスタンチン・シェルバコフ
© 写真 : Jen-Pin
コンスタンチン・シェルバコフ

シェルバコフが用意するレパートリーの構成には誰もが驚愕する。シェルバコフは誰も手を出さないほど難解な楽曲をプログラムに取り入れることを自らの使命とするピアニストだ。シェルバコフが演奏した楽曲の中には、それまで演奏が不可能とされた作品がいくつも含まれている。

「アジアの追撃を受ける欧州の黄昏」

スプートニク特派員:欧州とアジアで、クラシック音楽の演奏家にはどのような差があるでしょうか。国や地域の境界が薄れつつあるグローバル化の今日、何かしら違いについて論じることは可能でしょうか。 

シェルバコフ:そうですね。そうした違いというのは、30年も前であれば話ができたでしょう。当時、アジアの国々はクラシック音楽の道を歩み始めたばかりでしたが、もはやそうした境界は薄てれきました。どこにいても勉強できる世の中なのです。そしてもちろん、ユーチューブのおかげで音感を持つ人は実に多くのことを吸収できる時代になりました。

欧州とアジアは競争関係にあるでしょうか?

シェルバコフ:そうした関係にある、と言ったほうがいいですね。そして、追撃を受ける欧州は黄昏時を迎えています。ロシアも含め。その分かりやすい例として、ここ数年で開催された権威ある、主要な国際コンクールの優勝はいずれも韓国人ピアニストがさらっていきました。ただし、中国、韓国、日本のピアニストはその多くがロシアの教育方法で指導を受けていることは指摘しておきましょう!

クラシック音楽に馴染みのない人はどうすれば? 

シェルバコフのコンサートに足を運ぶ前に、作品の背景知識について調べておくことは重要だ。作品についての情報を事前に得ることで、これから耳にする音楽の世界観をより深く知ることができる。 

「今日のピアノリサイタルではまずチャイコフスキーの小品(『18の小品』Op. 72より 第14曲 “哀歌”/ 第5曲 “瞑想曲”)を演奏しましたが、これは作曲家が親交のあった16歳の少年の死に寄せて書き上げたものでした。それを知っていると知っていないとでは、聞き方が全く違うでしょう」とシェルバコフは語った。

「または、ラフマニノフが手掛けた、ショパンの主題による変奏曲も演奏しましたが、簡単な音楽ではありません。しかし、そこに描かれる人生の物語や事件、作品世界を事前に把握し、別の角度から見る目を養っておけば、きっと多くの発見があるでしょう」

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