07:55 2020年02月19日
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モスクワのアマチュア和太鼓団「Taiko in-Spiration」がデビュー作「青の樹海」を披露し、記録的な入場者数となっている。作品のチラシには次のような言葉が並んでいる。「和太鼓のリズムは聴くものを樹海へと誘い込む。そこは狐が住まう、ほの暗い森。誘い込むような笛の静かな旋律が和太鼓の力強いリズムと溶け合い、一つになる。そして『月見祭り』の伝説が青の樹海に花開く……」この旗揚げ公演に伴い、スプートニクの特派員が舞台に足を運び、グループメンバーと観客に話を聞いた。

役者の力強い体使い、躍動感に満ちた和太鼓のリズム、独創的なコスチュームとメイク、美しい舞台美術、そしてグループを率いるアンドレイ・バフテロフが編み出したクリエイティブなストーリー。こうした要素すべてが古き日本の神話的雰囲気へと観客を誘い込む。そのカギを握るのが音楽だ。ロシアで有名な音楽家のドミトリー・カリーニン氏による三味線、琴、能管のオーセンティックな演奏、そしてタチヤナ・レチナヤによる尺八、篠笛の演奏が客席に瞑想の世界を醸し出す。

アマチュア作品にもかかわらず、この作品をプロのレベルに仕上げたのは和太鼓ソリストとして広く知られる谷口卓也氏だ。谷口氏は作品のために作曲を担当し、さらには2019年11月の試演会で演奏を披露した。Taiko in-Spirationのソリストで音響担当のアレクサンドラ・サモヒナは次のように語った。

青の樹海
© 写真 : Taiko in-Spiration
青の樹海

「演奏レベルを上げるため、WPE(World Percussion Ensemble)のメンバーで著名な和太鼓奏者の谷口卓也さんにマスタークラスを開いてもらいたいとアプローチしました。最初は私たちのオファーに懐疑的だった谷口さんですが、実際にロシアに来て、私たちの演奏を見ると、私たちのやる気と、何でもすぐに覚える能力に驚いたそうです。谷口さんはヨーロッパで多くの公演やマスタークラスを行なっていますが、今は私たちのところにも来てくれるようになり、相談にのってもらったり、アドバイスをもらったりしています。彼が私たちに特に好意を抱いてくれていることは、例えば、私たちが彼の作品の演奏許可をもらったことが示しています。これは頻繁にあることではないんです。このパフォーマンスは、私たちにとってデビュー公演です。谷口さんがこのアイデアを支持してくれただけでなく、私たちと一緒に出演することに同意してくれたのは、大きな幸運です」。

  • 青の樹海
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    © 写真 : Taiko in-Spiration
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© 写真 : Taiko in-Spiration
青の樹海

観劇後、スプートニクの特派員は観客に作品の印象をたずねた。

モスクワ音楽院に学ぶイワンは次のように答えた。

「比較対象がないので、どれほど日本のものに近いのか、あるいは、かけ離れているのかは判断できません。これまで日本人による舞台作品に触れた経験はありません。ですが、和太鼓の演奏は印象的でした」

友人のアリサは次のように答えた。

「この作品が完全に日本ぽくなくてもいいと思います。たとえば、日本人がチェーホフや、ほかのロシア作家の作品を舞台にすると、ロシア人がやるのと全く同じにはなりませんし、この作品もそれでいいと思います。舞台は神秘的で、引き込まれるような感じがしました。衣装や靴もそうですが、大昔の日本人を描いた版画を見ているようでした」

モスクワの学校に通うマリーナは次のように感想を語った。

「ぜんぶ面白かった。おとぎ話の世界に来たみたい。わたしも和太鼓をやってみたい。あと、日本に行ってみたくなった」

その父親にも話を伺った。

「アマチュアのアンサンブルとしては本当に素晴らしい出来だと思います。子供も大人も楽しめる作品でした。そして何より大事なのは、作品を通して日本文化や音楽、楽器、舞台芸術に対して関心を持つきっかけになるという点です」

青の樹海
© 写真 : Taiko in-Spiration
青の樹海

ロシアの和太鼓ブームは欧州や米国の後塵を拝しているとはいえ、Taiko in-Spirationのマスタークラスにはロシア全土から数多くの参加希望者が足を運んでいる。そしてグループのメンバーらはいま、一つの夢を描いている。それは日本滞在だ。これまでの成果を日本で披露し、日本の和太鼓奏者に学びたいと願っている。それもこれも、メンバーらが強い情熱をもって普及に取り組む日本文化の神髄に触れるためだ。

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