17:24 2020年03月31日
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19日、経団連の代表団はロシア・ニジェゴロド州の州都、ニージニー・ノヴゴロドを視察した。経団連のミッションが、ロシアの二大都市であるモスクワとサンクトペテルブルク以外の都市を訪問したのはこれが初めてだ。経団連・日本ロシア経済委員会の朝田照男委員長(丸紅常任顧問)は、多くの地域から招待を受けたが、ロシアの中でも経済成長率が高く、複数の日本企業が実際に進出している場所を視察したかったと話した。特にニージニー・ノヴゴロドは、看板産業である自動車分野で日系企業が存在感を発揮していることから、訪問が決まった。

ニージニー・ノヴゴロドは首都モスクワから東へおよそ400キロ。近年、高速鉄道の導入によりモスクワから約3時間半で行けるようになり、アクセスがより便利になった。日本への関心も高く、宮城県とニジェゴロド州は10年前に協力協定を結び、文化交流を行なってきた。

高速鉄道で到着。ロシアの伝統「パンと塩」でおもてなし
Aleksander Volozhanin
高速鉄道で到着。ロシアの伝統「パンと塩」でおもてなし

ニジェゴロド州のグレブ・ニキーチン知事は、経団連ミッションとの面会の中で、2019年の州と日本との貿易高のうち、8割が日本からの輸入であるため、州からの輸出を増やし、日系企業がニジェゴロド州における現地生産を推進できるように協力を惜しまないと述べた。

また、教育産業に力を入れているニキーチン知事は、ソ連時代からの高等教育機関や寮の設備を一新して、インドや中国からの留学生を集めた学園都市を作る構想を明らかにした。

来年2021年、ニージニー・ノヴゴロドは建都800周年を迎えるため、様々な記念行事が計画されている。知事は「人的交流の充実については、我々のオペラバレエ劇場に日本人のバレエマスターがいることからも明らかです。ぜひ日本からもフェスティバルに参加してほしい」と話している。

ニキーチン州知事と面会
Aleksander Volozhanin
ニキーチン州知事と面会

経団連ミッションはテクノパーク「発展イノベーションセンター」を訪問し、センター内に入居する研究室を見学した。自動で必要量の麻酔を投与してくれる機械や、不整脈や心筋梗塞の予兆を発見する家庭用の心臓検査システムなど、日本でも需要のありそうなユニークな製品が紹介された。

朝田氏は、わずか一日という短い視察だったが、ニジェゴロド州が有望な地域であるという感触を得られたと話している。

朝田氏「ここはそれなりの有望な地域で、色々な形で新経済特区を作ったり、外国企業も含めて新たな投資を呼び込もうという熱意が感じられます。モスクワから近く、交通の便が良いというメリットもあります。そういうことを考えれば、ニージニー・ノヴゴロドのみならず沿ボルガ連邦管区は、日本の企業にとって親しみやすく、アプローチしやすい場所だろうと思います。」

しかし、ニジェゴロド州に限らず、ロシアビジネスには課題が多い。「日露間でなぜインフラビジネスが増えないのか不思議」と話す朝田氏は、これまでも、日本企業が安心して投資できるような仕組み作りを求めてきた。

朝田氏「ロシア企業は、日本とのパートナーシップで日露ビジネスを拡大していきたいという要望をもっています。ですからロシア政府に対しては、すでにロシア進出した企業が『ロシアに投資をして良かった』と思えるようなルール作り、充実したシステム作りをぜひお願いしたい。安心して投資できるということはやはり必要で、そのためには、わかりにくい法解釈や行政手続きの一層の改善を望みます。」

朝田氏は、「官民連携で新興国のインフラ建設を行なう場合、日本の技術や資金を提供した結果として一定のリターン(最低利回り)を保証するシステムがあるが、我々日本勢はロシアにおいて、そういったところにめぐりあっていない」と指摘。朝田氏は、最低のリターンを保証する仕組みが、ロシアで一般的な制度として構築されれば、日露ビジネスはより拡大していくだろう、と話している。

今年5月には、北海道で日露地域交流年2020-2021の開会式が行なわれる。ニキーチン知事をはじめ、ロシア中から地域のトップが日本を訪れる予定だ。地域交流年は、文化交流のみならず、新しい地域間ビジネスを生み出すきっかけになるかもしれない。

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