友好よりもっと、さらに深い交流:

「スタニスラフスキーシステムの基礎から学ぶワークショップ」の1日



「スタニスラフスキーシステムの基礎から
学ぶワークショップ」とは?
青年劇場
各国の演劇学校がどれほど異なっているかに思いを馳せる人はそう多くないだろう。しかも、演劇は決してパフォーマンスだけの芸術、つまり外面だけの芸術ではない。演劇の核心をなすのは人間関係の芸術、すなわち関わる人全員の心の奥深くの動きの芸術なのである。同じ舞台でロシアと日本の演劇が出会ったらどうなるのか?スプートニクの記者が1月27日~2月2日に青年劇場で開催された「スタニスラフスキーシステムの基礎から学ぶワークショップ」を訪れて詳しく取材した。

ロシアからやってきた講師たちはすでに12年連続でこのワークショップを日本の俳優向けに開催している。その間、変わることなく講師をつとめているのがヴィクトル・ニジェリスコイとセルゲイ・シェンタリンスキーという真のロシア演劇人である。2人はとても興味深い日本との出会いを経験している。

講師から見たロシアと日本の俳優の違い (1)
ワークショップで「俳優表現のエクササイズ」を担当するセルゲイが初めて日本を訪れたのはまだ90年代のこと、公演での訪日だった。セルゲイは長年にわたって多くの国で教鞭をとってきたが、日本は彼が講師をつとめるアジア唯一の国である。


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講師から見たロシアと日本の俳優の違い (2)
一方、ヴィクトルは「ステージムーブメント」の授業を行う。彼の背負うものはロシアの教育だけではない。日本で能の芸術を学んだ経験があり、立教大学の現代心理学部映像身体学科で、とりわけ表現の哲学と心理学の分野で教鞭をとり、研究していたこともある。ヴィクトルは、人生のあらゆる段階において日本人が彼の助けになってくれたと言い、日本人との交流の経験を懐かしみながら語ってくれた。


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参加した日本人アーティストの印象


日本にロシアの演劇学校はできるか?
コラボの可能性は?
(1)
セルゲイは、日本に常設のロシアの演劇学校があれば良いと考えており、それは十分に実現可能だと考えている。昨年10月にロシアと日本のオペラ歌手がオペラ『エウゲーニー・オネーギン』の舞台で共演したようなコラボの可能性について、セルゲイは次のように語った。

「人と人がこうしてつながる、共同で芸術的活動をするのは素晴らしいことです。けれど、もっと掘り下げることができるのではないかと思います。私なら、俳優たちがまずは演劇という共通言語で会話し、それを踏まえた上で、そこから何かしらの本物が生まれるような、共通のフィールドを作りたいです。今の必要に応えるためではなく、より深いものです。もちろんそれには、ゲームの共通ルールについて、何を素材にし、何語でやるのかなどについて合意しなければなりません。また、ロシア人と日本人は何のために同じ舞台で出会ったのでしょうか?友好のため?それはもちろんですが、友好のほかにも、創造的な課題というものがあります。私たちにはもっと大きな可能性がある、ただ、それを実現するには時間が必要なのだと思います。私はこの劇場をホームだと感じますし、お互いに顔を合わせられることを喜んでいます。これをただの友好と呼ぶのでは足りない。もっと深い交流なのです。」

セルゲイ

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日本にロシアの演劇学校はできるか?
コラボの可能性は?
(2)
一方で、2人のロシア演劇人にも日本人から学ぶことがあるとヴィクトルは言う。彼自身、教える中で、体や動きがまったく違う形で受け取られる東洋の演劇から大きなインスピレーションを得ているという。そこから興味深いメタファーやアプローチを借用することで、ロシア演劇をさらに生命力に溢れたものにできると信じている。

「ワークショップでの私たちの課題は演技をすることではありません。私たちは単に空間を描き出すことではなく、俳優を開かせることに関心があるのです。私にとって演劇とはやはりエネルギーである「気」をまわすことであり、生命のないインスタレーションではないのです。」

ヴィクトル
ワークショップはもともと日露演劇会議の設立者である村井健氏のアイデアで始まったもの。ワークショップは日本の文化庁と日本劇団協議会の主催で実施されている。