07:20 2020年10月24日
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新型コロナウイルスと最前線で闘う医療従事者の役に立ちたいと、食べ物を差し入れする動きが広がっている。ここロシアでも例外ではない。サンクトペテルブルクにある日本食カフェ「ヤルメン」も、医療従事者に温かいお昼ご飯を食べてもらおうと、5月1日からプロジェクト「#yarumen4doctors」(ヤルメン・フォー・ドクターズ)を開始。スタッフたちは集まった寄付金で日本食を作り、毎日病院に届けている。

「恩返し」がコンセプト

ヤルメンは2015年、サンクトペテルブルク初のラーメン屋としてオープンした。その後メニューを拡大し、からあげ丼、天丼、焼きそば、カレーなど、定番の日本食を楽しめる店となった。ヤルメンのコンセプトは「東日本大震災の恩返し」だ。この店は、震災時に真っ先に助けの手を差し伸べてくれた隣国ロシアで何かしたいと、日本人とロシア人が共同で出資して誕生した。ヤルメンではこれまでも、孤児院の子どもたちを招待し、ラーメンをごちそうしたり、日本文化体験をプレゼントするなど、店のコンセプトにふさわしい社会活動を行ってきた。

今回の昼食の無償提供も、ロシアへの恩返しというべきものだ。スプートニクは、ヤルメン・ネフスキー大通り店の店長、ユリア・スムィコワさんに話を聞いた。

ユリアさん「今回のプロジェクトの発案は、ヤルメンの創始者であるドミトリー ・ユルコフさんと、梅本和正さんによるものでした。この案を聞いて、私たちはすぐに賛成しました。このプロジェクトの重要性は非常に理解できますし、何しろ1か月半もの間、お店が開けられず、仕事を恋しいと思っていましたから。」

女性に人気なのはからあげ丼!

プロジェクトは様々な人々の助けによって実現することができた。寄付を呼びかける特設サイトは、オーストリア在住のデザイナー、クセニア・ユルコワさんが作ってくれた。そして現場で働くシェフやマネージャーなど、ヤルメンのスタッフおよそ15人がこのプロジェクトに関わっている。届け先は、31番市立病院と、サンクトペテルブルク市立がんセンターの医療従事者、およびその他の病院に患者を搬送する救急隊員だ。

医療従事者への支援は、1食300ルーブル(約440円)から。これまでに13万ルーブル以上が集まり、5月18日現在で通算436食を提供した。

ヤルメンはサービス精神も忘れていない。医療従事者はあらかじめ、特設サイトを見てその日に食べたいメニューを選べるようになっている。特に人気なのは親子丼や焼うどん。女性には、からあげ丼も人気がある。これらのメニューは、通常時にヤルメンで提供しているのと全く同じ、伝統的な日本食だ。それぞれのお弁当には、飲み物もついている。

最初はカフェのスタッフが自ら病院まで届けに行っていた。しかし時間もかかり、安全面でも不安が残るため、タクシー会社のデリバリーサービスに切り替えた。ロシアでは、デリバリーサービスが非常に発達しており、安価で確実に届けることができる。

お弁当を受け取った医療従事者の皆さん
© 写真 : ©yarumen
お弁当を受け取った医療従事者の皆さん

「美味しい」と感謝の声が続々

お弁当を受け取った医療従事者たちからは、「すべてが収束したら、みんなで食べに行きます。その時は、マスクなしの私たちの顔を見てください」「ご支援本当にありがとうございます!仕事が多すぎて、すぐお礼できませんでした」といった感謝のメッセージが届いている。ある男性からは「親切な皆さん、皆さんはケチじゃないんですね、とても美味しいです。この騒動が終わったら、僕の愛する女性と一緒に、堂々と現金を持って食べに行きますよ」とユーモアたっぷりのメッセージが寄せられた。

まだ新型コロナの終息にはほど遠いロシア。サンクトペテルブルクでも、新型コロナに感染した医師が犠牲になるなど、医療従事者のおかれている状況は厳しく、闘いは先が見えない。ヤルメンの厨房にはまだ余力があり、寄付金さえ集まれば、1日に100食は作れるという。ヤルメンでは、支援を広く呼びかけ、これからも毎日昼食作りを続けていくつもりだ。

手渡しはこの一度のみ。現在は配達サービスを利用
© 写真 : ©yarumen
手渡しはこの一度のみ。現在は配達サービスを利用
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新型コロナウイルス, 露日関係, 食生活, 食べ物, 食事, 食料, ロシア
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