ペテルブルグのシャーロック・ホームズとモスクワの勇敢な探偵

日本でロシアの新作ミステリードラマが初放送

日本のミステリー専門チャンネルAXNミステリーが2月にロシアのミステリードラマ2本を初放送する。いずれのドラマもロシアの都市、帝都サンクトペテルブルグと現代の首都モスクワで撮影されたもの。『シャーロック・ホームズ ロシア外伝』は、英国の伝説の探偵シャーロック・ホームズが切り裂きジャックを追ってサンクトペテルブルグへ向かうという物語だ。『貴公子探偵ニコライ』は、ロシア版シャーロック・ホームズとでも呼ぶべき探偵ニコライ・ベズソノフの冒険を描く。スプートニクが2作品の監督と主役の独占インタビューをお届けする。

『シャーロック・ホームズ ロシア外伝』


シャーロック・ホームズが切り裂きジャックのあとを追う。狂気の殺人鬼はロンドンですでに複数の女性を殺害しており、そのたびに殺人現場にホームズへのメッセージを残していた。ホームズは殺人鬼との決戦に臨むが、ワトソンは怪我を負い、殺人鬼は逃亡する。逃亡先は・・・帝政ロシア。キルギス人のヌルベク・エゲン監督がサンクトペテルブルグで撮影したドラマ『シャーロック・ホームズ ロシア外伝』はここから始まる。現代のサンクトペテルブルグで19世紀の雰囲気をどのように再現したのか、新たなホームズはこれまでのホームズとどう違うのか。スプートニクのインタビューで監督が語った。

歴史上のペテルブルグをどのように再現したのですか?

エゲン監督:
ドラマの舞台は1898年で、私たちは書籍をもとにその時代を再現しました。美術スタッフが力を尽くし、素晴らしい仕事をしてくれました。建物の内部は19世紀の雰囲気が残る屋敷、ボリシャヤ・マルスカヤ通りのプロフツェフ邸で撮影しました。街路は逆に、19世紀末の本物のペテルブルグを見せたかったので、セットを組みました。約3000平米の広いスペースに通りや建物を再現したのです。ロンドン市街も一部再現したので、ドラマの中で見ることができます。
どうしてあなたの作品にはワトソン博士が出てこず、ロシア人のカルツェフ医師が出てくるのですか?

エゲン監督:
ワトソンは病気でロンドンに残りましたが、ホームズはロシアでワトソンの代わりとなる素晴らしい右腕を見つけます。カルツェフ医師は妻と娘を悲劇的な死で亡くしたことで、どん底に落ち、大酒を呑み、もう何も信じられず、自分の人生を葬ろうとしていました。けれど、ホームズと出会い、彼の熱意を目にして、人生に新たな意味を見出していきます。ホームズにとっても、カルツェフは真のロシア人であり、ホームズは彼を通してロシアを知っていきます。カルツェフはロシア人らしく、親切で、気前がよく、天才的な医師でありながら、それでいて矛盾に溢れていて、感情的で、時として危険な人物になり得るのです。
マキシム・マトヴェエフ(シャーロック・ホームズ役の俳優)は物理的にヒーローらしい派手な動きを求められたのでしょうか?
エゲン監督:
俳優はシャーマンのように最初から何でもできると思っている人がとても多いです。けれど、マキシムの場合は本当に自分ですべてやってのけるのです。すべてのアクションシーンをスタントマンなしで、自分で走って跳んで演じています。一度、マキシムが転倒したことがあり、私たちは足を骨折したんじゃないかと思ってドキドキしました。救急車で病院に運ばれましたが、幸い大事に至らず、2~3週間杖をつく程度ですみました。可笑しいのはマキシムが怪我をしたのが、玄関の階段を段跳びして走って行くというだけの一番簡単なシーンだったことです。もっと危険なシーン、例えば馬車から水に飛び込むシーンや、頭をナイフで刺されるシーン、頭をナイフで切られるシーンなどでは一度も撮影を止めたことはなかったのに。他の俳優も大怪我をしましたが、そのときも皆、男らしい振る舞いでした。
シャーロック・ホームズを演じる俳優のマキシム・マトヴェエフ(38歳)もスプートニクに印象を語ってくれた。
「私たちは、視聴者もすでによく知っている登場人物が、今までとは異なる状況に置かれたときにどう行動するのかを理解しようとしてきました。ですから、私たちのシャーロック・ホームズはコナン・ドイルが授けた鋭い頭脳、冷徹さといったすべての資質を持っています。けれど、このストーリーでは、これまで行ったことのない国へ行き、新たな人々や異なるメンタリティーに触れることで、ホームズの感性的な部分がより開花していくことになります。また、訛りを習得するのも難しかったです。シャーロック・ホームズは天才的な素晴らしい記憶力を持っていますが、訛りなく話すことはできません。なので、俳優として最も難しかったのは訛りのあるロシア語を話すことでした。イギリス人がロシア語を話すときの本物の訛りを再現できるよう、イギリス人の先生の個別指導も受けました。撮影では滑稽なことも多くありました。例えば、撮影中に私たちが乗った馬車が横転しました。6人も乗っていたので、馬車が曲がりきれず、全員が横にひっくり返りました。結果的に馬車はバラバラに壊れましたが、私たちは奇跡的に飛び降りて助かりました。全員無事で、今となっては思い出すたびにおかしくて笑ってしまいます。」
『貴公子探偵ニコライ』
現代ではめずらしい謙虚で控えめな主人公

名門貴族ベソノフ家の青年ニコライは運命のいたずらと心の命ずるままに探偵警察の役人になる。同僚たちは彼を冷たく迎えたが、ベテラン刑事のピョートル・ロマノヴィチ・シュキンだけはニコライに将来のスター捜査官の資質を見出す。スラム街や社交界の女王の閨房で起こる一連の謎めいた危険な犯罪を、彼ら二人が解決していく。ベソノフという名のモスクワの探偵の物語がここに始まる。

アンドレイ・マルモントフ監督の作品が日本で放映されるのはこれが2作目。(1作目は刑事ドラマ『爆発』)
「ドラマ『貴公子探偵ニコライ』は私にとって、監督として撮影したというだけでなく、自分でストーリーを考え、自分で書いた作品です。主人公は19歳で、当然、才能に溢れています。彼を取り巻く人々もいい人たちなのですが、彼ほどの能力はない。けれど、あまりにも躾の良い主人公は、他の人が何かを知らなかったり、理解していなくても、そのことを指摘するなんてもってのほかだと思っています。
そもそも、この作品の特徴は、舞台が19世紀だということです。とても可笑しいのは、出演しているのは若い俳優たちで、彼らに「いいか、これは19世紀なんだ。今の時代では理解できないようなしきたりがあるんだ」と何度も説明しなければならなかったことです。例えば、主人公のラブシーンです。リハーサルで主役のデニスはすぐに愛するアグラヤの手を取って繋ごうとします。私はすぐに「ストップ!」と叫ぶことになります。「デニス、君は分かってない。19世紀では、優しく指先を取らないで、いきなり手か腕をつかんだなら、もうそれまで。すぐに結婚だよ」と説明しなくてはなりませんでした。
さらに、主人公は、現代では残念ながら珍しくなってしまった重要な資質を持っています。謙虚で控えめな性格、自分を売り込もうしないこところ、自分を評価できる能力、つまり、どこに行っても自分は天才だと叫ばない。ただ自分の仕事をするだけ。必要な人は評価してくれるという姿勢です。そしてこれが、私たちが歴史ミステリーに取り組んだ最大の理由です。現代ではあまりにも軽んじられていると思う資質について話したかったのです。」
主役のデニス・ヌルリン(23)
「私にとって一番大変だったのは、役作りです。私が歴史に入り込み始めたとき、周りの人々は会話のテーマは何だったかとか、政治的姿勢について話していました。私は主人公だったらどう考えるだろう、どう動くだろうと考えていました。なにしろニコライは他の人とは考え方が違いますし、ものの見方が違います。彼はもっと先を見ていて、ほとんどの場合、物事はすべて彼の想定した通りに運ぶんです!私は背筋をまっすぐ保つ練習をしましたし、杖の扱いを学びました。なにしろ、当時は杖がシルクハットと同じように必須アイテムだったからです。サーベルで戦わなければならないシーンがありましたが、サーベルで戦ったことは一度もなかったので、何度かトレーニングを受けました。そのシーンの撮影はとても面白かったです。サーベルで闘いながら、同時に殺人の捜査について話すんです。動きとセリフを両立させるのは至難の業でした。」
【AXNミステリー放送情報】
『シャーロック・ホームズ ロシア外伝』
字幕版:2月14日(日)4:00pm 全8話一挙放送
番組サイトhttps://www.mystery.co.jp/programs/sherlock_the_russian_chronicles
★只今、AXNミステリー公式YouTubeチャンネルで、第1話無料配信中!(~2021年3月2日迄)
https://youtu.be/xFyIoSyVtTs
『貴公子探偵ニコライ』
字幕版:2月21日(日)4:00pm 全6話一挙放送
番組サイトhttps://www.mystery.co.jp/programs/noble_detective
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