スプートニク日本
宇宙トイレ、筋トレ、ロシア語能力・・・
宇宙飛行士が慣れなければならないもの
今からちょうど60年前の1961年4月12日、ソ連のみならず世界中の数百万の人々のヒーローとなったソ連の宇宙飛行士ユーリー・ガガーリンが世界で初めて宇宙に降り立った。人間を宇宙に無事に送り届けるために、研究者たちがどのような犠牲を払ったのか、そして現代の宇宙飛行士たちの習慣が過去の宇宙飛行士たちのものとどう違っているのか、「スプートニク」が取材した。
4月12日は、ソ連、現在のロシアと旧ソ連圏の国々では宇宙飛行士の日が祝われている。そこで、「スプートニク」の記者が、宇宙開発の歴史を知るため、モスクワにある宇宙飛行士記念博物館に向かった。
最初の宇宙征服者
宇宙への道は1957年に人工衛星の打ち上げから始まった。この人工衛星の打ち上げは、宇宙飛行の歴史の出発点となり、全人類に宇宙飛行が可能であるということを証明した。次に必要だったのは、宇宙で生きることができるのかを確かめることであった。
もちろん、人々の間でよく知られているのは宇宙飛行士であるが、無重力状態が生物の体にどのような作用を及ぼすのかについて解明し、生物が地球外でも生き延びることができるのかを確かめるために最初に宇宙に到達した動物たちのことを忘れてはならない。これを目的に、実に48匹の宇宙犬が使われた。
本物のベールカとストレールカのはく製
宇宙開発の記録
そして、1961年4月12日、ついにソ連は人類初の宇宙飛行士ユーリー・ガガーリンを乗せた宇宙船「ボストーク」を打ち上げ、ガガーリンは地球周回軌道を一周した。打ち上げから帰還までの飛行時間は108分だった。
ユーリー・ガガーリンは人類初の宇宙飛行士となり、地球上でもっとも有名な宇宙飛行士となったが、他のソ連の宇宙飛行士たちも歴史に名を刻んだ。
— 世界でも最年少の若き宇宙飛行士のゲルマン・チトフは、打ち上げ当時、わずか25歳だった。
— 女性として初の宇宙飛行を行ったワレンチナ・テレシコワ。今のところ、単独で宇宙飛行した唯一の女性宇宙飛行士である。
— 初めて船外活動を行ったアレクセイ・レオノフ。
トイレへの飛行、水をふりかけるシャワー。宇宙空間での生活とは?
地球を離れても、宇宙飛行士たちは、食べて飲んで、トイレに行き、シャワーを浴び、人と交流するなどといった人間的な欲求を持つ生き物である。そしてこれを無重力状態で実現しなければならないのである。
宇宙食といってまず頭に浮かぶのは、ピュレー状に加工した食べ物をチューブに入れたものである。実際、かつてはそうしたものを利用していたが、現在は別の方法が取られている。すべての食べ物はフリーズドライされ、ポリエチレンの袋にパッケージされている。この方が軽量化でき、国際宇宙ステーションへの輸送も安く済む。加えて、宇宙空間で食べやすいように工夫が凝らされている。パンは粉が出て、呼吸器に入り込んでしまうのを防ぐため、予めカットされている。またマグカップのようなものは存在せず、ティーバッグはすでに容器の中に入っていて、お湯を注いでかき混ぜれば飲めるようになっている。食べ物の量は半年分、事前に宇宙飛行士らと計算されている。一般的に、国際宇宙ステーションには、様々な国の宇宙飛行士が同時に滞在するため、それぞれの国がその飛行士のための食事を用意する。しかし、クルーたちはそれらの食べ物を交換するのを楽しみにしているという。
シャワーを浴びるのも、宇宙空間では簡単ではない。もし地球にあるような普通のシャワーを宇宙ステーションに設置すれば、水は水道管を通らず、塊になって球状になり、シャワー室を飛び回り、シャワーを浴びられなくなってしまう。そこで空気の流れで水を吸い込む特別なファンが、水道の役目を果たしている。容器に入った水を直接体にかけ、乾いたタオルで拭くという、もっと時間がかかる別の方法もある。ちなみにシャンプーは宇宙空間ではほとんど泡立たないが、それでも髪をきれいに洗うことができる。
一方、キャビンの中のすべてのものが宙に浮かぶという条件下では、トイレ問題はさらに厄介なものである。宇宙飛行士たちは、宇宙ではトイレにも「行く」のではなく、「飛ぶ」と冗談めかして言う。足の部分には特別なバーがついていて、用を足しているときに便器から浮いてしまわないよう、宇宙飛行士たちはそこに足を引っ掛ける。トイレは掃除機の原則と同様、モーターが尿や便を特別なコンテナに吸い込む仕組みになっている。
ステーション内の温度は25~28度に保たれているため、飛行士たちは通常、Tシャツにショートパンツという服装をしている。宇宙服を着るのは、動画で地球と交信するときだけである。ステーションでは靴は履かない。飛行士たちは、特別な取っ手を手で押して移動するので、足に履いているのは靴下だけである。
無重力の条件下では宇宙飛行士の筋肉が衰えてしまうため、飛行士たちは毎日3時間筋力トレーニングを行っている。トレーニングは、動かすのにより大きな負担がかかる特別なトレーニングウェアを身につけて行う。これは、地球では、脳性麻痺の子どもや脳卒中を起こした人たちの筋力増強にも使われているものである。
国際宇宙ステーションの宇宙飛行士たちの生活は、夢見がちな主人公が舷窓から故郷の地球を眺めている、そんなおとぎ話とは違う。宇宙飛行士の訓練に必要な期間は平均で8~10年。そしてこの間に、訓練生たちは厳しくチェックされ、負担に耐え、200回にも及ぶテストを受け、完璧な健康状態を維持しなければならない。そしてこうした訓練を受けた訓練生の中で、実際に宇宙に行けるのは限られている。人間の健康は永遠に続くものではなく、いつ何時、損なわれるか分からない。また宇宙飛行士には、絶対条件として、英語とロシア語の知識が求められる。
記者:マリア・チチワリナ

写真:クリスティーナ・サヴィツカヤ、アカイーブ写真