19:59 2021年08月01日
ルポルタージュ
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日露経済に大きな影響力をもつ実業家、アレクセイ・レピク氏。ロシアの主要経済団体「実業ロシア」の会長、露日ビジネスカウンシルの議長を務めている。レピク氏は、自身が立ち上げたロシアを代表する製薬会社「R-Pharm」会長としても知られ、ワクチン「スプートニクV」開発、コロナ治療薬コロナヴィルの展開など、その活動はコロナ禍のロシア経済において以前にも増して重要な位置を占めている。スプートニクはレピク氏に、日本とロシアのコロナ対策の違いや、菅政権下における日露ビジネスについて話を聞いた。インタビューは5日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムの会場で行われた。

5月から6月にかけて、ふたたびロシア全体の新規感染者数は増えてきた。地域によって営業時間などに違いはあるが、レストランや商業施設は営業しており、夏に向けて国内旅行、特に海辺のリゾートの予約は大盛況と、悲壮感は感じられない。

スプートニク:日本では20日まで緊急事態宣言が出ている一方で、ロシアの街中は自由な雰囲気で、深刻な危機感は感じられません。この違いはどこから来ていると考えますか?

レピク氏「ロシアは必要なタイミングで大量のリソースを投資し、感染症患者の入院治療システムを確立しました。投薬治療と、機をとらえたリソースの投入が非常に大きな役割を果たしたと思います。そして最も大きな根拠はワクチンです。スプートニクVのおかげで、接種した後にコロナにかかったとしても、命に関わるような重症にならずにすむという自信がもてます。きちんと接種し、コロナで死ぬ事はないと知っていれば、このように集まって、経済フォーラムのような大規模なイベントに一緒に参加したり、さらにオープンな経済活動ができます。

日本は人口密度が高いですし、平均年齢もロシアより高いので、高齢の患者が多いと彼らを注意してケアしなければいけないのは、よくわかります。でも病院までの距離はロシアより近いというメリットもあるので、急を要する場合でもすぐ搬送できるのではないでしょうか。日本が一刻も早く、この非常に困難なパンデミックを克服し普通の生活に戻ることを願っています。私も、もう1年以上、日本のビジネスパートナーや友人と会っておらず、日本へ行くのが待ちきれません。」

スプートニク:ロシアとの関係発展に熱心だった前安倍首相が退陣し、日露経済協力は停滞する、との予想が囁かれました。菅政権が始動してから、日本の対ロシア政策に違いを感じましたか?

レピク氏「菅氏は、安倍内閣において誰よりも深く、日露の二国間関係のトピックや議論のテーマ、意見の相違について理解していた人だと思います。その意味で言えば、菅氏は安倍氏と比べても同じくらいロシアというテーマに深く入り込んでいたと考えます。平和条約締結交渉についても、8項目の経済協力プランについてもです。

私自身、何度も同席させてもらいましたが、プーチン氏と安倍氏のハイレベル会談の際には、旧ソ連の国家を別にして考えれば、非常に多くの人々が一緒に参加していました。これは明らかにプーチン氏と安倍氏の個人的な信頼関係、好意のあらわれだと思います。

菅氏はもちろんそのメンバーの一員ではありましたが、今、我々に足りないのは、そのようなオープンさだと思います。コロナのせいで、直接会って話すことができていません。それなしに、新しい将来の可能性を描くことは難しいです。なので、今の議題は、これまでに話題に出て、すでに日本との間に存在しているプランについてです。コロナが収束した暁には、両首脳が、新しい日露協力の側面や要素について見つけることができればと願っています。」

スプートニク:プーチン大統領は4日、世界の通信社の代表とのオンライン懇談において、昨年のロシアにおける憲法の改正で領土の割譲が禁止されたことは考慮しなければならないと指摘しつつ、日本との平和条約締結交渉を継続する考えを強調しました。このことは日露ビジネスの土壌に何らかの影響を与えるでしょうか。

レピク氏「日本側にどういう影響を与えるか私には答えるのが難しいですが、ただ言えるのは、ハイレベルを含む全てのレベルで、日露協力に対する多大な好感があり、それらは経済、人的、科学などの各分野でそれぞれ進んでいて、平和条約を含む政治的な要素は議題にのぼっていないということです。ビジネスをする我々にとってもそこは管轄外です。どのような状況、コンテクストであっても、我々は我々の大統領の決定を全面的に支持します。一方が差別されるのでなく、日露双方が、全ての問題に対する受け入れ可能な策を見出すことができ、それによって更に集中的に、二国間の議題を実現できるようになればと思います。」

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新型コロナウイルス, 露日関係, 露日経済協力
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