スプートニク日本
いろんな顔を持つ女性
ウクライナ出身のコスプレーヤーへのインタビュー

カラフルな髪、イメージに合った衣装、剣、翼・・・。フェイド・エイレンの写真は、一見、SF映画やアニメから切り取った1シーンのようである。しかし実際には、人気のヒーローたちをイメージしたこれらの写真は、数週間かけた衣装作り、イメージ作り、ロケ地選び、そして長年の経験によって生み出されたものである。ウクライナ出身のごく普通の少女がどのようにして人気のコスプレーヤーになったのか、なぜ撮影のために日本のあらゆる寺院を撮影しなければならなくなったのか、「スプートニク」が取材した。
コスプレ(コスチューム、メイク、その他の手法を用いて、漫画、アニメ、コンピューターゲームなどのヒーローになりきること)は20世紀に、SFやファンタジーの人気の中、米国で生まれたものであるが、これが本格的なレベルに押し上げられたのは日本である。世界中の数千の若者たちが、大好きなヒーローのイメージを作り、それを写真撮影したり、ステージで演じるために数ヶ月もの時間を費やしている。
ファンの間ではフェイド・エイレンの名で知られるマリヤさんは、生まれ故郷のオデッサ(ウクライナ)で今から12年前にコスプレを始めた。3年前に東京に移り住んだマリヤさんは、現在、撮影のために川越、京都、長野など、日本中を旅している。
コスプレを始めてから、彼女は数十のイメージを繰り返し作り上げ、博物館や伝統的な地域から山間部の温泉に至るまで、日本のあちこちでテーマに合わせた撮影を数百回行った。
マリヤさんによれば、コスプレーヤーたちが社会から理解されなかったり、不当な扱いを受けたりする旧ソ連諸国と比べて、日本での状況ははるかに素晴らしいという。その派手なイメージによって、彼女は常に褒めそやされ、偶然通りかかった人も彼女が誰のコスプレをしているのかを理解し、一緒に写真を撮ってほしいと頼まれたり、サインをねだられたりすると話す。たとえば辿り着くのが難しい場所に行く途中でカメラマンと2人で道に迷ったときなど、多くの人々が彼女を助けてくれるという。
マリヤさんは幼い頃に「セーラームーン」を見て、その後、テレビで宮崎駿のアニメを見るようになったときから日本に関心を持ち始めた。当時、彼女は欧米のアニメよりも日本のアニメに興味をもち、同級生たちがディズニーのプリンセスを夢見ているとき、「ナルト」のサクラに夢中になっていた。そして時を経て、マリヤさんは共通の趣味を持つ人たちと知り合い、コスプレについて知るようになる。
「わたしの好きなヒーローたちが実在していたらどんな風なのか、そのイメージを形にしてみたいといつも思っていました。彼らを演じ、彼らになりきってみたいと思っていました。だからコスプレにこれほど長く惹きつけられたのでしょう。わたしは自分でコスプレをするようになっただけでなく、仲間を集め、コンクールに出場しそこで優勝したり、それからイベントを組織するようにもなりました。それから夫とともに日本に移り住み、ここで創作活動を始めました。ときどきプロジェクトで他のメンバーと一緒にやることもありますが、ほとんどの場合は自分1人でやっています。」
マリヤさんの好きなヒーローは、「鬼滅の刃」のしのぶと童磨、コンピューターゲーム「オーバーウォッチ」のマーシー、「狼と香辛料」のホロで、これらのイメージを繰り返しすることが多いという。たとえば、しのぶの役は、これまでに10回イメージを作り、15回の撮影を行った。
「普通はインスプレーションが高まって、このヒーローのコスプレをしようと決めます。あのキャラクターをやりたい、あるいはあの場面を撮りたいという気持ちが湧き上がってくると、いてもたってもいられなくなり、すぐにそのイメージ作りを始めてしまうという感じです。」
コスプレの期限や予算はさまざまで、創作の過程で変わってくることも多いという。中程度の難しさのイメージを1つ準備するのにかかる時間は平均で1ヶ月、予算は100〜200ドル(およそ11,000〜22,000円)なのだそうだ。
「それほど複雑でないイメージでも、特殊なロケーションで撮影をする場合には、手の込んだ衣装を作るよりも予算がかさむこともあります。たとえば新幹線の中で撮影をしたときには、1人あたりの切符代が11,000円くらいかかったので、出費はけっこうな額になりました。
ゲーム「オーバーウォッチ」のマーシーを中国風の衣装で撮影したときには、埼玉県のお寺を借り切りました。衣装を着て、小道具を持っていると、写真撮影させてもらえないばかりか、敷地内にすら入れてもらえないということがあります。でも、そのお寺の住職はとても急進的な考え方を持っている方で、性的なシーンや暴力のシーンがないことを条件に、お寺を撮影のために貸し出してくれたのです。」
ときに困難に直面することもあるとはいえ、マリヤさんはコスプレが大好きで、それをやめるつもりはないという。ファンたちも彼女を全力で支持している。インスタグラムのブログにはすでに2万人を超えるフォロワーがいる。
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