19:19 2021年09月20日
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国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は地球温暖化に関する報告書を7年ぶりに発表した。報告書には、人類が今すぐ、自らの活動を見直さなければ、地球にどのような影響が及ぼされるかについて記されている。学者らの結論は、今、人類が歴史的に干ばつや森林火災、洪水などに直面している現状を背景に、非常に恐ろしいものである。なぜ、固形燃料の利用をやめ、地球を救うために残された時間が少なくなりつつあるのか、「スプートニク」が取材した。

恐ろしい変化

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPSS)が地球の気候変動に関する報告書を発表したが、専門家らが導き出した結論はかなり悲観的なものである。3500ページに及ぶ報告書は、世界中の研究者らによる7年の気候変動の研究の総まとめとなった。

報告書では、地球温暖化の原因が人類の活動であることは疑いようがなく、その結果は不可逆的で、地球に住むすべての市民が危険にさらされているいうことを証明するデータが集められた。また異常気象や自然災害の頻度や強度は、今後数十年の間にさらに増すと指摘されている。

これまでの評価と異なり、今回、研究者グループは、気候変動は「明らかに」危機的状況となっているとの確信を示し、「広範囲にわたる急速な変化」がすでに起こっており、そのいくつかは不可逆的なものだとした。

地球の平均気温は過去2000年で経験したことのない速度で上昇しており、過去5年の平均気温は1850年から始まった気象観測史上もっとも高温となった。

気温の上昇により、氷河が融解し、世界の海洋の海面が上昇し、平均湿度、そして気温も上昇し、インド(現在の人口がすでに15億人を超えている)や中東諸国などでは生活が不可能なほどとなっている。

いくつかの国は消滅の危機に瀕している。海面が上昇することにより、数十の小さな島国が水没する危険がある。とりわけ危険な状態にあるのが、太平洋に浮かぶ海抜の低い3つの島から成るキリバス共和国である。IPSSのデータによれば、海面があと0.9メートル上昇すれば、国土の3分の2が、2030年までに水没するという。

気候変動に起因するものとして、大規模な火災が発生しており、2021年の夏には、ロシアやトルコから米国、ブラジルまで、世界中で数百万ヘクタールの森林が焼失した。報告書によれば、10年に数回ほどの頻度で起こっていた世界的な干ばつの発生は、現在、70%増加している。気候変動の影響は特に、米国西部で顕著に表れており、歴史的な長年にわたる干ばつで貯水量が激減し、水不足を引き起こした。

長引く干ばつと記録的な暑さにより、森林火災も、より長期的で、より破壊力の強いものになっている。カリフォルニア州森林保護防火局によれば、同州で記録された大規模火災10件のうちの6件は2020年または2021年に発生している。

国連環境計画(UNEP)のインガー・アンダーセン事務局長は、報告書の発表に際して開いた記者会見で次のように述べている。

「安全だと言える人は誰もいない。事態は速いスピードで悪化している。我々は、気候変動を、直接的な脅威として捉える必要がある。また、気候変動に関連する自然の危機―生物多様性の喪失、環境汚染、廃棄物に対しても同様である。これらはすべて深刻な脅威である。各国政府は温室効果ガス排出ゼロに向けた計画を、国の不可分の義務の一部とする必要がある。また各国政府は、パリ協定で義務付けられたように、開発途上国が気候変動に適応するための資金供与を行うべきである」。

今こそ行動すべきとき

IPSSが発表した報告書のデータは、ロシアでも、洪水、干ばつ、火災の頻発が、気候の危機が増していることと関係していることを証明している。

報告書は二酸化炭素の排出と加速する気候変動、そしてすでに多くの地域や国に深刻な脅威となっている異常気象が直接関係していることを裏付けるものとなった。

グリーンピース・ロシア支部で気候問題を調整するポリーナ・カルキナ氏は、「スプートニク」の取材に対し、次のように述べている。

「研究者らはすでにかなり前から、気候変動による危機的状況によって、異常気象の発生頻度が高まり、その期間も長期化し、威力も増すと警告しています。今回の報告書はこの認識をより強固なものにしています。まさにいま現在も、ロシア、ギリシャ、トルコで火災が起こっています。これは2021年になって記録されている異常気象のほんの一部にすぎません。ただこのような事態の認識がもはや学術界だけのものでなくなったことは喜ばしいことです。先週、ロシア大統領も気候変動とロシアの大規模火災や洪水とを関連付ける発言を行いました。今こそ、早急に行動し、経済のすべての部門で二酸化炭素の排出量を削減する必要があります」。

世界のほぼすべての国が気候による脅威を認め、これに対処するため、パリ協定に署名した。200カ国以上が2050年までにカーボン・ニュートラルを達成する義務を負っている。

二酸化炭素排出量がもっとも多い国々の中で、米国、中国についで3位の欧州連合だけが、2030年までに排出量を1990年比で55%削減するという法的拘束力のある目標を掲げている。設定した目標を達成するために、欧州連合は炭素税を導入し、ガソリン車の販売を禁止し、自動車製造企業や海洋輸送会社に対して二酸化炭素税を導入し、森林を回復することなどを計画している。

一方で、温室効果ガスの排出量が世界全体の半分を占める米国と中国の積極的な行動なくして、世界の他の国々の努力は十分なものとはならない。

IPSSの報告書は、11月に予定されている第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の開催を数ヶ月後に控えた時期に発表された。COP 26では世界各国の首脳らによって、温室効果ガスの排出量削減に関する取り決めが強化されるものと期待されている。

IPSSの報告書では、世界の首脳らは、気候をめぐる状況がさらに悪化する前に、温室効果ガスの排出量削減に向けた行動を今、始めるべきだと明確に記されている。そして、報告書のもっとも重要な点は、最悪の事態はまだ回避できるということである。

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気候変動, 自然
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