06:26 2021年09月23日
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新型コロナウイルスの感染拡大が始まる前は、日本の文化をよりよく知り、日本語を学び、自分の居場所を探すために、数千人の外国人が日本の語学学校や大学にやってきた。しかしその中で、永遠に日本に滞在できる人はほとんどいない。この外国人女性がいかにして東京でもっとも高い場所にあるステージで歌うアーティストになり、またヴィザを取得するために自分が気に入っている髪の色を染めなければならなかったのか、「スプートニク」が取材した。

あの赤毛の女の子

オリガはロシアの小さな街、チタで生まれ、2014年10月、大学卒業後すぐに日本にやってきた。多くの外国人とは異なり、なかなか自分の殻から外に出ることができなかったオリガは、語学学校に入学してようやく日本の現実に身を置くこととなった。「きちんとした仕事に就く前は、わたしの髪は黒でも茶色でも栗色でもありませんでした。7年くらいは赤い髪だったんです。自分に一番似合うと思える唯一の色で、しかも、この髪の色のおかげで、日本人はわたしのことを一度会うとすぐに、『あの赤毛のオリガ』と覚えてくれました。しかし良いことはすべていつかは終わるものです。あるとき、友人が自分がバイトしているラーメン屋で働かないかと声をかけてくれたのです。スタッフが足りなくて、日本語もそんなに必要ないからと。それでわたしは黒いスーツを着て、履歴書を握りしめて、面接に行きました。ラーメン屋の仕事とはいえ、真剣そのものだったのです。お店は小さくて、騒がしくて、客はお酒を飲んでいました。わたしはさらに小さな事務所に通されました。オーナーは大喜びで、すっかりわたしを雇う気でいたようですが、突然、その髪は地毛かと訊きました。わたしは嘘をつく必要などないと思い、染めていると本当のことを言いました。すると、オーナーは、髪を黒く染めてほしいと言うのです。わたしは断りました。それで最初の仕事を失うことになりました。あとで聞くと、わたしを誘ってくれた友人もバイトのために茶色の髪を黒く染めたということでした。面接にまでたどり着けなかったこともありました。部屋に入る前に、髪を黒く染められますかと訊かれたのです。わたしは、黒はわたしの地毛の色ではありませんと答えました」。

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Публикация от Aury🎙| Singer・Creator | Japan (@mira_nebula)

オリガはずっと日本に滞在するつもりはなかったと打ち明ける。しかし、気がつけば、日本に住んでもう7年になるという。


アーティストも会社員 

語学学校を卒業したあと、オリガは東京の音楽大学に入学、その3年後、就職した。「卒業するときに、東京タワーから、アテンダント・パフォーマーの求人があるという連絡がきました。勤務時間のほとんどはアテンダントとして働くのですが、1ヶ月に数回、展望台のステージで歌をうたうという内容でした。ヴィザサポートをしてくれるという条件でしたし、東京タワー勤務というのはカッコいいなと思い、オーディションに行くことにしました。それで、音楽ダンスユニットのメンバーになったのです。業務の中で一番難しいのが、『アテンダント』と呼ばれる部分の仕事です。これはエレベーターガールのようなものです。地上数百メートル上にある展望台とそこに行くまでの道でのお客様の安全を守るのです。サービス業というのは、概して簡単なものではありません。それに規定されているヒールの靴を一日中履いているのでとても疲れます」。

外見を言われた通りに変えなければならない苦労やサービス業のつらさはあるものの、ステージでの仕事はこれらを完全に埋め合わせてくれるのだそうだ。

「アーティストに対しては特に大きな要求はありません。他の音楽事務所やプロデュースセンターに関わらないということだけです。ただし、日本企業の前線で働く会社員同様、髪を栗色より明るくしたり、職場で香水をつけたり、ピアスをつけたり(決まった形のものだけは許可されている)、爪を伸ばしたり、派手なネイルをするのは禁じられています。規則はたくさんありますが、コンサートではステージ衣装を着るので、衣装としてのピアスをつけ、楽しく公演しています」。

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Публикация от Glow of Tokyo (@glowoftokyo_official)

オリガが参加している音楽バンド「Glow of Tokyo」は性別も国籍も異なるアーティストから成っている。歌は英語と日本語の両方の言語で歌う。「出演し始めたばかりの頃は、日本人4人に対して外国人が5人という割合でした。しかしそのあと、メンバーが少し入れ替わり、いまは半分ずつです。ヨーロッパ出身はわたしだけで、わたし以外の外国人メンバーは韓国、マレーシア、香港出身です」。

さまざまな困難はあるものの、オリガは、ロシアの地方の町でギターを手に歌っていたときと同じように、いまの自分の生活に満足しているという。オリガはいまも歌い続けている。ただし、いま彼女の目に映るのは、ロシアの田舎の中庭ではなく、東京という大都会の夜の灯りである。

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