「1年ほど前、鳩山氏はテヘラン訪問を予定していた。ところがそこへ、行くなという電話がかかってきた。しかも電話してきたのは駐日米大使ではなく、なんと公使参事官だったというのだ。これには鳩山氏も憤慨し、何の権利があって、外交官が独立国の著名な政治活動家にこれをしろ、あれはするなという権利があるのかと言った。そして鳩山氏はテヘラン訪問を行った。なぜなら、これを行なわなかった場合、政治活動家としての面子を失いかねないからだ。
そして今度は日本政府が鳩山氏にクリミアには行くなという。日本政府はだいたいにおいて、ウクライナに関するロシア批判に迎合したり、またロシアがあたかも反体制派に圧力を講じているかのような非難に歩調をあわせるなど、そのやっていることは全く理性を欠いている。
ロシアの反体制者らは世界中どこへでも出かけて行くし、それを誰かがあそこへいけ、あっちはだめだとは言わない。このため、鳩山氏への態度についてはロシアとしてはかなり深刻な人権侵害だと受け止めている。しかも鳩山氏は非常に著名な政治活動家ではないか。
確かに日本はクリミアのロシア編入を認めていない。これを認めないのも日本の権利だ。だが、だからといって、日本人は個人として、または別の理由でそこへ行ってはならないというわけではない。これはもう、はっきり、米国に気に入られるように行動しているとしか思えない。日本は一貫性のない行動をしていることになる。一方ではロシアとの関係構築を望むという、片方ではロシアとのコンタクトが再開されず、複雑化するためにあらゆることをやっていることになる。」
— 日本は、クリミアのロシア編入を認めないのは、これによって中国に尖閣編入の口実を与えることを危惧してだというが、この危惧感は正当化できるだろうか?
「クリミアを尖閣諸島(釣魚諸島)などのような他の領土問題と比較することがどうしてできようか? クリミアには200万人が住んでおり、その圧倒的大多数が昨年春、自発的にロシアへの編入に賛成票を投じたのだ。
これに対して尖閣諸島は絶壁であり、誰もそこには住んでいない。いったい誰に日本になりたいか、それとも中国かと尋ねる事が出来るのか? 鳥にでも聞けというのか?
日本がこうした似通わない問題を混同するとき、日本は自ら領土問題の解決を複雑にしているのだ。今、日本人は自分の抱える古い論拠のほかに、さらに新しい論拠も白熱化させようとしている。『北方領土』をクリミアと結びつけることもそうであり、5月の戦勝記念日に安倍首相がモスクワへ行けば、南クリルをソ連に渡すことを決めたヤルタ会談の結果を認めたと受け取られかねないとしてこれに反対していることもそうだ。
これはあまりにも馬鹿げた話だ。なぜなら小泉首相も2005年のモスクワの戦勝記念式典に列席したが、そのときは誰も、この訪問で日本の首相が南クリルが公平にソ連の支配に渡ったことを認めることになったとは言わなかったではないか。こうした行為からは、日本は領土問題の解決を単に望んでいないことがはっきりとうかがえる。」