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    米国人ジャーナリスト、チャーリー・ローズ氏 とプーチン大統領

    プーチン大統領 ロシアは国内外の変化に柔軟に対応できる国にならなけれなばならない

    © Sputnik / Михаил Климентьев
    政治
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    第70回国連総会 (29)
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    第70回国連総会への出席を前に、ロシアのプーチン大統領が、米国人ジャーナリスト、チャーリー・ローズ氏のインタビューに応じた。インタビューはCBSおよびPBSテレビのためのもの。今回は、インタビューの第3部をご紹介する。

    ローズ氏(以下R):あなたは、ウクライナに対して何をする用意があるか?

    プーチン大統領:それではお話ししよう。あなたの質問がそこにあるならば、私は、ロシアならびに、ウクライナ危機の解決により積極的に参加している国際社会の他の参加者たち、それはドイツ連邦共和国やフランス、「ノルマンディー4者」と呼ばれる国々、そしてもちろん、米国の積極的な参加のものと、今、私たちの間ではこの方向性で対話の集約化がなされ、私たちは全員、ミンスクで達成された合意の完全かつ無条件での履行を目指すべきだと考えている。ミンスク合意を履行する必要がある。

    R:昨日、ジョン・ケリー米国務長官が、この件について英外相との会談後に述べた。国務長官は、シリアの後でウクライナについて言及し、ミンスク合意を完全に履行する必要性を強調した。すなわち、あなたとジョン・ケリー氏は、ミンスク合意を履行する必要があるということで合意しているのか?

    プーチン大統領:その通りだ。それでは今度は、あなたに私の話を聞いてもらいたい。私の話を2分間遮らないでほしい。しかし、私はあなたにお願いしたい。私が話すことを省略せずに伝えて欲しい。それができますか?あなたには、省略せずに伝えるための権限がありますか?

    R:はい。

    プーチン大統領:ミンスク合意の履行とは何を意味するのか?ミンスク合意にはいくつかの項目がある。私は主な項目について語る。重要なのは、ウクライナの状況が劇的に変化するために、政治改革を実施する必要があるということだ。一つ目は、ミンスク合意に記載されているように、憲法改正の必要がある。そして最も重要なのは、ミンスク合意には、ドネツクおよびルガンスクとの合意に従って、これが実行されなければならない、と記載されていることだ。これは根本的なことだ。ウクライナでは今、憲法改正が行われている。第一読会が終わった。しかしドネツクおよびルガンスクとは一切合意がなかった。今も合意はない。そして誰も彼らと合意しようとさえしない。これが一つ目の項目だ。

    二つ目の項目は、ミンスク合意に直接記載されているが、法律を実施する必要性だ。ウクライナではすでに、これらの地域における地方自治に関する特殊性についての法律が採択されている。法律は採択されたが、施行は延期されている。ミンスク合意は遂行されていない。

    そして3つ目は、恩赦に関する法律を採択する必要があったということだ。もしドンバスやルガンスクの人々が全員、刑事告訴されており、彼ら全員に対して刑事事件が立件されていたならば、彼らとどうやって対話できるというのか?そのため、ミンスク合意には、恩赦に関する法律の採択が記載されている。しかし、この法律は採択されていない。

    またさらにたくさんの項目がある。例えば、地方選挙の実施が記載されている。ドネツクとルガンスクとの合意に従って地方選挙に関する法律を採択するというものだ。ウクライナでは、地方選挙に関する法律が採択された。ドネツクとルガンスクの代表者たちは、この法律に関する自分たちの案を3度にわたって送った。しかし、誰も彼らと話をしようとさえしなかった。だがミンスク合意には、ドネツクおよびルガンスクとの合意に従って、と記されている。そのため私は、ケリー氏を尊敬し、好感さえも抱いている。彼は非常に経験豊かな外交官であり、ケリー氏は私に、かつて「スターウォーズ」に反対したと語った。これは正しい行動だった。もしケリー氏がMD(ミサイル防衛)についても決断を下したならば、いまミサイル防衛に関する我々の対立はなかったかもしれない。しかし、これに関しては、ケリー氏は明らかにごまかしている。もしキエフの現政権が、我々はそれを行った、我々はこれを行った、私たちはミンスク合意を遂行した、と言うならば、それは事実と一致していない。なぜなら、これらは全て、ドネツクならびにルガンスクとの合意に従って行われなければならないからだ。しかし、いかなる合意もない。

    なお、すでに採択された、これらの地域における地方自治に関する特殊性についての法律の実施に関してだが、ミンスク合意にはそもそも30日以内と記されている。しかし何も実行されておらず、この法律の施行は再び延期された。

    そのため我々は、紛争当事者双方に、ミンスク合意を完全かつ無条件に履行することを求めている。当事者の一方の側にとって関心のあるようにではなく、ミンスク合意に記載されているようにだ。

    R:私はあなたに4分差し上げた。私はあなたの話を遮ることはなかった。そうですよね?

    プーチン大統領:私はあなたが最後の力を振りしぼって耐えていたのを知っている。私はあなたにとても感謝している。

    R:はい。私はあなたの話がとても気に入りました。

    プーチン大統領:実のところ、私が話しているのは真実だ。

    R:米国人は、かつて見たことのないあなたの姿を目にするでしょう。今日、あなたは私たちととてもたくさん話をし、交流している。これは実際、とてもいいことだ。

    プーチン大統領:ありがとう。実のところ、私が今話したのは、完全なる真実だ。お分かりいただけるだろうか?キエフ政権が全てを一方的に行うのであれば、この合意に関する問題を解決することはできない。ミンスク合意には、ドンバスとの合意に従ってと記載されている。これは根本的なことだ。

    R:あなたは本当にそのように考えているのか?

    プーチン大統領:ここでは考えるものは何もない。紙に書かれている。読むだけだ。ドネツクおよびルガンスクとの合意に従って、と書かれている。文書を読んでみてくれ。私があなたに話しているのは、合意されていない、ということだけだ。特別な地位に関する法律は30日以内に施行されると書かれている。しかしこの法律は施行されていない。ミンスク合意を履行していないのはいったい誰なのか?

    R:あなたは、国務長官について言及した。国務長官は、重要なのはミンスク合意の履行だけでなく、独立した選挙の実施に関する分離主義者たちの案も拒否する必要があると考えている。ケリー氏は昨日、このように述べた。

    プーチン大統領:私は、我々の米国の友人たちの立場を知っている。そこで、これについて話したい。私はたった今、これについて触れたばかりだが、繰り返す必要があると考える。地方選挙についてだが、ミンスク合意には、ドネツクとルガンスクの合意に従って地方選挙に関する法律を採択する、と記載されている。だが実際には何が起こったのか?キエフ政権は、ドネツクとルガンスクが3度にわたって自分たちの案を送ったにもかかわらず、ドネツクともルガンスクとも合意せずに、独自に法律を採択した。いかなる対話もなく、彼らと協議をせずに、自分たちで採択した。加えて、キエフが採択した法律には、これらの地域では選挙は一切行われないと記載されている。どうやったら、これを理解できるというのか?本質的にキエフは、ドネツクとルガンスクの代表者たちを、彼らが独自の選挙を決定するように自ら仕向けたようなものだ。この通りだ。

    すなわち、我々はケリー氏とこれら全ての事について話し合う用意がある。ただその時に必要なのは、紛争当事者双方に、彼らが署名したことを遂行する意欲を起こさせることだ。

    R:私は、あなたが言いたいことを理解している。ただ繰り返したかっただけだ。なぜならケリー国務長官は、選挙に関するポイントを強調したからだ。私は、あなたのことをちゃんと理解している。

    プーチン大統領:ケリー国務長官はこの件については外交官として狡猾にふるまっている。だがこれは普通のことだ。これは彼の仕事に関係している。全ての外交官は狡猾であり、彼も同じだ。

    R:次の質問に移ろう。バルト諸国と、バルト諸国に対するあなたの立場について。

    プーチン大統領:バルト諸国とは友好的、協力的な関係を築きたいと願っている。バルト諸国にはソ連時代の後でもロシア人が大勢いる。彼らの権利は迫害されている。バルト諸国の多くで、いま、国際法的に新しいものが生まれているのをご存知か。

    これまで国籍といえば、国際法にどのようなものが規定されていたか。国民、外国人、無国籍者、二重国籍者といったものだ。バルト諸国では新しいものが発明された。それをご存知か。非国民というものだ。何十年もバルト諸国に住みついていたのに、政治的な権利を根こそぎ奪われてしまった人たちが、そのように呼ばれている。彼らは選挙にも参加できない。政治的・社会的権利を制限されてしまっている。それを誰もが黙認している。そうすることが必要だとでも言うように。

    もちろん、こうしたことに対して、相応のリアクションは起こっている。しかし、米国やEUといえども、やはり現代国際法の諸原則を奉じており、全ての人に政治的権利を保障すべきだとの立場であると信じている。もちろんその「すべての人」には、ソ連崩壊後もバルト諸国に留まり続けた人々も含まれる。なお、経済関係については、バルト諸国とロシアは安定した、非常に発達した関係を持っている。

    ただ、やはり私は、ある種のことがらについては、控えめに言って、穏やかではいられないのだ。

    R:穏やかではいられない?

    プーチン大統領:穏やかではいられない。悩ましい。誰もが言う。主張をすり合わせねばならないと。また、経済でも政治でも、統合が必要なのだと。

    バルト諸国とロシアは、ソ連崩壊後も、共通のエネルギーシステムを抱えている。何しろソ連時代にエネルギーシステムを共有していたのだから。それが今、どうなっているか。

    誰もがロシアやEUについて、歩み寄りすべきだということを主張している。しかし現実には何が起きているか。

    いまや旧ソ連の共通のエネルギーシステムからバルト諸国が切り離され、欧州のシステムに新たに組み込まれようとしているのだ。実際問題、このことがロシアにどう影響するか。実に、ロシアの一部地域に電気がこなくなってしまうのだ。これまでバルト諸国を通る環状送電線で電気が回っていた。いまや我々は、何十億ドルも費やして、一からシステムを作り直さねばならない。一方で欧州は、バルト諸国を自らの電力網に組み込むために、また数十億ドルを費やさねばならない。何のために?

    協力や統合というのが言葉だけでなく実行をともなったものならば、こんなことは起こらないはずだ。しかし実に様々な分野でこうしたことが起こっている。口で言うことと手ですることとが一致していないのだ。

    しかし、やがてはこうした問題も全て過去のものとなり、ついには健全な理性というものが勝ちを制すると信じている。この問題に限った話でなく、一般的な話として、だ。誰しも皆、偏見なき、オープンな発展を望んでいる。もしかしたらロシア自身より、バルト諸国のほうが、それを望んでいるかもしれない。

    バルト諸国のひとつに、リトアニアという国がある。ソビエト時代、リトアニアの人口がどれだけだったかご存知か。340万だ。ほんの小さな国だ。ところが、最新の統計を見ると、いまや人口は140万人だ。人々はどこに行ってしまったのか?半数もの国民が国を後にしてしまった。考えてもみてほしい、米国人の半数が米国から出て行ったらどうなるか?破滅だ。

    何が言いたいかというと、主に経済についての話だが、一度関係が失われてしまうと、我々皆に悪影響が出る。ロシアにもまた悪影響が及ぶ。だから、我々は、過去の悪感情に流されることなく、未来に目を向けかえ、国際法に則って、善隣関係、対等な関係を打ち立てるべきなのだ。そう深く確信している。

    R:もちろん、制裁は解除する必要がある。

    プーチン大統領:もし制裁を助けにして仕事をしたい人がいるなら、どうぞと私は言う。しかし、そんなものは一時的なものだ。第一に、国際法に矛盾しているし、第二に、制裁を用いた政策が効果を上げた例などあるだろうか? そんな例はどこにもない。ロシアのような国に対しては、おそらく効果はないだろう。

    R:制裁と原油価格下落を背景に、あなたの友人達でさえ、ロシア経済を心配している。これはあなたに対する、重大な挑戦なのだろうか? それともこれは、不安を呼び起こすグローバルな経済的現実なのだろうか?

    プーチン大統領:ご存じのように、すでに申し上げた事だが、制裁というのは、国際経済の諸原則や世界貿易機関(WTO)及び国連の諸原則を破壊する不法な行為である。制裁は、国連安全保障理事会の決定に基づいて初めて導入する事ができる。一方的な導入は、国際法違反である。問題の法律的面には今は触れないが、もちろん害をもたらしている。しかし制裁が、ロシア経済の成長テンポが下がったり、あるいはインフレに関連した他の諸問題が発生した主要な原因ではない。

    我々にとって主要な原因は、もちろん、世界市場における、ロシアの伝統的輸出品である、石油やガスを初めとした商品の価格の下落である。これが主な理由であって、制裁は、そこに否定的部分をさらに追加し、あれやこれやの影響を及ぼしているに過ぎない。我々の経済に、根本的かつ原則的な意味を持つものでは、恐らくないだろう。

    R:ロシアは、制裁を克服できるだろうか?

    プーチン大統領:その事自体には、疑いはない。そもそも、論争の余地のない事だ。ここには、一定のプラス面さえ存在している。それがどんなものかというと、多くのもの、特にハイテク分野に関するものなどを、かつて我々は、オイルマネーを使って手に入れていたのだが、今では、制裁が導入された事によって、我々はもう買えなくなってしまうか、あるいは何かの供給が断ち切られるのではないかと心配している。そこで我々は、国産のハイテクノロジー経済や産業、製造業や科学領域の一まとまりとなった発展プログラムを展開せざるを得なくなった。

    これは実際上、我々がしなければならなかったが、するのが難しかった事だった。なぜならロシアの国内市場は、輸入品で溢れかえっていたし、又WTOの枠内では、自国の生産者を支援するのは大変困難だったからだ。しかし、制裁が導入され、我々のパートナーが自主的にロシア市場を去って行ったため、我々に発展のチャンスが与えられている。

    R:あと二つばかり、質問させてほしい。あなたは大統領となり、その後首相を務め、ふたたび大統領となられた。あなたはどのくらい長く、権力の座にいたいと望んでおられるのか? あなたは、自分の後に何を残したいと望んでおられるのか? まずこの問いに、お答え頂きたい。

    プーチン大統領:どれくらい長く大統領を務めるのか、それは2つの状況次第だ。一つは、言うまでもなく憲法で規定されたルールがある。それらを私の側から犯す事はないだろう。しかし私は、こうした憲法中のルールを完全に用いなければならないとは思っていない。国内や世界の具体的状況、私の個人的な気持ちにも左右されるだろう。

    R:あなたは、自分の後にロシアに何を残したいのか?

    プーチン大統領:ロシアは、安定した経済と発展した社会政治システムを持った、効率性が高く競争力のある、そして国内・国外の変化に柔軟に対応できる国とならなくてはならない。

    R:ロシアは、世界で主要な役割を演じるべきなのか?

    プーチン大統領:ロシアは、私が今言ったように競争力のある国にならなくてはならない。そして国益を守り、自分達にとって意義のあるプロセスに影響を与える事が出来なければならない。

    R:多くの人達は、あなたは、全能の人だ、欲しいものはすべて手に入れる事ができると言っている。では、あなたの欲しいものは一体何なのか? 米国と世界に向かって、それを教えてほしい。

    プーチン大統領:私の望みは、ロシアが、今私が述べたような国になる事だ。それが私の、最大の望みである。ロシアに住む人々が幸福で、世界中の我々のパートナーがロシアとの関係発展を望み目指すようにしたいと願っている。

    R:ありがとうございました。お会いできて光栄でした。

    プーチン大統領:こちらこそありがとう。

     

     

     

     

     

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    第70回国連総会, ウラジーミル・プーチン
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