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    米国、中国をTPPへと招く

    米国、中国をTPPへと招く

    © AFP 2017/ Saul Loeb
    政治
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    米国は中国、ロシア他の数カ国をTPPに加わるよう招いた。ケリー米国務長官は11月2日、中央アジア歴訪でこうした声明を表した。TPPへの招待は10月5日、アトランタでの12カ国のTPP合意の締結に続いて表されている。12カ国の内訳はカナダ、米国、メキシコ、ペルー、チリ、ニュージーランド、豪州、ブルネイ、シンガポール、マレーシア、ベトナム、日本。

    米国政権はTPP合意が中国の伸張する貿易力に対抗し、アジア太平洋地域におけるその影響力を制限するためのものであることを決して隠したことはなかった。この戦略的テーゼを米国が取り下げることが決してないのは明らかだ。ところが今回ケリー長官がこうした声明を表したということは、すなわち中国にはその経済的影響力を弱めるメカニズムに加わらないかと提案されていることということであり、狡猾以外の何者でもない。

    オバマ大統領はTPP合意を締結するやいなや、翌日には直ちに「我々は中国のような諸国に対し、グローバル経済の規則を書かせることは許さない。その規則を書かねばならないのは我々であり、アトランタでの合意はそれを保障する」という声明を表している。ということは、米国が中国を招いたというのは中国は米国のルールでプレーをするだろうという見通しをもっていることになる。ずいぶんナイーブな提案というしかない。

    米国はTPPに合意した1国であるにもかかわらず、5年にわたるTPP創設の交渉プロセス全体を事実上、自分の下で「屈服させた。」交渉は加盟の可能性のある国と米国との二国間コンタクトで行なわれ、たとえば日本とベトナムとの交渉、豪州とニュージーランドとの交渉は、米国と個人的な合意を取り付けていなかったからとして、原則的な意義はもてなかった。こうした「メカニズム」は米国が中国をTPP加盟交渉の第1段階へと引き出すことに功を奏した。

    ケリー長官の声明は米国のこうした交渉の実践を普及させ、中国をTPPに加えるプロセスと受け止めることができる。とはいえ、これは中国がこの決定を受け入れるのであれば、の話だ。

    1月前、アトランタでのTPP合意達成に対し、中国はかなり抑制した態度で、形式的な反応を示した。中国商務省からは、WTOのルールに従い、アジア太平洋地域の経済統合を促進するメカニズムに対し、中国は開いた姿勢をとっているという声明が表された。中国商務省は、TPP合意が自由貿易圏についての他の合意とともに、貿易拡大に貢献するよう期待を表している。

    専門家らの間では、米国がTPPについて定めた規則がWTOの基準にすべてかならずしも合致するわけではないだろうことも除外されていない。現代発展研究所の職員、ニキータ・マスレンニコフ氏はこれについて次のような見解を表している。

    「アジア太平洋地域向けのこの規則がWTOの規則と異なりかねない非常にはっきりしたリスクが持ち上がっている。これはWTOにとって、その加盟国全体にとって深刻な挑戦を投げかけている。なぜならば厳密にいえば、TPPを除く世界は、WTOのルールに従って暮らし、TPP加盟国は自分らのルールを守るということになるからだ。これは大きな混乱を招きかねず、WTO内でもある程度の改革が必要となり、ひょっとすると貿易の障壁引き下げを話し合ったドーハ・ラウンドのプロセスを再度繰り替えさねばならなくなってしまう。」

    中国国際問題研究院の汪巍(ヴェン・ヴェイ)副研究員はTPP加盟が中国にとってどれだけの利益をもたらすかについて、次のように語っている。

    「中国がTPPに加盟しても利益はない。米国は市場の段階的開放を望んでいるが、アジア大陸、中国、ロシアの市場はものすごく巨大だ。米国は中国が加盟し、その関税を撤廃し、米国の商品がアジア市場において急激に競争力を増すよう望んでいるが、これは中国には得ではない。

    アジア太平洋地域では今、様々な自由貿易圏が創設されている。このためTPPでも、中国-日本-韓国自由貿易圏でも中国-豪州自由貿易圏でもインドとの協力でもどれでも選ぶことができる。

    小さな枠組みで自由貿易圏を作るのは簡単だが、大きな枠組みではこれは容易ではない。現段階ではTPP加盟国の大半が合意を批准してはいない。

    これはかなり長期的なプロセスであり、ゼロ関税に突き当たる可能性もある。中国にとってはそれは得ではないが、だからこそ米国が中国をTPP加盟せよと招いているのだ。」

    米国が中国をTPPに誘う裏には5年以上にわたる企みがあり、米国はこのメカニズムを作っている間、何とかして中国をこれから孤立させようとしてきた。米国は中国が世界1の経済大国になる可能性を現実的に評価し、どうやらライバル競争で新たなゲームをもくろんでいたようだ。

     

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