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    ISはどこから資金を得ているのか?

    ISはどこから資金を得ているのか?

    © AFP 2017/ Tauseef MUSTAFA
    政治
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    「イスラム国(IS)」はいま、シリア、イラク、中東だけでなく、世界全体にとって、最大の脅威になっている。シリアとイラクに強大な砦を築いたISは、大カリフ国家の建設を計画している。そのために彼らは、レバノン、ヨルダン、北アフリカを屈服させることを企んでいる。IS戦士らはエジプトやイスラエル、アフガニスタン、パキスタン、イラン、コーカサス地方にも触手を伸ばし、これら諸国に首長国を建設しようとしている。ISの幹部らは莫大な資金を蓄えている。

    それら資金はどこからくるのか?政治学者・東洋学者のウラジーミル・サジン氏が語った。

    「ISを自称するこのテロ組織の危険性は、人類憎悪のイデオロギーやテロの実行にのみあるのではなく、この組織が、経済・財政活動を含め、国家としての諸特徴を十全に備えている点にある」
    サジン氏によれば、今年半ばの時点でISは2兆ドルを超える資本を抱えており、今年の年間歳入は29億ドルに上っている。今年のはじめの時点でIS幹部は見込み利益(つまり歳入の歳出に対する超過分)を2億5000万ドルとする、20億ドルの予算を計上した。

    このような膨大な資金がどこからこの疑似国家に流れ込むのか?ISを形成したイスラム系テロ組織は、当初から極めて多額の資金を運用していた。しかし、IS幹部らの出発資本は、基本的に、銀行、石油・ガス施設、リン酸塩生産・加工企業、セメント製造企業、硫酸およびリン酸製造企業を掌握することによって構成された。しかも、殺人や文化遺産の破壊をともなう、ISの代名詞ともいえる派手なパフォーマンスとは異なり、天然資源の採掘や輸送手段に関わる全ては、破壊をともなうことなく掌握された。経済インフラの稼動状態も、人員数も保存された。

    サジン氏によれば、ISのほかの収入源に、穀物の販売がある。国連の推計では、ISが掌握しているイラクのニネヴィヤおよびサラーアルディンの両州には、イラクで最も肥沃な耕作地が広がっている。そこでは小麦の全国生産量の30%が生産され、その量はおよそ100万トンにのぼり、また大麦も全国生産量の40%が生産されているという。ISはこれら地域にある110万トンの総収納規模をほこる国営小麦保管庫も掌握している。シリアでも同じように国営穀物保管庫を掌握しているという。

    掌握した石油、ガス、穀物企業の産品の密売によっても、ISは年間数百億ドルの利益を挙げている。販売が廉価で、通例、正規品の半額で行なわれるにも関わらず、である。

    先ほど、ISは国家の諸特徴を備えている、と言ったが、そのひとつとして税制を挙げなければならない。徴税対象の個人・法人リストは膨大である。すなわち、販売可能な商品への税。通信会社全般への課税。金融機関のセキュリティに対する税。銀行口座からの預金引き出しへの税。社会保障その他の社会的目的で賃金から徴収される税。考古学的記念物の盗掘への税(税率はアレッポで20%、ラッカで50%)、その他あまたの税項目がある。ほかにも、交通税、イラクとヨルダン・シリア国境上の検問を通過するトラック一台ごとに課す関税、非ムスリム共同体(「ジジヤ」の名で知られる)の保護に対する税など、枚挙に暇がない。
    ISは強請りと徴税によって、イラクとシリアの掌握地から、年間3億6000万ドルの利益を挙げている。

    他の国際犯罪組織との共同犯罪活動によってもISは莫大な資金を得ている。シリアの町カラムンにある様々な文化財(中には8000年の歴史を誇るものもある)だけに限っても、データによって数字は異なるが、芸術品の闇市場における一度の取引で、ISは2万から5万ドルを得ているとされる。恒常的な財源として人身拉致も数えられる。これまでにビジネスマン、地方政治家、聖職者、外国人らが拉致された。現在特に被害が集中しているのが、キリスト教徒の子どもその他、中東のキリスト教団体に属する人たちである。身代金でISは毎月およそ1000万ドルを得ているといわれる。

    全世界にばら撒かれたイスラム系「慈善」団体や各種シンパ組織もISに資金を供与している。また、ISに共鳴するアラブ人大富豪のなかにも密かにISに資金を供与する者がいるという。

    通例、こうした「慈善」団体や大富豪らは、古くから存在し、非常に秘密性の高い、「ハワラ」と呼ばれる送金システムを利用している。

    世界文明を脅かすISという脅威に立ち向かうには、その財政構造を破壊しなければならない。密売を防止し、資金の流入するあらゆる経路を封鎖しなければならない。そのためには地域のみならず全世界の特務機関・治安機関が協議し、協力しなければならない、とサジン氏は語る。

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    シリア, イラク
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