ロシア人専門家 中国は国外での国益擁護の用意あり

© REUTERS / Damir Sagolj中国は国外での国益擁護の用意あり
中国は国外での国益擁護の用意あり - Sputnik 日本
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今年2015年、私達は、中国が他の大国の例に従って、自国の軍隊を国外での国益擁護の手段に変えてゆく、そのゆっくりとした更なる前進ぶりを目にしてきた。年末に中国で採択された反テロ法は、テロリズムとの戦いのため軍隊を国外で用いる可能性を当局に与えている。

中国人民解放軍の新たなグローバルな役割について、スプートニク記者は、ロシア戦略・テクノロジー分析センターのエキスパート、ワレーリイ・カシン氏に、この一年の総括をお願いしたー「2015 年、中国は初めて、上陸部隊を使った国外での自国市民の避難作戦を実施した。場所は、イエメンの港だった。それ以外に、地中海東部のシリアに近い海域でロシアと初めての合同演習を行った。また今年2015年、東アフリカ・アデン湾に臨むジブチに中国としては初の国外の軍事基地を設けるプランが公表された。そして年末には、テロリズムと戦うため国外での作戦実施を可能にする法律が採択されるに至った。特に、国務院の決定に従って国家安全省と公安省の部隊を、国外でそうした目的のために用いる事ができるようになった。

セルゲイ・カラガノフ氏 - Sputnik 日本
我々は新たな世界秩序の形成を目の当たりにしている
テロリストや情報収集に向けた通常の作業が、いかなる場合においても、世界中で実施され、そうした作業には特別の解決法がない以上、まさに軍事作戦実施のために、それらの部隊が用いられるのは明らかだろう。反テロ法では又、中央軍事委員会の決定に従って、人民解放軍と人民武装警察隊を国外で用いる事も規定されている。そうした派遣決定のシステムも、他の国々の観点から見ると違っている。他国では、軍隊を国外で活動させる決定を下すのは、大統領や議会だ。しかし、軍隊が最高指導機関である中央軍事委員会によって管理されている中国の場合、それは当然の事だろう。

すでに現在、新疆ウイグル自治区で活動しているテログループは、自分達の基地を国外に持っており、他国内で中国市民を攻撃し、国益を損なおうと試みている。シリアでは『東トルケスタン・イスラム運動(ETIM)』の武装部隊が活動している。彼らの総勢は、700-850名と見られ、そこには、訓練施設など様々なインフラが揃っている。

こうした法律が採択されたからと言って、中国がすぐに、国外の作戦に自国の軍隊や特務部隊を使うかと言えば、まずそうした事はないだろう。現在、情勢が不安定な国々の中国大使館の警護に人民武装警察隊の特務班を利用し、そして市民の避難作戦実施の際には人民解放軍の協力を得ている事実は、よく知られている。一方、中国の保安の専門家が常駐していない外国領内で、中国市民が人質に取られるような事態も発生する。そうした国には、その政府の合意を得て、中国の特務部隊が派遣され、救出作戦が展開されるだろう。

中国が反テロ軍事連合国の一つの参加国として世界政治に出てゆく可能性について言うならば、今のところ、それがいつになるのか断言するのは時期尚早だ。シリア危機において、中国はすでに、極めて重要な役割を演じており、シリア及びイラク政府を財政面や軍事面で支援している。中国の国益という面から言えば、現時点では、これで十分だろう。しかし事態が急速に発展して行った場合、来年2016年には中国政府の立場に変化が生ずることも有り得るかもしれない。」

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