有名な中国研究者で、ロシア国立研究大学経済高等学院およびモスクワ国際関係大学のセルゲイ・ルジャニン教授は、今回の日中首脳会談は今のところは公式的な性格のものだが、将来的には、阿部首相政権下よりも、激しい対立が起こる可能性があると指摘する。
「中国は1970年代から1980年代にかけての、日本の奇跡的な経済成長を積極的に学んできたわけですが、実質的に中国は、すでに1990年代に、地域における経済大国の座を日本から奪い取りました。しかしながら、投資や技術分野での両国の協力は維持されており、これからも継続されていくでしょう。一方で、比較的新たな傾向が見られるようになってきています。それは中米関係の悪化です。安倍前首相時代、日本と米国と中国の関係は比較的、バランスの取れたもので、日中間においては、経済的な利害関係が優先されていました。しかし現在、この傾向は、米国による中国への圧力強化により変化しました。菅首相も、米国の対中政策にさらに従わなければならなくなるでしょう。菅首相の政権下において、日本国内での中距離・長距離ミサイルの配備に関しても、肯定的な決定が下される可能性も排除できないのではないでしょうか」。日経新聞は、習近平主席との会談を前に、自民党の国防議員連盟が、政府に対し、中国との間の主要な係争地である尖閣諸島での日米軍事演習実施を提案したと報じたが、これも注目すべきことである。
一方、政治学者で、国際関係問題および日本研究の専門家であるドミトリー・ストレリツォフ氏は、日中関係の将来により楽観的な見方を示している。「日本は、中国との関係を、米中の対立とは切り離して考えるでしょう。日本政府にとって、日中関係における肯定的なムードというものが重要だからです。日本と中国には、双方にとって非常に重要な経済分野を中心に、多くの共通の利益があります。ですから、経済関係が日中関係の基礎となるでしょう」。
また中国外交学院国際関係研究所の教授で、日本研究所の副所長を務める周永生氏もまた、日中関係の今後について肯定的に捉えている。「菅新首相と習近平国家主席の会談は30分に及びましたが、これはトランプ大統領との会談時間よりも長いものでした。公式的には2人の交流は順調なスタートを切ったと言えるでしょう。また会談の内容を見ても、両首脳が強調したことはすべて注目に値します。とりわけ、双方ともに、一貫した両国関係の深化に向けた協力、そして政府高官レベルでの交渉の前進といった路線を維持する用意があることを表明しました。さらに菅首相は、今年末までに東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に関する合意を達成すべく努力しなければならないとも強調しています。これは、日本、中国双方の利益にかなうもので、東アジアの協力を大きく後押しするものです」。
両国首脳が、地域と国際の安定に向けた協力について高官レベルの協議を実施することで合意した後、政府筋は、10月にも中国の王毅外相が日本を訪問し、茂木敏充外相、菅義偉首相と会談することを明らかにしている。
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