戦略的な対立の板挟みとなる日本

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ロシアと中国の戦略爆撃機が、日本海沿岸で、第2回目となる合同監視活動を行った。ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、この活動が成功裏に終了したことを、ウラジーミル・プーチン大統領に直接、報告した。

ロシア国防省が明らかにしたところによれば、12月22日、ロシア軍の長距離戦略爆撃機Tu–95MS2機と中国人民軍のH6戦略爆撃機4機が日本海と東シナ海上空で監視警戒監視飛行を行った。この活動には、ロシア軍のジェット戦闘機Su–35数機も同行した。監視飛行は、レーダーパトロールと早期警戒管制機A–50Uの戦闘員らによって行われた。

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ロシアと中国の合同活動に関し、日本政府は懸念を表明している。日本の加藤勝信官房長官は、この件について、航空自衛隊が戦闘機を緊急発進させて対応したとした上で、ロシアからも中国からも事前通告は一切受けていなかったと明らかにした。

公正を期すために指摘するなら、ロシア側には、このような演習の実施について、日本政府に通告する法的義務はない。

一方、米国はこれについて声明を出してはいないが、12月23日、イールソン空軍基地の部隊がアラスカ沿岸で演習を実施し、30機の爆撃機と2機の空中給油機がこれに参加した。参加機の内訳は、戦闘機F-35AライトニングⅡ18機とF-16、12機だった。

米空軍の第354戦闘航空団のデヴィッド・スカリク団長は、この演習について、戦闘機と乗員たちの臨戦状態を確認するだけでなく、北極地域における軍事力を誇示するためのものでもあると述べている。

ロシア科学アカデミー安全保障問題研究センターの専門家、コンスタンチン・ブロヒン氏は、「ロシアと中国の合同活動は、中国およびロシアの外交政策が気に入らない国に向けたメッセージである」と指摘し、「基本的には西側、とりわけロシアと中国に圧力をかけようとしている米国に向けたである。日本はこれを自国に向けられたものだと捉えているが、日本はアジアにおける米国の主要な同盟国であることを忘れてはならない」と述べている。

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ただ重要なのは、最近、こうしたメッセージがより頻繁になりつつあることである。

2020年9月に実施された北大西洋条約機構(NATO)の演習では、核兵器を運搬することができる戦略的爆撃機B–52が3機、ロシアへの攻撃ポジションであるウクライナのハリコフ(ハリキウ)上空を飛行した。直線距離にしてモスクワまで650キロの地点である。

また12月12日には、最新型ボレイ級の原子力潜水艦「ウラジーミル・モノマフ」が、オホーツク海の水深50メートルから、大陸間弾道ミサイルR–30「ブラヴァー」を4発、連続発射した。

さらにその数日前の12月9日には、北方艦隊のデルタⅣ級戦略原潜「カレリア」が、バレンツ海から弾道ミサイルR–29RMU2「シネーワ」を発射した。また同じ日、アルハンゲリスク州にあるプレセツク宇宙基地の移動式発射台から、大陸間弾道ミサイルRS–24の発射が行われた。さらに、長距離爆撃機Tu–160とTu–95MSからは、戦略巡航ミサイルKh–101とKh–555が発射された。

ロシアはこれらの演習について、新戦略兵器削減条約に基づき、米国に事前に通告していた。新戦略兵器削減条約は2021年の2月に失効するが、期限延長についての協議が行われている。ジョー・バイデン氏は、大統領就任後、速やかに条約の効力を延長させると約束している。

一方、ロシアは大規模な軍事演習を実施することにより、妥協点を見出すために戦略的安定に関する深刻な対話を行なっていく必要があることをアピールしている。

こうした状況の下、日本は戦略的な対立の板挟みになっている。そこで、少なくとも、極東地域において、軍事分野における信頼醸成措置を講じる必要があるだろう。

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